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フード  |    2023.09.14

いいサービスとは何か?を考えさせられたとある食堂|徳島県海陽町

訪れた旅先で、何気ない日常を見てほっこりする、そんな経験をしたことはあるだろうか。

私はそんなほっこり体験が好きで、THE・観光地!というスポットよりも、地元の人に親しまれている場所に足を運びがちだ。

特に飲食店では、店内での会話や店員さんとの距離感などからその町の日常を垣間見れるので、できるだけ地元の人が行きそうな場所を選んでいる。

今回は、そんな私がとある飲食店で心温まる体験をしたので、ぜひシェアしたく記事にしてみた。

普通の民家かと思いきや……

ももや食堂入口

サーフィン&キャンプをするために、徳島県海陽町(かいようちょう)まで来ていた私たち。

サーフィン前に軽くお昼を食べようか、ということでいつものようにGoogle Mapsで良さげなお店を検索。

地図通りに向かい、現地に着いたはずがお店らしきものが見当たらず、あたりにあるのは民家だけ。

あれ?場所を間違えたのかな?と思っていたところに、どんどん人が入っていく場所が……

おそるおそる中を覗いてみると、そこが探していた「ももや食堂」だった。

おばあちゃんのペースに流されるまま

ももや食堂の手書きメニュー

お店の中に入ると、特にメニュー表はなく、あるのは手作り感満載のホワイトボードだけ。

満席だったため店内で待っていると、おばあちゃんに「何にする?もう注文決まった?」といきなり聞かれ、メニューの多さに戸惑いつつも、急いで注文を決めた。

ぼーっと立っていると、次は「ほら、あそこ空いたからお兄さんと一緒に座っててくれる?」と完全におばあちゃんのペースに流されるまま相席テーブルへ。

店員さんも遠慮がない様子だったので、お兄さんは常連さんかなと思いきや、初めてだったらしく、お互いぎこちない雰囲気のなか同じ席に着いた。

しばらくすると「あ、席空いたので、僕カウンター行きますね。」とお兄さんは席を離れていった。

お客さん同士の距離が近めな店内

地元でかなり人気なお店らしく、続々と人が入ってきては「また来るね〜」と食べ終わった人が出ていく。

どこか懐かしさを感じるごはん

入れ替わりが激しい店内でキョロキョロしているうちに、あっという間に料理がきた。

ちなみに頼んだのは、「カツオのたたき定食」。ここ徳島県海陽町は、カツオのたたきで有名な高知県のすぐお隣なので、きっとおいしいだろうなぁと期待して頼んでみた。

カツオのたたき定食

まだ濡れているお盆にお店の忙しさを感じつつも(笑)運ばれてきた料理の味は想像以上!

分厚く切ったカツオの刺身を一切れ口に入れただけで、その新鮮さが伝わってくる。そして、味付けもちょうどいい濃さで生姜が効いていて、食欲をそそる味だった。

カツオの刺身は10切れくらいあっただろうか?それに加えて小鉢が数品付いて「税込1,000円」というから驚きだ。

そして所々欠けているお皿や、豪華だけど飾らない料理は田舎のおばあちゃん家に遊びに来たような懐かしい気持ちになった。

助け合いの心で溢れている店内

帰り際に半分隠れている看板を見つけた

お店は、おじいちゃんとおばあちゃんのふたりだけで切り盛りしているようだ。

おばあちゃんが注文を受け、おじいちゃんが作る。
そして出来上がったごはんをおばあちゃんがテーブルに運ぶ。

少し足腰が弱っているおばあちゃんだったが、そんなおばあちゃんをカバーするように自然とお客さんが配膳を手伝っていた。

ほぼ全部のメニューが1,000円なので、お客さんは「あそこのテーブル2名分ね!」と自分が食べた食器を片付けがてら、ぴったりのお金をおばあちゃんに渡して帰っていく。

お水はセルフサービス、コップは足りない、片付けはお客さんが自ら、とサービスが行き届いたお店とは程遠いのかもしれない。

でも、そのお店での体験は高いお金を払っても得られるものではなく、じんわりと心を温めてくれた。

こういうほっこり体験こそ、実はいいサービスを上回るのでは、と思った出来事だった。

ももや食堂の情報

住所:〒775-0302 徳島県海部郡海陽町奥浦新町59−1
営業時間:11時〜21時(水曜定休日)
電話番号: 0884-73-2451
Google Maps

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この記事を書いた人

有村 奈津美

鹿児島県の奄美大島出身で、現在は奄美、京都、函館の3拠点生活中。自然と旅が好きで、あまり計画を立てずに直感で行く旅スタイルが定番。サーフィンやヨガを趣味で楽しんでいます。多拠点生活を活かして、「地元民」「旅行者」「短期移住者」、色んな視点から見た地域の魅力を発信します。

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