Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

アート  |    2023.08.03

埼玉県蕨市:江戸時代の天才画家に迫る。河鍋暁斎記念美術館

蕨駅前のようす

埼玉県蕨市は埼玉県南部に位置する、全国で最小の市です。この地は徳川家康が江戸幕府を開き中山道が整備された際に、蕨宿として発展しました。歴史民俗資料館や本陣跡など、歴史や文化にまつわる施設も現存しています。

そんな歴史ある町蕨市の、河鍋暁斎記念美術館を今回はご紹介します。

河鍋暁斎とは?

河鍋暁斎は、幕末から明治前半にかけて活躍した日本画家です。浮世絵師の歌川国芳や狩野派・前村洞和のもとで絵を学びました。そのため暁斎は、浮世絵師とも狩野派絵師とも呼ばれています

江戸時代後半、暁斎は生計を立てるため、戯画や風刺画を描きました。そして、風刺精神旺盛な暁斎の画風は民衆の間で人気を博しました。しかし、明治維新の際に描いた政府批判の戯画がもとで捕らえられ、翌年に釈放されています。

そんな波瀾万丈な人生を送った暁斎の絵の魅力はなんといっても、登場する動物や人の表情、動きが生き生きとしている点でしょう。「ねこ」や「かえる」を描いた作品が多いほか、美人画、妖怪が登場する戯画、春画などありとあらゆるものを繊細に描いています。これほどの多くのジャンルを精巧に描き切る暁斎は、まさに天才絵師と呼べるでしょう。

河鍋暁斎記念美術館 企画展「暁斎・暁翠 子ども絵」展 同時開催 特別展「『おしえ草孝行和讃』の世界」展

さらに、暁斎は鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドルの師匠でもあります。日本文化に関心を持ったコンドルは日本画を学ぶために暁斎に弟子入りしました。暁斎没後、コンドルは暁斎についての本を出版し、欧米の方に暁斎を広めるきっかけを作りました。1993年にはイギリス大英博物館で暁斎の展覧会が開かれています。日本国内ではあまり名の知られていない暁斎ですが、世界的に評価され、愛されている画家なのです。

住宅街に突如現れる河鍋暁斎記念美術館

河鍋暁斎記念美術館

蕨駅西口から蕨市コミュニティバスで12分。河鍋暁斎記念美術館前で下車です。

ふつうの住宅街に突如現れた河鍋暁斎記念美術館。暁斎のひ孫である河鍋楠美さんが創設しました。河鍋家伝来の下絵や画稿類を中心に3000点余りが所蔵されています。

展示は1~2か月で入れ替えられ、テーマごとに多様な暁斎の作品を楽しめます。

今回の展示は「いきもの百科」。

暁斎の生き物への愛情が伝わってくるような絵がたくさん展示されていました。

暁斎の絵を通して、ねこやかえるに愛着が沸き、今までよりちょっぴり好きになった気がします。

中庭も趣があります。天気の良い日は中庭のベンチで過ごすのも気持ちがよさそうです。

コーヒーを飲みながら、河鍋暁斎について学ぶ

展示を見終わったら、併設されている河鍋暁斎記念美術館ミュージアムショップにぜひお立ち寄りください。図録や暁斎の絵が描かれた食器類など、グッズの品揃えが豊富です。

こちらのミュージアムショップ、なんと中でコーヒーやチョコチーノがいただけます。1時間に1本のバスを待つため、暁斎についての紹介動画を見ながらゆっくりさせていただきました。長居はご迷惑かと思い、バスの時間より早めに店内を出ようとした私に「もう少しゆっくりしていってください、暑いですから」と店員さんがお声がけくださいました。

チョコチーノをいただきました

暁斎の精巧で表情豊かな絵と、店員さんの優しさで幸せな気分になれた美術館訪問でした。

河鍋暁斎記念美術館で多彩な展示を楽しもう

動物画展、妖怪画展、花鳥画展、さらには鯉つくし展など、河鍋暁斎記念美術館では様々な展示が2か月に1回開催されます。新しい展示のたびに暁斎の魅力に気づけます。開催中の展示内容は公式サイトから確認できますので、気になる展示があったら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

河鍋暁斎についてもっと知りたい方は、こちらの動画がおすすめです。

河鍋暁斎記念美術館 企画展「「御上洛東海道」シリーズ出版160年記念 暁斎の「東海道」」展同時開催 特別展「『狂斎画譜』の世界」展

公益財団法人河鍋暁斎記念美術館
〒335-0003
埼玉県蕨市南町4-36-4
開館時間:10時~16時
休館日:毎週火・木曜日、毎月26日~末日、年末年始
TEL:048-441-9780
アクセス:
JR京浜東北線「西川口駅」から「河鍋暁斎記念美術館」まで 徒歩12分
西川64「南町ポンプ場バス停」から「河鍋暁斎記念美術館」まで 徒歩2分バスでお越しの方
東京外環自動車道「外環浦和IC」から「河鍋暁斎記念美術館」まで 2.8km

記事をシェアする

この記事を書いた人

ゆう

6歳男児を育てる農学博士ライター。東京にいます。寺社仏閣・史跡めぐりが趣味。取材を通して、いろいろな人と出会えることに幸せを感じます。生まれ育った商店街が年々さびれていくのを目の当たりにし、地方創生に興味を持ちました。日本のよいものを日本中に届けたいと思い、Mediallで活動させていただいています。

関連記事