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アート  |    2024.07.03

デザインから日本を知る!『DESIGN MUSEUM JAPAN展2024』|国立新美術館

国立新美術館で5月16日〜26日まで開催していた「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」。
今回は、2020年1月から始まった大プロジェクトの展覧会を取材してきました!

DESIGN MUSEUM JAPAN展2024展示風景①

DESIGN MUSEUM JAPANとは?

DESIGN MUSEUM JAPAN展2024展示風景②

DESIGN MUSEUM JAPANとは、古来から日本人が作ってきたモノに焦点を当てて、現在のクリエーターたちが紹介するプロジェクトです。

2020年1月からNHKにて 「デザインミュージアムをデザインする」 (Eテレ) という番組が始まり、プロジェクトが開始。
現在、活躍するクリエーターたちに、日本各地に残る、 素晴らしいデザインをリサーチし、紹介してもらうことで、日本全体をデザインミュージアムにするというものです。

これまで日本各地19の地域でリサーチを行ってきましたが、今回は6つの場所を中心に展示が構成されています。

DESIGN MUSEUM JAPAN展2024開催!

DESIGN MUSEUM JAPAN展2024展示風景③

これまで様々な場所で展示を行ってきたDESIGN MUSEUM JAPAN。
今回は、北海道、秋田県、山形県、愛知県、滋賀県、愛媛県と6つの地域を紹介しています。

では、早速見ていきましょう!

漁船の化粧板と西馬音内盆踊り衣装(北海道・秋田県)

北海道 留萌(るもい)/造形作家 竹谷隆之氏

国立新美術館展示風景(竹谷隆之 「漁船の化粧板」 船に刻まれた漁師の心意気)

北海道の日本海側は、かつてニシンの大漁場と言われていました。
ニシン漁のため、多数の船が海に出ていたのですが、その船に彫刻された絵模様が「化粧板」です。

国立新美術館展示風景(竹谷隆之 「漁船の化粧板」 船に刻まれた漁師の心意気)

船大工それぞれの個性を生かしたデザインが彫りこんであり、一つ一つすべてが違うデザイン。
牡丹や菊などの花や、獅子などが多く使用されました。

ノミでダイナミックに彫りこんだ部分に色彩を施しており、力強さを感じることができます!

国立新美術館展示風景(竹谷隆之 「漁船の化粧板」 船に刻まれた漁師の心意気)

秋田県 西馬音内(にしもない)/クリエイティブディレクター 小池一子氏

国立新美術館展示風景(小池一子 「西馬音内盆踊り衣装」 時を超える衣装の記憶)

こちらは秋田県西馬音内(にしもない)の西馬音内盆踊り衣装の展示。
始まりは1280年代ごろと言われ、先祖供養や豊作祈願のために踊ってきました。

1956年には国の重要無形民俗文化財に指定、2022年にはユネスコ無形文化遺産に登録された歴史ある行事です。

国立新美術館展示風景(小池一子 「西馬音内盆踊り衣装」 時を超える衣装の記憶)

西馬音内盆踊りは代々、地域の女性たちが守り抜いてきたため、他の地域の盆踊りに比べて優雅で流れるような動きが特徴的です。

こちらの端縫い(はぬい)はパッチワークのようにさまざまな生地が縫い付けられていますが、各家庭で先祖代々受け継いだ古い着物を縫い合わせて作ります。
そのため、踊りの練習や衣装の準備などを合わせると、なんと1年がかりで準備するそう!

年に一度の一大イベントなのがわかります。

世界最先端の糸とすだれレンガ(山形県・愛知県)

山形県 鶴岡・寒河江(さがえ)/ブックデザイナー 名久井直子氏

国立新美術館展示風景(名久井直子 「古代の糸 世界最先端の糸」 雪国・糸作りのデザイン)

山形県鶴岡市関川集落ではシナノキやオオバボダイジュという木の皮の繊維を糸にしてきました。
この地域は布の素材に恵まれず、地域の人が工夫して誕生したのが「しな織」です。

糸づくりは60年以上も前の古い機械を使って行います。
古い機械だからこそ、改造ができ、唯一無二の糸を造り出せるのだそう!

