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フード  |    2023.11.29

「常磐もの」とは?美味なる魚はいわきにあり

こんにちは!福島県いわき市担当のさわきゆりです。
皆様は「常磐もの」(じょうばんもの)という言葉を耳にしたことはありますか?

常磐ものは福島県沖で育ち、県内にある漁港で水揚げされた水産物のこと。
地元の人たちが毎年、カツオやサンマなど、季節の魚を心待ちにするほどの美味しさです。

常磐もの(鰹)

港町で新鮮なうちに食べられるから…だけではありません。
福島県沖には、上質な魚が育つ独特の条件があるのです。

常磐ものをはぐくむ「潮目の海」

今回の記事では、創業100年の老舗鮮魚店「株式会社おのざき」四代目・小野崎雄一さんが、常磐ものについて教えてくださいました。

株式会社おのざき四代目・小野崎雄一様
画像提供:株式会社おのざき

常磐ものの魚は旨味が強く、簡単な調理でも美味しく食べられるのが魅力です。
小野崎さんはその理由を、福島県沖が「潮目の海」だからなのだと話します。

「北からの親潮と南からの黒潮、ふたつの海流がぶつかるところが潮目の海。魚の餌になるプランクトンが多い、良質な漁場です。常磐ものの魚はプランクトンをたくさん食べて、栄養豊富に育つんですよ」

おのざき平店の店頭に並ぶ常磐ものは、どれも丸々として、魚のいい匂いがします。
急におなかが空いてきました!

常磐もの(店頭)

常磐ものの魚たち

魚種が多い潮目の海。いわきに揚がる水産物もカツオ、ウニ、タイなど実に様々です。
魚のプロフェッショナルである小野崎さんに、特におすすめの3種を尋ねると「目光、ヒラメ、アンコウ」の名が挙がりました。

目光は、口の中でふわりとほどける柔らかい身と、しっかりした旨味が特徴の小さな白身魚。
いろいろな食べ方で親しまれています。

常磐もの(目光)

地元では唐揚げが一番人気ですが、小野崎さんのおすすめは握り寿司です。
「酢飯と合わせることで、より目光の美味しさを堪能できます」と話してくださいました。

ヒラメも地元で人気がある魚種のひとつです。

ヒラメ丼

小野崎さんが「実はよく合うんですよ」とすすめるのは、味噌だれをつけた握り寿司。
地元でもあまり知られていない食べ方ですが、とても美味しそう。

アンコウは季節を告げる風物詩。いわきでは10月から3月頃まで水揚げがあるそうです。

常磐もの(アンコウ)

「アンコウ鍋もいいですが、あん肝も美味しいですね。僕は鍋にあん肝を入れるのが好きなんです」(小野崎さん)
寒い夜、アンコウ鍋で温まりながらお酒を一口。そんな贅沢も冬の醍醐味です。

常磐ものは干物やかまぼこなど、加工品も人気があります。

常磐もの(目光丸干し)

メヒカリの丸干しは贈答品としても、おかずやおつまみとしてもポピュラーな万能選手。
旨味がぎゅっと詰まった、間違いなく喜ばれる逸品です。

こちらは株式会社おのざきオリジナル商品「金曜日の煮凝り(にこごり)」。

常磐もの(金曜日の煮凝り)
画像提供:株式会社おのざき

煮凝りとは、ゼラチン質が多い魚の煮汁を冷やし固めたものです。
小野崎さんたちは魚のアラを使った煮凝りを、琥珀色の上品なジュレに進化させました。
1週間の仕事を終えた金曜の夜、お酒と一緒に楽しむのに最適です。

いざ実食!常磐ものの握りを堪能

いわき駅前の商業ビル・ラトブの1階にある「寿司おのざき」では、常磐ものの世界観に触れながら、お寿司を味わうことができます。

寿司おのざき(前景)

店内の壁には潮目の海と、いわきにある8つの漁港が、一目でわかるように描かれています。

寿司おのざき(壁)

赤むつ、ほっき貝、ほうぼう…常磐ものは実に魚種が豊富です。
どれにしようか迷ううちに、全部食べたくなってしまいました。

寿司おのざき(お品書き)

まずは、小野崎さんがおすすめしていたヒラメの味噌だれ握り。
魚の旨味と味噌の香りが相まって、びっくりするほど美味しい!

常磐もの(ヒラメ握り)

一皿で7種類の魚を楽しめる「常磐もの七浜握り」を頂きます。
この日は、とらふぐに代わって花鯛の炙りが入っていました。

常磐もの七浜握り

常磐ものの魚は、それぞれ異なる歯ごたえも美味しさのひとつ。
噛みしめると、潮目の海が育んだ旨味が口いっぱいに広がります。
地元の魚を食べて育ったいわきっ子でも、この美味しさにはひたすら感動でした。

小野崎さんおすすめの、目光の握り寿司は炙りで。
柔らかな白身がとろりとシャリに寄り添う、その美味しさときたら、もう!

常磐もの(目光の炙り)

変わりゆく常磐もの

地球温暖化が、あらゆるものに影響を及ぼしている現代。福島県沖の漁場にも変化が起きているそうです。

株式会社おのざき四代目・小野崎雄一様(2)
画像提供:株式会社おのざき

「目光もカツオも、サンマも減ってしまいました。海水温が上がったことで、福島県沖にいた魚たちが、冷たい海を求めて北へ行ってしまうんです」と、寂しそうな小野崎さん。
残念ながら、全体的な漁獲量も減少しているそうです。

一方で、以前は南にいた伊勢エビやタチウオが、2年ほど前から福島県沖でも獲れるようになりました。
地球温暖化の波は、常磐ものにも押し寄せているのですね…。

小野崎さんは、常磐ものを多くの方に知ってほしいと、SNSなどで様々な発信をしています。
「いわきはお魚が美味しく、温泉もあって良いところ。実際に足を運んで、お店の常磐ものを見ていただきたいですね」と話していました。

ぜひいわきを訪れて、地元ならではの「常磐もの」を味わってみて下さいね!

おのざき平店

住所:〒970-8026 福島県いわき市平正内町80-1(鮮場やっちゃば内)
電話番号:0246-23-4174
営業時間:8:30~19:00(不定休)
URL:https://onozaki.net/

寿司おのざき

住所:〒970-8026 福島県いわき市田町120(ラトブ1F)
電話番号:0246-25-1617
営業時間:【昼】11:00~15:00【夜】16:30~21:00(不定休)

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この記事を書いた人

さわきゆり

福島県いわき市でうさぎ1匹と暮らすフリーライターです。 250ccの小さなバイクで走り回ることが大好き。 いわき・福島の魅力をどんどん発信していきますね! いわきには市の魚・目光に由来する「めひかり塩チョコ」があります。 さて、どんなお菓子でしょう? 検索してみてくださいませ。

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