兵庫県明石市は、古くから海とともに歩んできた港町。
その食文化を語るうえで欠かせないのが、明石焼き(玉子焼き)です。
今回訪れたのは、「明石名物 玉子焼き 本家きむらや」。
魚の棚商店街から少し外れた路地にあり、観光地の喧騒から一歩離れた、落ち着いた場所に店を構えています。年季の入った看板や暖簾から、この街で長く親しまれてきた存在であることが伝わってきます。
明石グルメで外せない明石焼き

明石焼きは、小麦粉と卵をベースとした生地の中に、明石ダコを入れて焼き上げた料理。
見た目はたこ焼きに似ていますが、ソースをかけるのではなく、出汁につけて食べるのが特徴です。
卵の比率が高いため、生地はふんわりとやわらかく、だし巻き卵に近い口当たり。
主張の強い味付けではなく、卵の甘みと出汁の風味で食べる、明石ならではの素朴な郷土料理です。
1人前20個入りの明石焼き

注文すると丸く焼き上がった出来立ての明石焼きが提供されます。
赤い板の上にずらりと並ぶ姿は、思わず写真に収めたくなる光景。
表面はほんのり焼き色がつき、中はふわりと柔らか。箸で持ち上げると、卵のやさしい弾力がそのまま伝わってきます。
最初のひと口は、出汁につけずにそのままで。卵の自然な甘みと、ほんのりと感じるタコの旨みが口の中に広がります。

次は、たっぷりと用意された出汁につけて。透明感のある出汁は主張しすぎず、明石焼きのやさしい味わいを引き立てる存在です。浸すことで口当たりがさらに滑らかになり、するっと食べ進められます。

ここで、もうひとつの楽しみ方として用意されているのがソース。
ソースだけを少量つけて食べることもでき、卵の甘みとタコの旨みに、ほどよいコクが加わります。
さらに、ソースをつけたうえで出汁にくぐらせるという食べ方も可能で、出汁のやさしさの中にソースの風味が溶け込み、また違った表情を見せてくれます。
どれが正解というわけではなく、その日の気分で食べ方を変えられるのも、本場の明石焼きならでは。一皿の中で、味の変化を楽しみながら食べ進められるのが印象的でした。
おでんも自慢

「本家きむらや」は明石焼きの専門店ですが、もうひとつの名物が、おでん(関東煮)。
店内の一角には大きな鍋が置かれ、しっかりと出汁が染み込んだ具材が並んでいます。
用意されているのは、タコ、スジ、卵、ごぼ天、厚揚げ、豆腐、ちくわ、じゃが芋、こんにゃく、大根。
明石焼きと一緒に楽しめるのが、この店ならではです。

今回いただいたのは、タコと大根。特に印象に残ったのが、おでんのタコです。
足を一本そのまま煮込んでいるため、見た目にも存在感があります。箸を入れると驚くほどやわらかく、噛むほどにタコ本来の旨みがじんわりと広がります。
下ごしらえを特別に施さなくても柔らかく仕上がるのは、明石の市場から仕入れる新鮮なタコだからこそ。「タコは硬い」というイメージを持っている人ほど、ぜひ味わってほしい一品だそうです。

大根は中心までしっかりと出汁が染み込み、口に入れるとほろりと崩れます。派手さはありませんが、明石焼きやタコと合わせて食べることで、食事全体に落ち着きとまとまりを与えてくれます。
明石焼きだけでなく、おでんも含めて楽しむことで、この店の魅力がより立体的に伝わってきました。
おわりに
新鮮な魚が集まる港町・明石で生まれた明石焼きは、この土地の暮らしと深く結びついた料理です。出汁で味わうやさしい一皿と、丁寧に炊かれたおでんを同時に楽しめるのは、「本家きむらや」ならでは。
明石の街を歩き、海の気配を感じたあとに立ち寄ってみると、きっとその魅力がより深く伝わってくるはずです。明石を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
明石名物 玉子焼き 本家きむらや
住所:兵庫県明石市鍛冶屋町5-23
営業時間:10:00〜17:00(L.O.16:30)※仕込分が無くなり次第終了
定休日:月曜日
電話番号:078-911-8320