長いこと「しな織」は冬場の女性の仕事として、伝承、発展してきました。
色鮮やかな糸からは、木から生まれる温かみを感じられます。

国立新美術館展示風景(名久井直子 「古代の糸 世界最先端の糸」 雪国・糸作りのデザイン)

愛知県 常滑(とこなめ)/キュレーター 片岡真実氏

国立新美術館展示風景(片岡真実 「すだれレンガ 電らん管」 時代が求める陶器を生む町)

愛知県 常滑(とこなめ)には「常滑焼」と言われる伝統的な焼き物があります。
常滑焼は中世から続く6つの窯場「日本六古窯(にほんろっこよう」)の一つです。

国立新美術館展示風景(片岡真実 「すだれレンガ 電らん管」 時代が求める陶器を生む町)

町には焼き物で有名な地域らしく、レンガ造りの窯や煙突がたくさんあるそう。
この町で造り出された、すだれレンガは帝国ホテル・ライト館にも使用されていました。

レンガというと、赤茶色いものを思い浮かべる方も多いと思いますが、すだれレンガは黄みがあり、優しい色をしているのが特徴です。

戦国の石垣とこて絵(滋賀県・愛媛県)

滋賀県 大津/建築家 永山祐子氏

国立新美術館展示風景(永山祐子 「野面積みの石垣」 戦国の石垣・自然石と向き合う)

滋賀県大津市は比叡山延暦寺が京都との間にまたがっており、戦国時代、武将が生き抜いた地域です。
この地域の石垣は自然の石をほとんど加工せずに積み上げる「野面積み(のづらづみ)」が特徴。

野面積みは隙間なく石を詰めると逆にバランスを崩し、地震などで崩れやすくなる恐れがあります。
そのため、石積みの内部に隙間を支える石や砂利を敷き詰めてバランスを保っているのです。

石工の道具 国立新美術館展示風景(永山祐子 「野面積みの石垣」 戦国の石垣・自然石と向き合う)

愛媛県 内子/音楽家 永積崇氏

こて絵に使う道具 国立新美術館展示風景(永積崇 「こて絵」 左官たちが伝えた遊び心)

愛媛県内子町にはたくさんの「こて絵」が残っています。その数は約1000点!
「こて絵」とは左官職人がこてを使って漆喰を立体で表現したレリーフのこと。

明治中期頃のこて絵 国立新美術館展示風景(永積崇 「こて絵」 左官たちが伝えた遊び心)

外壁や扉に施されたこて絵は、その家を守る意味もあってか、縁起物の亀や鶴、火除けのための波や龍、幸せを招くために七福神や恵比寿などをモチーフに彫られることが多かったそう。

鶏も神の使いと言われ、縁起のいい鳥として知られています。

日本各地にあるデザイン

参加型企画(日本地図に各々が思う日本のデザインを描いた付箋が貼ってある)
展覧会会場の様子

職人や地域の人が守り抜いてきた日本の文化。
日本にはまだまだ知られていない、たくさんの芸術、デザインが残っています!

今回は国立新美術館で展示されていた6つの地域を紹介しましたが、公式サイトでは他にもたくさんの地域のデザインを知ることができます。

ぜひ、実際に地域を歩き、あなたも日本のデザインを見つけに行きませんか?

デザインミュージアムジャパン公式サイト

https://design-museum-japan.jp

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この記事を書いた人

ChicacoMurayama

【芸術家/ライター】 幼い頃から絵を描くことが好きで、アーティスト活動を行う。また、読書、執筆、写真を撮ることも好きでフリーライターとしても活躍。 作品は独自に研究し生み出した技法のサンドアート。コンセプトは「綺麗な世界、穏やかに心温まる世界」。展示、年に数回のワークショップ、ラジオでアートについて話したりアート普及活動も行う。 わかりやすい等身大の言葉でアートをメインに神社やカフェなどを紹介していきます! 

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