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フード  |    2025.07.14

木曽の初夏を味わう!「朴葉巻き」を食べてみた|長野県木曽地域

長野県の中央部から南西部にかけて広がる木曽地域は、雄大な木曽駒ヶ岳をはじめとする山々に囲まれ、清らかな木曽川が流れる自然豊かな場所です。

古くから中山道の要衝として栄え、情緒ある宿場町の風景や、木曽ヒノキに代表される豊かな森林資源に恵まれています。木曽には「木曽の桟(かけはし)」や「木曽檜」、そして美味しい蕎麦など、多くの名産品があります。

そんな木曽地域に「初夏の訪れを告げる珍しい和菓子がある」と以前から耳にしていました。その名も「朴葉巻き」(ほおばまき)。先日、ようやくその伝統の味を体験する機会に恵まれ、素朴ながらも奥深い魅力に引き込まれてしまいました。今回は、私が実際に「朴葉巻き」を食べて感じた、魅力と発見をお伝えしたいと思います。


清々しい香りに包まれる至福の一口

朴葉巻きとは、米粉を練った餅であんこを包み、朴の葉で巻いて蒸しあげた、素朴ながらも深い味わいが楽しめる木曽の名物です。

私が手にした朴葉巻きは、手のひらからはみ出るほど大きな朴の葉に、丁寧に包まれていました。まず驚くのは、その清々しい香り。葉を結んでいる紐をほどいた瞬間、爽やかで心地よい香りがふわりと立ち上ります。この香りを嗅ぐだけで、すでに心が癒されるような感覚に。

葉をそっと開くと、中から現れたのは、コロンとした姿。見るからにもちもちとしていて、食べる前から期待が高まります。一口頬張ると、朴の葉から移った独特の香りと、ほんのりとした苦味のような清涼感。そして、その後に続くのが、米粉でできたお餅の、なんとも言えないむっちりとした弾力と、あんこの素朴で優しい甘さです。

私が選んだのは定番の「つぶあん」でしたが、あんこの甘さは控えめで、お餅の風味や朴の葉の香りと調和していました。この上品な甘さが、飽きることなく何個でも食べられそうな魅力になっています。

五感で感じる、木曽の初夏と人々の知恵

朴葉巻きの香りや、しっとりとしたお餅の食感に、これまで食べてきた和菓子との違いを感じました。それは、まるで五感で「木曽の初夏」を味わっているような感覚。

また、朴葉巻きは、毎年5月下旬から7月中旬頃までが主な販売時期となります。この期間は、朴の葉が柔らかく、お餅を包むのに適した若葉を収穫できるためです。

特に、木曽地域では月遅れの端午の節句(6月5日)の祝い餅としても作られ、初夏の風物詩として親しまれています。標高の高い木曽地域では柏の木が少なかったこと、そして朴の葉が持つ高い殺菌作用が、食品の保存に適していたから、という先人たちの知恵もあったようです。

厳しい自然の中で、身近な山の恵みを最大限に生かし、美味しいものを楽しむための工夫。朴葉巻きを通して、その土地の歴史や人々の暮らしに思いを馳せることができました。

特に印象的だったのは、朴の葉をひと枝まるごと使って包むという、その豪快かつ合理的な作り方です。家族で分けて食べる姿が想像でき、このユニークな姿も、朴葉巻きの大きな魅力だと感じました。

初夏の木曽路への旅は「朴葉巻き」とともに

地域の人々が大切に守り続けてきた文化や知恵が詰まったお菓子「朴葉巻き」。初夏の限られた時期にしか出会えない、この特別な味を求めて木曽路を訪れる旅は、きっと忘れられない体験になるはずです。

5月下旬から7月中旬まで木曽地方を訪れる際は、清々しい香りに包まれた「朴葉巻き」を味わい、木曽の魅力を五感で感じてみませんか。

販売期間中は道の駅や地元の和菓子店などで購入でき、取扱い店によっては「くるみあん」や「こしあん」などの味も楽しむことができますよ。

今回私が「朴葉巻き」を購入したお店はこちら
  • 道の駅 三岳
  • 住所:〒397-0101 長野県木曽郡木曽町三岳10491-9
  • 電話:0264-46-2011

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この記事を書いた人

水田やきいも

【ライター】長野県在住、自然が大好きな2児の母です。体験したことを分かりやすい文章で伝えることを得意としています。「読んだら行ってみたくなる」そんな発信をしていきます。好きな食べ物は餅と餃子。

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