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もの・こと  |    2025.01.02

夢は杉を使った知育玩具『ZURENGA』で世界進出|長浜市『株式会社浅尾』【前編】

黒壁スクエアの一角にある『キグミンの森』

「いつかは木のおもちゃで世界進出をするのが夢です」

そう語るのは、滋賀県長浜市で木製品を製造販売している株式会社浅尾の代表取締役社長、浅尾年彦さん。取材に伺った場所はJR長浜駅から徒歩10分、黒壁スクエア内にある木育遊戯場『キグミンの森』でした。

室内には森をイメージしたアスレチック遊具や木琴、いびつな形の積み木のほか、椅子や食器などの木工製品もレイアウトされています。奥には、子どもが中に入って遊べる木の家がありました。

「いびつな形の積み木は、子どもたちは積み木として遊んでくれません。今はもっぱら、ままごとのジャガイモとして使われています」

木の家の中には小さな椅子などがあり、ままごとが行われている様子が窺えます。木の家をよく見ると、レンガのような木のブロックで組み立てられていました。

この木のブロックは、株式会社浅尾の製品で杉と檜のパーツからなるレンガ型のブロック『ZURENGA(ズレンガ)』です。ZURENGAは3歳児から遊べ、工夫次第で家やロボット、動物などのさまざまなものを作れます。

今回はZURENGA制作秘話や今後の取り組みについて、株式会社浅尾の浅尾さんに詳しく伺いました。

『キグミンの森』ができるまで

室内に入ると大きな遊具『キグミン』が出迎えてくれる

キグミンの森の室内に入ると、存在をアピールするかのように出迎えてくれたのは、大型木製遊具『キグミン』でした。ジャングルジムのように、子どもが中に入って遊べる遊具で、3階建て構造になっているとのこと。

キグミンの森は木の遊具で遊べる施設です。料金は1歳以上が120分間500円となっています。現在は黒壁スクエアに訪れる観光客が「ここは何だろう?」と気になって入る人が多いようです。

じつはキグミンの森は観光客の訪問を狙って作られた施設ではありませんでした。

「木工製品を作ってもお客さんに見てもらう場所がなかったので、ここに展示して見てもらっていたのがはじまりです」

今はほとんど子どもの遊具のみの展示となっていますが、遊べるだけでなく幼稚園やこども園などが木の遊具を発注する際の参考にもなります。

材木業者の95%は廃業に追い込まれた

大きな遊具が並ぶ『キグミンの森』の様子

株式会社浅尾が創設されたのは2010年のこと。それまでは林業・材木業を営んでいました。

「滋賀県内の材木業は95%が廃業に追い込まれました。輸入木材が安く手に入ることもありますが、もっとも大きな要因はメディアの偏向報道だと考えています。それから、建築基準法などの法律の改正も要因です」

浅尾さんは、日本古来の建築方法が素晴らしいものだと語ります。事実、何百年も前に建てられた神社仏閣は多少の地震や自然災害に見舞われても倒壊するようなことはありません。大きく流れが変わったのは、阪神淡路大震災だったといいます。

ZURENGA miniのパーツを手作業で仕上げる浅尾さん

「昔ながらの日本の建築技法で建てられた建築物は非常に丈夫です。問題となったのは、戦後に簡易な技法で建築された建物ばかりです。しかし、メディアは木造建築に対して否定的な報道ばかりをしていました。また、その報道を受けて法律も改正されています」

さらに、国内の林業は重労働です。海外の森林と異なり、日本は斜面のきつい山での作業となります。手間がかかり、過酷な作業の林業は衰退の一途をたどることは想像にたやすいでしょう。

また、木材には関税がかかっていないため、国産の木材を使用するよりも輸入した方が安く仕入れられました。価格競争になると、どうしても負けてしまいます。

結果として、林業で生計を立てる人はほとんど居なくなってしまいました。

近年はウッドショックにより、輸入木材の価格が高騰していますが、廃業した人が急に林業を再開することはありません。また、再開しても今後も安定して仕事があるかどうかもわからない状況です。

材木の技術を後世に継承したい

株式会社浅尾では食器類や雑貨類も製造販売している

このままでは日本の林業や材木業は今以上に衰退してしまうと浅尾さんは危惧します。

「人間国宝のような人でなくても、高い技術を持っている職人は多くいらっしゃいます。もちろん、私では到底たどり着けない領域です。そのような技術を、少しでも後世に残したいと思っています」

その道に踏み入れて技術を身につけてこそ、初めて理解できる技術力の高さがあると言います。それは一般には理解しがたいものです。浅尾さんは、そのような技術を後世に残さなければならないと考えています。

日本人の「木を扱う技術」は比類なきものであり、火を消すわけにはいきません。材木の高い技術を伝えていくには木を使った製品を作り続ける必要があると言います。

「建築以外の分野で、木を使った新たな商品を作って、今までとは違う市場価値を見出したいと考えました」

最初はテーブルやアクセサリーなど、さまざまな製品を作ったそうです。しかし、なかなか思ったような結果は出ず苦戦を強いられました。その経験により、すでに世の中にあるものを作っても売れないことがわかったと言います。

キグミンの森で販売している椅子はおしゃれな木の葉の形

その後、木を使ったおもちゃ作りに舵を切ります。株式会社浅尾では、木を使ったさまざまな商品を製作しました。そのなかの一つが、ZURENGAです。

後編では、ZURENGAのこだわりや将来的な展望について詳しく解説します。

後編はこちら

夢は杉を使った知育玩具『ZURENGA』で世界進出|長浜市『株式会社浅尾』【後編】

キグミンの森とZURENGAの詳細情報

ZURENGAに関する詳細情報は下記の公式サイトをご確認ください。

Web:お家が作れる天然木製ブロック・木育おもちゃ「ズレンガ」

キグミンの森へのアクセスは以下のとおりです。

キグミンの森
〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町14-22(JR長浜駅から徒歩10分)

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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