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アート  |    2023.12.04

越前打刃物の歴史700年を肌で感じるタケフナイフビレッジ

包丁について調べていると、「木村拓哉さんのマイ包丁」の話題が目につきます。木村拓哉さんが愛用している包丁は「越前打刃物🔪」。その価格にも驚きますが、購入するには注文してから納品までに1年ほどかかるということにも驚きを隠せません。

越前打刃物は700年の歴史を持つ伝統工芸。今もその技術は受け継がれています。今回は越前打刃物の技術を垣間見ることのできる施設「タケフナイフビレッジ」を紹介しましょう。

タケフナイフビレッジとは

1993年に建設されたタケフナイフビレッジ

タケフナイフビレッジの建物はかなり個性的な出で立ちをしています。この建物は人気の建築家、毛綱毅曠(もづな きこう) 氏によって設計されたもの。

じつは、1992年の建設時には総工費の3億円を、当時20代、30代の職人達10人がそれぞれに借金をしたそうです。成功するかどうかわからない状態にもかかわらず、未来ある若者達は3,000万円の借金をして大勝負に出ました。このような大きな建物が市の施設ではないことにも驚きます。

建物の中に入ると、博物館のような雰囲気です。ここでは越前打刃物の歴史に触れることができます。

越前打刃物とは

越前打刃物の歴史

館内には、越前打刃物の歴史について詳しく書かれている展示物がありました。

越前打刃物の歴史は、今からおよそ700年前の1337年(南北朝時代)から始まったとされています。京都の刀匠千代鶴國安が刀剣製作に適した地を求め、府中(現越前市)で農民たちのために鎌を作ったことが起源とのこと。

越前打刃物を制作する道具の歴史

館内には古い道具なども展示されています。ベルトハンマーは大正から昭和にかけて使用されていた道具。現在とは異なり、3人での共同作業だったとのこと。その他にもいくつかの道具が展示され、当時の様子が想像できます。

越前打刃物の製造工程

越前打刃物の作り方
刃物の展示風景

館内では、古い道具の他にも越前打刃物がどのような工程で制作されているのかも展示されていました。また、制作されている刃物の展示があり、その種類の多さに圧倒されるかもしれません。

工場内で職人技の見学も可能

工場内の様子
工場内の様子

館内を順路に沿って進むと、刃物工場の中で作業の様子を見学できます。ただし、筆者が伺った日は日曜日だったため、工場内で作業をされていませんでした。新館の方では一人だけ作業をされていたので、タイミングによっては作業の様子を見学できるかもしれません。

職人の技が見られる施設は少ないため、貴重な体験となるでしょう。したがって、訪問は月曜日から土曜日(祝日を除く)の訪問をおすすめします。

更に館内の順路に従って進むと、建物の頂上に辿り着きます。そこにあったのは……

工場内の一番上には神棚が

神棚でした。これは千代国安の神棚で、「魔除け・縁結び」の神様とのこと。建物全体の色彩が「鉄」「火」「水」を表しているそうです。

続いて新館を見学してみましょう。

新館にはフォトスポットも

タケフナイフビレッジ新館の外観

隣にはナイフのように尖っているタケフナイフビレッジの新館があります。入り口には、「インダストリアルデザイン」を取り入れた越前打刃物が展示されていました。

新館の入口には「インダストリアルデザイン」を取り入れた越前打刃物が展示されている

じつは、越前打刃物は伝統の中に新たなデザインが取り入れられたことで人気を博しました。そのきっかけとなったのが、福井県出身の世界的デザイナー・川崎和男氏との出会いです。

新館では、川崎和男氏がデザインを手掛けた包丁や数々のアート作品を楽しめます。フォトスポットとしても人気です。

フォトスポットは煌びやかなイメージですが、写真の腕が悪く魅力を伝えきれない点が残念でなりません。ぜひ、足を運び、良い写真を撮影して来てください。

人気の職人が手掛けた包丁も購入できる

新館の中では商品を購入できます。職人の名前が書かれた棚には、個性豊かな越前打刃物がずらりと並べられていました。

「お土産に買って帰ろうかな」
と思って値段を見てみると……

簡単に手を出せる金額ではありませんでした。しかし、中には比較的安価な鎌や爪切りなども販売されているので、記念に何か購入されるのもおすすめです。

越前打刃物は両刃の製品が得意とのこと。その切れ味は非常に鋭く、多くの料理人から好評を得ているので間違いありません。また、軽くて丈夫ということもあり、家庭でも使用している方が多いようです。

越前打刃物は海外での人気も高く、わざわざ海外から足を運んで購入される姿も見られます。ぜひあなたも、タケフナイフビレッジでこだわりの包丁を見つけてください。

タケフナイフビレッジの基本情報

タケフナイフビレッジでは体験教室も開催しています。予約が必要ですが、下の動画のように手作り包丁の制作も可能です。

  • 体験:包丁教室や包丁研ぎなど(要予約)
  • 研ぎ直し・修理:¥1,000〜(他社製品も可)

営業時間

  • 営業時間:9:00〜17:00
  • 休館日:年中無休(年末年始を除く)
    ※ただし、日曜・祝日は工場が稼働していないので作業は見学できません

アクセス

  • 住所:福井県越前市余川町22-91
  • 電話:0778-27-7120

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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