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アート  |    2024.03.08

焼き物好きなら一度は訪れたい門外不出の技が残る秘窯の里|佐賀伊万里大川内山

焼き物好きな人には、佐賀県の有田焼はよく知られていることでしょう。GWに開催される有田陶器市は毎年大勢の人で賑わいます。有田焼は全国的に有名なため、佐賀といえば有田焼と思う方が多いですが、「鍋島焼」はご存じでしょうか?

鍋島焼とは江戸時代にお殿様に献上していた、門外不出・採算度外視で焼かれていた焼き物です。佐賀県伊万里市の大川内山(おおかわちやま)には、30の窯元が軒を連ね今もその伝統が伝わっています。

大川内山には、伝統的な窯元が点在し、歴史的な建造物や古い町並みが残っており、その江戸時代からのストーリーを感じさせる落ち着いた雰囲気があります。

自然に囲まれた静かな環境の中、伝統が息づく大川内山は、陶磁器ファンだけでなく、歴史や文化に興味がある方にとっても魅力的な場所です。

大川内山は町全体の雰囲気がよく、焼き物を見ながら散策するのがとても楽しいスポット。今回は大川内山の歴史や鍋島焼の特徴、そして実際に散策をした大川内山の町並みや焼き物を写真で紹介します。

大川内山の歴史

江戸時代に佐賀藩(鍋島藩)は、藩直営の窯を伊万里大川内山に設置しました。

そこに高度な技術を持つ陶工たちを集め、関所を設けて技術が外部に漏れないように厳重な管理が行われました。大川内山は三方を険しい山に囲まれており、その地形が技術保護に適した場所となっていたのです。

その厳重に管理された大川内山では朝廷、将軍家、諸大名へ献上する高品質な焼き物が焼かれており、これが今に伝わる「鍋島焼」です。

秘窯の里「伊万里大川内山」のHPより大川内山の歴史年表を紹介します。

1600年頃伊万里各地で古唐津系の陶器が焼かれていた。
1675年鍋島藩御用窯が有田南川良から大川内山に移される。
1693年二代藩主鍋島光茂公は藩窯に対し品質の向上と技術の漏洩防止など自ら熱心に指示する。
1670年頃御細工人31人体制となる。
(細工方11人、画工9人、捻細工4人、下働き7人)
1761年有田皿山代官とは別に大川内皿山代官が置かれる。
1871年廃藩置県により藩窯御細工屋解散する。
1877年精巧社を設立し鍋島焼の復興を図る。
引用:秘窯の里「伊万里大川内山」https://imari-ookawachiyama.com/history/

鍋島焼の特徴

鍋島焼には

・色鍋島
・鍋島染付
・鍋島青磁

の3つがあります。

引用:伊万里市役所 https://www.city.imari.saga.jp/21075.htm

色鍋島は、白磁の素地に模様を描き、一度窯で焼いた後、赤・黄・緑を中心とした彩色で上絵を描き、再び焼成して完成させます。「陶磁器の最高峰」と称されるそうです。確かにとても美しく、私はこの色鍋島が大好きです。

鍋島染付は、透明感のある白磁の表面に、藍色一色で染付けを施したもの。使用される呉須(陶磁器の絵付けに使われる青色の顔料)の色が特徴的で、清楚で凛とした美しさが際立ちます。

鍋島青磁は、大川内山産の青磁原石を使用し、何度も青磁釉を重ねて焼成することで、艶やかで神秘的な独特の風合いを生み出しています。

大川内山の散策

大川内山は伊万里駅から約5キロの場所にあります。公共交通機関利用の場合、伊万里駅まではバスか電車で行けますが、伊万里駅から大川内山間の移動はタクシーかレンタカーが便利です。

この陶磁器の橋は「鍋島藩窯橋」です。

こちらは伊万里鍋島焼会館の敷地内にある大きな陶磁器の看板。

このようないい感じの町並みです。

たくさんの焼き物が並んでいます。

焼き物でできたお雛様も飾られていました。

こんなかわいい焼き物の雛飾りはいかがですか?

色鍋島は「ほうっ」とため息が漏れるほどの美しさです。

私の大好きな色鍋島をいくつかの写真で紹介します。

このような美しいものをたくさん見られるだけでも目の保養になり、大川内山を訪れる意味がありますよね。

こちらは鍋島青磁、色鍋島、鍋島染付のそれぞれの器です。どれも個性があり美しいです。

焼き物でできたゲームもありました。

焼き物が特に好きでない方であっても、きれいなものを見るのが好きな方なら大川内山散策はおすすめ!きれいなものがたくさんあります。

こちらは150万円の花瓶です。

世が世ならお目にかかることもできなかった美しく高級な焼き物たち。それが今ではちょっとお出かけすれば実際に目にして手に取ることが可能です。さらにお気に入りの焼き物を購入して、家に連れて帰ることもできますね。

大川内山は、秘窯の里としての独特な魅力と、美しい焼き物があり、訪れる人々を引きつけてやまない場所です。何度訪れても新しい発見があり、心が満たされる素晴らしいところ。お気に入りの器を求める旅はもちろん、心地よい風景に癒されたり、歴史を感じたりできる大川内山は魅力が満載です。

日常の喧騒から離れ、江戸時代にはお殿様に献上される器を採算度外視で制作していた土地だということを肌で感じながら、大川内山を散策するのはいかがでしょうか?

大川内山

伊万里鍋島焼会館(大川内山の玄関口に位置しています)

〒848-0025 佐賀県伊万里市大川内町乙1806番地
TEL 0955-23-7293
FAX 0955-23-7294
https://imari-ookawachiyama.com/

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この記事を書いた人

副島 かよこ

徳島出身、佐賀在住のフリーライター。 「コトバを編みココロ届ける取材ライター」として愛用のCanon EOS Kiss X7と一緒に、さまざまな取材をしています。クラウドファンディングをしたい方に取材をして、クラファン本文も執筆。今まで執筆したクラファンの総支援額は1800万円・支援者数1600名以上です。 佐賀は知名度が低いですが、住んでみるととても住みやすい場所。そんな佐賀の魅力を発信していきます! 夫とセキセイインコの雨、ウロコインコの晴と一緒に暮らしています。 WEBライター検定1級|メンタル心理カウンセラー|ボイジャータロット国際認定ティーチャー

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