美しい笛の音色や力強い太鼓の音に合わせて舞手が演じる姿は、見る人を惹きつけます。神楽は古くから伝統芸能として、日本全国に広がりました。なかでも広島県は全国的にみても神楽が盛んな地域です。県内には実に、300近い神楽団体が存在。今回は「地元の人を笑顔にしたい」と奮闘する、今吉田神楽団をご紹介します。
今吉田神楽団
今吉田神楽団は戦後間もない昭和21年(1946年)8月に旧豊平町(現北広島町)今吉田地区で誕生しました。同じく現北広島町の旧大朝町から六調子(旧舞・ゆったり勇壮に舞うのが特徴)を習得したところから歴史が始まります。その後、八調子(新舞・ストーリー性に富みアップテンポに舞うのが特徴)を取り入れながら現在に至ります。
現在の団員は、男性16名・女性7名の計23名です。
普段の活動の様子や今後の展望などを、今吉田神楽団団長・石川一義さんにお伺いしました。
活動ペースはみんなで決めている
石川さん:練習は基本的には、週2回です(うち1回は金曜日が多い)。団員はそれぞれ仕事をしているので、その都度みんなで「来週はいつ集まる?」と話し合って決めています。ステージはその年によってばらつきはありますが、今年は合計10回前後立つ予定です。
写真は、東広島市の神社でのお祭りの1コマです。
今吉田神楽団は、北広島町外でも活躍の場を広げています。
これまで立った全てが特別なステージ
ーこれまでの中で1番印象的なステージを教えてくださいー
石川さん:これまで立ったステージ全てが特別なものです。観客からの拍手がやりがいにつながっています。その中でも地域のお祭りは、観客との距離が近いので「良かったよ!」という声がダイレクトに伝わりやすい。
見ている人に喜んでいただけるのは、嬉しいです。広島県の中で、神楽人気は非常に高まっています。地元の北広島町はもちろん広島市で公演を行うとチケットが完売することもあり、多くの人から愛されているのです。
人気・おすすめの演目
ー今吉田神楽団が舞っている演目で、おすすめのものを教えてくださいー
石川さん:今吉田神楽団でおすすめの舞は、葛城山・壇乃浦といった演目です。ただ、お祭りではチャリ(道化役)が出てくる演目(悪狐伝・戻り橋など)が人気があります。チャリが出てくる演目は、和んだ雰囲気になるので馴染みやすく「面白い!神楽っていいね!」と楽しんでいただけています。
ーこれから神楽を見る人は、どんな演目から見始めたら良いでしょうか?ー
石川さん:神楽を見始めた人には紅葉狩・葛城山・塵倫・などの演目がおすすめです。「悪い鬼がやっつけられる」というシンプルなストーリーなので、どなたでも見やすいでしょう。
現在の神楽は戦前から舞われてきた優雅で勇壮な旧舞と、戦後に創作されたストーリー性が強く、より激しい舞が印象的な新舞に分かれています。その中で新舞は神楽団ごとに創作される演目があります。まずは紅葉狩や塵倫などわかりやすい演目から見ていただくことで、より神楽が楽しめるでしょう。
今後の展望
最後に今吉田神楽団の今後の展望についてお伺いしました。
石川さん:この今吉田神楽団を存続させることが第一です。昨今は神楽の舞手が減ってきており、存続が難しい団も出ています。私たちも舞手を増やすために、小学生から高校生が在籍する子ども神楽団に取り組んでいます。
彼らが大人になっても、変わらず神楽が好きでずっと舞ってくれたら嬉しい。
世代から世代へ襷をつなぎ、今吉田神楽団をこれからも存続させていけたらと願っています。
ー新たにチャレンジしたいことはありますか?ー
石川さん:新しいことにチャレンジするというよりも、自分たちの舞を大切にしたい。これまで代々受け継いできた舞をしっかり継承していきます。そして神楽を見てくれた人たちを笑顔にしていきたいです。
最後に熱い意気込みを語っていただきました。
筆者も北広島町出身者として、今吉田神楽団の今後を応援していきます。
今吉田神楽団の活動は、ホームページ・Facebookから確認いただけます。
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