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フード  |    2024.01.19

岐阜の美景と逸品フレンチ「リリアーヌ」地元のこだわりが詰まった”最上”の料理を味わう

国道41号線を車で走り、細い小道を進んでいくと、川のほとりに佇む一軒のお店が見えてきました。ここは岐阜県可児市のフレンチレストラン「リリアーヌ」。 眼下には可児川と合流してゆったりと流れる木曽川、目の前には可児市民に親しまれる鳩吹山。美しく雄大な景色が広がっています。

川の畔に佇むレストランの外観。ヘリポートもあり予約することができる。(リリアーヌ画像提供)
建物の外に流れる木曽川と可児川の合流ポイント。写真は夏、清々しい緑が広がる。(リリアーヌ画像提供)

重厚なエントランスを通っていくと、明るく開放的な空間が目の前に現れます。大きな窓からたっぷりと光が差し込み、きらきらと光る川の様子を眺めるのは、なんと気持ちの良いことでしょう。

55名まで使える明るく広々とした空間。使用シーンによって個室も使えるそう。(リリアーヌ画像提供)

コースメニューは、予算に合わせて全部で5つのコースがあります。コースは全て要予約。公式ホームページから予約できます。今回取材と合わせて3850円のランチコースを楽しんできました。

3850円コース (ランチのみ)
小さな前菜、スープ、お魚料理、お肉料理、デザート

【6600円コース】
小さな前菜、前菜、スープ、お魚料理、お肉料理、小さなデザート、デザート

【8800円コース】
小さな前菜、前菜1、前菜2、お魚料理、お肉料理、小さなデザート、デザート

【13200円コース】
小さな前菜、前菜1、前菜2、前菜3、お魚料理、お肉料理、小さなデザート、デザート

【17600円コース (ディナーのみ、3日前までの予約) 】 
旬の食材を使った特別コース

濃厚なソースといただくオマール海老 (リリアーヌ提供画像)
小さな前菜:岐阜県産菊芋のムース・トマトコンソメ (筆者撮影)
スープ:岐阜県産赤カブの温かいスープ (筆者撮影)
本日の海のお料理:北海道産ホタテとハーブを使ったお料理 (筆者撮影)
お肉料理:岐阜県産牛ホホ肉の赤ワイン煮込み (筆者撮影)
デザート:岐阜県関市上之保産ゆずのタルト (筆者撮影)

今回は、フレンチレストランリリアーヌにて「価値のある地産地消」をテーマに、顔の見える生産者との繋がりを大切にしたいと語るシェフの大脇さんにお話を伺ってきました。

異国での生活を経て料理人の道へ

オーナーシェフの大脇有人さん (リリアーヌ画像提供)

1983年、岐阜県可児市の中心部「広見」の地で創業。レストランが軌道に乗ってきた1990年、大脇さんが小学4年生の頃、現在の場所に移転し、今年でちょうど40年を迎えるそうです。

2009年に創業者のお父様からお店を引き継いで、二代目のシェフに就任した大脇さん。早い時期から料理人の道を目指していたのでしょうか。

「高校卒業が近づいてきた時、何をやりたいとかなくて、どうしようかなと思った時に当時好きだった音楽の影響もあって海外に行きたいなと思ったんですよね」

と意外な答えが返ってきました。高校を卒業してからは、イギリスをはじめオーストラリア、アジアなどでバックパック生活をしていたそうです。3〜4年かけて、異なる価値観に触れ、様々な経験を経て日本に戻ってきました。

「会社員ってのはできそうにないって思って、手に職のほうが向いてるんじゃないかと考えた時に、ぱっと浮かんだのはやっぱり父親の仕事でしたね。和食とかはイメージがなかったから洋食だなって」

日々料理に向き合う (リリアーヌ画像提供)

当時21歳、東京の調理師学校の門を叩きました。1年間勉強し、東京青山のレストランに就職。ホテルなどで修行を積みます。

その後、2005年からはフランスに渡り、パリやブルゴーニュのレストランで最上級の味を追求しながら研鑽を続けたといいます。そして2009年に帰国しリリアーヌのシェフに就任しました。

都会で感じた「最上」の違和感

スタッフとともに岐阜県加茂郡東白川村の農家さんへ (リリアーヌ画像提供)

「パリや東京が当時の自分の”最上”の定義だったんですよね」

パリ、東京といった煌びやかな大都会で求められるもの……それは最上級のクオリティ。グレードの高いレストランやホテルでの修行を経て、この地に戻りシェフになった当初、ここでも都会のような最上のものを提供しようと試行錯誤していたそうです。しかし、パリや東京ではないこの地では何だかうまくいかない。

