香川県三豊市。香川県の西部に位置し、四国八十八景に選定され「日本のウユニ塩湖」としてSNSでも大人気の父母ヶ浜(ちちぶがはま)を有しています。
そんな三豊市から、夫婦で営む古民家を改修したパン屋さん「りすのくつ」をご紹介します。
DIYで製作した石窯オーブンで作られた美味しい焼きたてパン
緑色の建物がパンが置いてあるお店です。
建物前では、可愛い兄弟わんこの太刀(たち)と東風(こち)からの熱烈歓迎を受けました。
中に入ると、パンの焼ける良い匂いが広がっています。
お話を聞かせてくれたのは、吉川 雄介さんと郁子さんご夫婦です。
ショーケースの中や上に並んでいるのは、パンと焼き菓子で15~20種類ほど。
フォカッチャはその季節の旬のものをサンドしているそうです。
フォカッチャ、何となく固いようなイメージだったりしませんか?りすのくつさんのフォカッチャはふっくらと柔らかく、中の具材も組み合わせが豊富でどれも美味しいです。
プレートメニュー(店内メニュー)はカレー・サンドイッチとスープで、イートインも出来ます。
ピザは「トマト・バジル・チーズのピザ」「クアトロフォルマッジ」「季節の野菜と塩麹チキン」の3種類あります。これは制覇したくなりますね!
りすのくつさんのインスタグラムは【こちら】
お店に入って右側には石窯が鎮座しています。
石窯は雄介さんが作ったそうで、元々は納屋だった建物をDIYで改修した際に出た土壁を再利用したもの。
「設計図無しのフリーハンドで作ったんで、ちょっとサイズが合ってなくて膝をつかないと作業がしにくいのが難点です」と郁子さんは苦笑い。
元納屋の暖かなイートインスペース
イートインスペースも元は納屋だった建物。
こちらは漆喰を使って郁子さんも左官をこなしました。
「初めて足場を立てたんですよ」と、お2人がDIYを楽しんで作業されたのが伝わります。
奥に見えるのは薪ストーブ。床に熱を循環させる配管が通してあり、床暖房みたいでとても温かいそうです。
本棚の本や漫画を読んでのんびり過ごす方も多いんだとか。
壁には燕の巣が見られました。「燕が巣を作る家は縁起が良い」と言われるように、幸運の象徴とされています。
きっと千客万来間違いなしですね!
2階へは靴を脱いで上がる座敷スペースです。寝転んでくつろぐ人も…まるでもう1つの家のような過ごし方ができます。
りすのくつの夫婦の新たな始まり
吉川さんご夫婦は、10年前に兵庫県から香川県三豊市に移住してこられたそうです。
「僕は農業の仕事をしたかったんですが、タイミングとかが合わなかったのか近郊では見つからず香川県で農業法人を見つけて、僕が先に会社の寮に入って家を探しました。
夫婦2人で田舎暮らしも良いなと思い、三豊市の空き家バンクで良い感じの古民家を探し出せました。
三豊市は移住支援制度が充実してるんですよ!
6年ほど農業法人に勤めて、休みの間に少しずつ改装のリフォームをして、納屋を店舗とイートインスペースに作り上げました。
コロナ禍で逆に準備できたという所はありますね、リフォームに使う木材の値段が高騰する前だったのも良いタイミングで、コロナが落ち着いた頃の去年6月にオープンできました」と、雄介さんがお店のオープンの経緯を話してくれました。
郁子さんは「土壁を再利用して石窯と、ショーケース下の発酵器も作ることが出来ました。
石窯の余熱でスコーンやチーズケーキを作ったり、パンの発酵にも土壁が良い感じで、真夏は保冷剤・冬は湯たんぽを入れてるので経費的にも良い効果です。
ピザ・大工・珈琲・畑を夫が、左官とパンを私がという役割分担になってますね。
パンや焼き菓子を並べてるショーケースも、譲ってもらったものなんです。
元は煙草屋さんで雑貨を置く為のものだったそうで、今はショーケースの部分のみ使ってます」と話してくれました。
香川県の味覚を活かしたパン
お店をパン屋さんにしたのは、郁子さんがパン屋さんでの勤務経験があったからだそうです。
「前に住んでいた所では取り寄せないとダメな物の方が多かったのですが、香川県は小麦と塩を作っていて、とうとう香川県産強力粉『はるみずき』が解禁になり、香川県産小麦粉(『さぬきの夢』と『はるみずき』)、香川県産の塩、自分の店で育った発酵種(春夏は野草種、秋冬は酒種)のみでパンが焼けるようになりました!
香川県産のみの材料…つまり、その土地の小麦とその土地の微生物で出来るパンを作りたいんです」と熱く語る郁子さん。
「始めは農家民宿をイメージしてましたが、子供が生まれた事もあり、ママ友から近くに定食屋はあるけどカフェやパン屋がないよね、という話を聞くようになりました。
更に、三豊市は『フルーツ王国』と呼ばれるほど果物の生産が盛んなので、アボカドやフルーツがパンに合うのではと考え、パン屋をオープンする事にしました」
パンづくりへの情熱が詰まった場所
オススメはと尋ねると「自分の食べたいパンとなると、カンパーニュ(田舎パン)ですね。
カンパーニュの正式な定義はないかと思いますが、起源をたどって考えると、地元産の小麦でその土地に棲む微生物を醸した生地を大きく焼く、というのが理想だなと個人的に思っていました。
今それが実現してとても嬉しく、そしてもっと精進せねばと思っているところです」と郁子さん。
雄介さんは「7・8月は暑くて営業が中々できず、9月から本格的に営業しながらやっと1年が経ちました。
イートインスペースの本棚やストーブを大きくして、もっと快適に過ごしてもらえたらと思ってます」とこれからについて話してくれました。
パンへの深い情熱が伝わりますね。
緑豊かな景色の中にある古民家で、パンやピザを楽しむのに最適なイートインスペースも提供しています。
香川の味覚を満喫できる「りすのくつ」へ、ぜひお越しください。
りすのくつ
〒769-0402
香川県三豊市財田町財田中2937-1
定休日:月・火(不定休有)※インスタグラムにて告知
水・金・日 パン / 木・土 ピザ
営業時間:11:00~16:00(売り切れ次第終了)
【Instagram】