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フード  |    2023.12.09

こんなところに喫茶店!?古き良き生活を五感で感じられる「孫右ェ門」で感じた京文化【前編】

いたるところにある寺院や神社、着物姿で街を歩く人たち、築100年を超える日本家屋など、古き良きものが数多く残る、日本の古都、京都。

そんな文化や歴史に多くの人が魅了され、コロナ禍前の2019年の年間観光客数は「8791万人」と世界でも有数の観光都市になっている。

それだけ人気の都市なので、観光スポットなどに足を運ぶと、どこを見渡しても人、人、人。

しかし、その一方で、商店街や住宅地などを歩くと、昔ながらの日本の生活を垣間見ることができる。

そういったところでは、ガイドブックやテレビ特集では決して取り上げられていない、リアルな世界が広がっているもの。

今回は、2023年4月から4ヶ月間京都に住んでいた私が、「京都のことをもっと知りたい」と散歩している時にたまたま見つけた、路地奥にひっそりと佇む喫茶店について紹介していきたい。

おそるおそる門をくぐったその先には……

今回、ご紹介したいのは丸太町駅から徒歩10分のところにある「喫茶 孫右ェ門(まごえもん)」。

散歩をしていて少し疲れたので、Google Mapsでカフェを検索し「隠れ家的カフェ」という口コミに惹かれて、このお店を選んだ。

しかし、地図の示す通りに歩いてきたものの、なかなか目的の場所にたどり着かない。もう一度地図を見直して、お店の場所を確認するとようやく看板を見つけた。どうやら目の前を数回通り過ぎていたようだった。

「喫茶 孫右ェ門」の文字があるけれど、「森木」「有限会社ウッド・フォー」の表札もある。

「ここは喫茶店なのだろうか?それとも個人のお家?勝手に入っていいのかな?」

そんな葛藤を抱えながら、門の先が気になる好奇心を抑えきれず「お邪魔します」と小さくつぶやいて中に入った。

しかし、門をくぐった先にもまた門が現れた。

急におじちゃんが横から現れて、勝手に入ったことを怒られはしないかとビクビクしながらも「この奥、右へお進みください」という矢印に従って、さらに奥の方へ入っていく……。

突然広がっていた光が差し込む開放的な空間

2つ目の門をくぐり抜け、右に曲がった先には、こじんまりしているが、差し込む光と緑がきれいな坪庭が広がっていた。

まるで田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たかのような感覚で、まだ誰かのお家にお邪魔している気持ちが拭えないまま、縁側から中の方をそーっと覗く。

外から様子を伺っていると、お店の人と目が合い、中へと案内された。「お好きな席にどうぞ〜」と言われたものの、やっぱり誰かのお家に上がる感覚があり、落ち着かない。

とは言っても「やっぱり帰ります!」と言い残して引き返す訳にはいかないので、そっとソファーに腰を下ろした。

目には見えない隔たり

貸切だった店内に、後からおじちゃんが入ってきてカウンターに座り、仕事のことや京都の街並みの変化など色んなことを店主と楽しげに話していた。

地元の人同士っぽい会話をちょっと羨ましく思いながら、そこには入れない気がして、ひとり本を読みながら紅茶を飲み、そっとお店を後にした。

家に帰る途中も、路地奥にあったそのお店のことがなんだか心に引っかかっていた。

「お店の人に接客してもらったし、おいしいものもいただいた、でもなんだかすごく距離が遠かった気がする……」

いつもならお店に行って、店員さんと自分との距離感などあまり気にしないのだけれど、そのときは不思議ともっと近づいてみたいと感じたのだ。

そして、その気持ちに正直に、InstagramのDMで連絡をとり、今度は『取材』という形で、再度訪れることになった。

お話を伺った松本さん(左)と森木さん(右)

後編では、築88年の京町家と森木さんの出会いや喫茶店営業の裏側に隠された熱い想い、独特で奥深い京文化など、実際に伺った話をもとにお届けします。

こんなところに喫茶店!?古き良き生活を五感で感じられる「孫右ェ門」で感じた京文化【後編】

孫右ェ門

住所:〒604-0005 京都府京都市中京区玉植町244-1
定休日:日曜日
営業時間:11時〜18時(18時以降は要予約)
電話番号:075-255-7490

▶︎公式Instagram

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この記事を書いた人

有村 奈津美

鹿児島県の奄美大島出身で、現在は奄美、京都、函館の3拠点生活中。自然と旅が好きで、あまり計画を立てずに直感で行く旅スタイルが定番。サーフィンやヨガを趣味で楽しんでいます。多拠点生活を活かして、「地元民」「旅行者」「短期移住者」、色んな視点から見た地域の魅力を発信します。

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