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アート  |    2024.11.09

東京藝大卒生による「正解なしルール」のアートスクールstudioPAPAPA|東京都練馬区・豊島区

studio PAPAPA(スタジオパパパ)は、都内に3教室ある東京藝術大学の卒業生がプロデュースした「アート」と「あそび場」を融合したアートスクールです。
教室に一歩足を踏み入れると、壁や天井、机や椅子にいたるまで絵具の色!教室内は、汚れを気にせず自由に落書きし放題。非日常の空間が、子どもの想像力を刺激します。

studio PAPAPAの特徴は、スタッフが東京藝術大学をはじめとする現役の芸術大学生や卒業生であるということ。そして決まったカリキュラムがない「やりたい放題コース」。

カリキュラムがないアート教室とは?
studio PAPAPA代表の田中盛栄さんから、スクールの理念や設立時の想いについて伺いました。

studio PAPAPA代表の田中盛栄さん

問題発見→試行錯誤→解決までの技術を身につけてほしい

-決まったカリキュラムがないユニークなアートスクールstudio PAPAPA。スクールの理念について教えてください。

田中:一言で言うと、ポジティブでクリエイティブな子どもたちを育てる手助けをすることです。

-技術の習得が目的ではないのでしょうか?

田中:技術的なことよりも、問題発見や問題解決のプロセスを重視しています。ものづくりの過程は、自分でゴールを設定して試行錯誤するプロセスの繰り返しです。
子どもたちには手先の技術よりも、答えがない中で自分なりに答えを作る技術を磨いてほしいですね

-教室の中で子どもたちはどのように過ごしているのでしょうか?

田中:何を制作するか計画することから始まります。

すぐに制作に入る子もいれば、教室にある材料を実験的に使いながら計画をたてる子もいます。スタッフが提案したり、話を聞いているうちに、子どもが自然とやりたいことを思いついたりする場合もありますね。

各自制作に入ったあとは掃除の時間です。自由な環境は楽しいですけど、責任が伴う。きちんと掃除することも、制作をするうえで大切なことなんです。

掃除が終わると鑑賞会です。子どもたちは自由に「見せびらかし大会」って呼んでますけど。
自分たちが何を考えて作品を作ったのか発表して、お互いの着眼点について意見交換します。最初は言語化できなくても、小学校低学年から高学年まで生徒さんがいるので、助けあいながらやっています。

大人は教えるのではなく、子どものチャレンジをサポートをする

-子どもたちと接するうえで大切にしていることは何でしょうか?

田中:子どもたちの興味や特性もバラバラなので、個々に合わせた接し方をすることです。大人が答えを最初に出さず、子どもたちがしたいことを引き出すようにしています

-子どもから「これができないから作って」と、最初から“既存の正解”の答えを求めてくる場合はどうされますか?

田中:質問の意図を聞きます。「どうしてできないの?」「どうして気になったの?」と逆に聞いていくと、わからない内容が具体的になってくるんです。
1度お手本を見せた後に自分ですぐやってもらって、「できたじゃん!自分でできるね」と確認して。

子どもって自分でできるのに、できることを知らないんですよ。「自分でできる」という実体験を大人が一緒に作ってあげることで、徐々に「物事って自分でやっていい。自分でできるんだ」という選択ができるようになるんです。

あと、相談に乗る前に必ず1回自分でやってみるという決まりがあります。1回やってうまくいかなかったらはじめて相談に乗ります。
先に失敗することで、質問が具体的になって何がよくなかったか一緒に話し合えるし、子ども自身の課題が明確になって、能動的な制作に繋がります。

一般的な教科は“既存の正解”が求められると思いますが、美術においては“自分なりの正解”を導いていいですし、人生においても人の正解をコピーすることが役立たない場合もあります。“既存の正解”ではなく“子どもなりの正解”を生み出す力を身につけて欲しいですね

-自由に制作をするうちに、作品がマンネリ化してしまうことはないのでしょうか?

田中:そういうときは作品のゴールを膨らませる手助けをします。

ギリギリ頑張らないと達成できないような目標を提案して、今の能力に、さらにのめり込んで夢中になれそうなものを加えていく感じです。
ただ毎週同じものを作っていても、よく見ると微妙にやり方を変えていて、本人の中では試行錯誤を楽しんでいることもある。その子に合った目標を見極めることも大事ですね。

失敗は試行錯誤の一環。楽しみながら課題解決し、成長できる

-スクールを通して、子どもたちが得られるものはなんでしょうか?

田中:「人間的にも、技術的にも、楽しみながら課題解決し、成長できること」です。

ここでは「友だちが嫌がることはしない」「お互いを尊重する」という最低限のマナーを守れば、何をするかは自由です。
カリキュラムがないということは、コンセプトは子どもが自由に決められる。自分を縛っていた制約から解放されることで、自分でも気づかなかった発想が出てきます。

好きなように制作できる環境にいると、失敗もあくまでも試行錯誤の一環になる。間違えてもすぐ切り替えられるし、「間違えたらダメ」「うまくいかなかったらどうしよう」という、やらない理由がなくなるんですよね。
自分がやりたいことができて、背中を押してくれる大人がいる。だからみんな、他人と自分を比べないですし、すごく自信がついていく感じがしますね。

人によって技術的に得られるものは違いますが、正解や失敗に関わらず、すべてが質の高い経験になると思っています。

スタートは「自分たちがもう一度小学生をやり直すなら」

-studio PAPAPAは藝大在学中に立ち上げたんですか?

田中:正確には卒業後ですね。卒業後も大学に出入りして制作を続けていた時期に、同じ藝大の藤ノ木(studio PAPAPAの前代表)に誘われて一緒にはじめました。

自分たちがもう一度小学生をやり直すなら、こんな環境があったら楽しいよね」。
ほかの教科に正解がたくさんある中で、美術くらいは正解がなくてもいいんじゃないかと思ったんです。

「子どもを全力でサポートする」やることが明確になった瞬間

-カリキュラムがないのは昔からですか?

田中:カリキュラムがないのは最初から変わらないんですけど、やっていくなかで今のstudio PAPAPAになった瞬間があって。

それまでは、なんだかんだ僕らがお子さんの作品を手助けしていたんです。保護者の方へ何かしらの完成物があったほうがいいと思って忖度していたというか。

あるとき体験で来た子がいたんですけど、すごく居心地が悪そうにしていて。そのときピンときたんです。この子はアート教室の大人と親との間で板挟みになってるんだって。
その子に「作りたくないんだよね?」と聞いたら「作りたくない」と教えてくれて。

何も作らなくていい。ここにいて座っているだけでもいい。やりたいようにやっていいから。親に怒られないように、僕がうまく説明する

そう伝えた瞬間、急に肩の力が抜けて安心した表情になったんです。しだいに何かを作りだして、そのときの目がとても楽しそうにキラキラしていて。

作品自体は、完成品とも言えるような言えないような、パッとする出来栄えではなかったのですが、保護者の方が「自分の子がこんなに楽しそうにしているのをはじめて見た」と言ってくれて。

そのとき、保護者は子どもの将来が心配だったり、安心したいという気持ちで習い事をさせてる側面もあるかと思いますが、究極は子どもの幸せを願っているだけなんじゃないかと思ったんです。
今この瞬間、お子さんが幸せであるために全力でサポートすることが僕たちの仕事だと確信して、それ以降、子どもが自由にできるスタイルに振り切りました。

「いい子」じゃなかった幼少期。コンセプトがないからこそ、子どもが一番自分らしくいられる場所を作りたかった

-田中さん自身はどんな幼少期を過ごされたんですか?

田中:幼少期はいわゆる「いい子」じゃなかったです。落ち着きがなくて短気で、友だちとしょっちゅう喧嘩していて。僕11歳になるまでアメリカに住んでたんですけど、幼稚園を2度退学になってるんです。

-幼稚園を退学!?

田中:母親がとにかく厳しい幼稚園を探してたら、そこが黒人の幼稚園で。最後の半年間は僕以外みんな黒人の環境で過ごしたんですよ。アメリカの現地校や日本人学校にも通ったし、日本では中高一貫の男子校や、美術予備校にもみっちり通いました。

教育ってある種の枠組みだと思うんです。僕の場合、偶然にもめちゃめちゃ色んな枠組みに触れてきたんですね。数えてみたら11個の学校の種類に触れてるんです。つまり、どういう風に教育して子どもを導くのかっていう発想に、11通り触れてることになる。

-枠組みが変わることで、どんな影響がありましたか?

田中:枠組みが変わることで、自分の中の「普通」を11回変えてきたという感じです。なので、「普通」というものは枠組みの中で違うし、作れるものだっていう感覚があります。

これまで経験した枠組みの、どこにも当てはまらないものを作ろうと思ったから、このスクールになったのかもしれないですね。子どもが、自分の中の普通を作れるようにサポートしているんだと思います。

子どもの力が発揮できる環境へ。studio PAPAPAを選択肢の1つにしてほしい

-最後に保護者の方へメッセージをお願いします。

田中:もし自分のお子さんが、決まった枠組みの中でうまく力を発揮してなかったり、窮屈そうにしている場合、環境が変わるだけでパワーを発揮するかもしれない。環境が合わないだけで必ずしもお子さんのせいでなければ、誰のせいでもない

色んな環境がある中で、その1つの形を僕たちが作っています。studio PAPAPAが正しい答えだとは限りませんが、お子さんにフィットする環境が見つかるお手伝いができれば嬉しいです。

家庭や学校ではさまざまな制約があり、子どもが自由にものづくりをするのは難しいかもしれません。studio PAPAPAでは、日本最高峰の美術教育を受けたスタッフが子どもの体験を全力で後押ししてくれます。スクールを通して、自然と挑戦する姿勢が身につくのも納得です。
キラキラした表情で試行錯誤を楽しむ子どもたちは、まさにスクールの理念である「ポジティブでクリエイティブ」そのもの。自由に子どもの創造力を伸ばしたいご家庭にぴったりなアートスクールです!

studio PAPAPA(スタジオパパパ)

大泉学園教室 東京都練馬区大泉学園町7-13-17
富士見台教室 東京都練馬区富士見台2-31-26
要町教室 東京都豊島区千早1-36-6
公式HP:https://www.studio-papapa.com/
Instagram:https://www.instagram.com/studiopapapa/

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この記事を書いた人

めぐみちゃん

東京都在住、アラフォー駆け出しママライターです。取材エリアは西武池袋線沿線。物・人・子育てイベントなど、住んでいるからこそわかる「地元のちょっといいところ」を発信します。

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