ここでレストランを続けていく意味は何なのかと考えたときに、当時都会でうっすら感じた違和感がはっきりしたといいます。「食べられる部分を捨てるのは好きじゃない」ということ。お金がかかる最上のものは都会に自然に集まっていく。じゃあこの地での”最上”とは何なのか。それは、生産者の想いが詰まった食材なのです。

雨の中、寒い中どんな時でもがんばって育ててくれたその思いを届けたいーー。

「僕にとっては、例えばあの人が作ってくれたこのにんじんが、そもそも最上のものなんだって年齢を重ねて気づけたと思う」海外生活や今までの日々を振り返り、思いを馳せるような眼差しに熱い気持ちを感じました。

変化を受け入れ、想いを繋ぐ「地産地消」

取材時の1枚。快活で話し上手な大脇さんに元気をいただきました!

仕事をする上で大切にしていることを聞くと、「変化」だそう。一緒に働くスタッフたちにも、お客さんへの話し方や包丁の扱い方など、何か小さなことでも昨日とは違う方法でできることがないか考えてほしいと語ります。

それはもちろん料理においても同じ。「自然に変わっていく」季節のように、今そこにある食材をもとに、訪れた人によって、日によって少しずつコースの中身を変えていくそうです。季節が移り変わって食材の味が変化したら、味付けを工夫するなど日々の微調整を怠りません。

「去年のメニューも残してあって、見ることはあるけど1%くらいですかね。その食材が今年もあるとは限らないし、今手に入るとは限らない。メニューを月ごとに変えていく店もあると思うけど、それってうちでやることじゃないし、魚なんて冷凍になっちゃうから。去年使ってた食材が今年はイノシシや鹿に食べられてしまうこともあるじゃないですか」

食材を仕入れる時、必ず自分の足で食材が作られている地に赴き、作っている生産者の方と話をするといいます。それは、どういう人がどういう想いで作っているのか知りたいから。

大脇さんと農家さん (リリアーヌ画像提供)
岐阜県の野菜が多く使われている (リリアーヌ画像提供)

「半径100km、価値のある地産地消」をテーマに岐阜県の食材(主に野菜やジビエなどの肉)や、近隣の県(岐阜県には海がないので魚介類など)のよいものを実際に目で見て、作られた想いを感じながら仕入れてくることを大切にしているそうです。

1日として同じ日はないからこそ、変わっていく日々を受け入れながら、その時のひらめきを大切にして仕事や料理に向き合う姿勢が垣間見られました。

お皿の上だけじゃない、心地よい『体験』を

友人といただいたメイン料理の牛ホホ肉。口の中でとろけるお肉とアクセントとなるビーツのソースがマッチしてぺろりと食べてしまった (筆者撮影)

「”食”ってお腹が空いてるから食べるってのもあると思うんだけど、せっかくここに来てくれたのだから『ここに来て美味しかったね、楽しかったね』という気持ちを感じてほしいし、体験も含めての”食”だと思ってるんですよね」

ここに来る時は、家族や友達とか好きな人と来てほしい。そして、お皿の料理はもちろんだけど、お店に訪れる道中の会話で期待をふくらませたり、好きな人と笑い合って食べることで幸せを感じたり、景色を見てすごいじゃん!と感動したり……そういったここに来て帰るまでの全ての体験を楽しんでほしいと語ります。

特別な1日を大切な人と (リリアーヌ画像提供)

日々の研鑽の中から生まれた地域の食材を活かした料理と、岐阜県可児市の自然あふれる土地で、大切な人と「今」を思いっきり堪能してみてはいかがでしょうか。いつ訪れても移り変わる四季のような、温かな変化を感じる料理と雄大なロケーションに心踊ることでしょう。

オンラインで厳選のジビエセットや特製飲み物はいかがですか?

シェフが厳選した品をオンラインストアで購入することができます。例えば、岐阜県揖斐川町で加工・製造されたジビエ(鹿肉)のセットや、店内でいただける飲み物(ローゼルシロップ、和紅茶等)の詰め合わせ、お肉専用のナイフなど……気になる品がたくさんあります。遠方にお住いの方でもレストランの味や岐阜県の空気をきっと感じられるはずです。

店舗情報

【住所】〒509-0206 岐阜県可児市土田4384

【電話】0574-25-1159 要予約

【時間】ランチ 11:30~15:00(L.O.13:00)ディナー 17:30~22:00(L.O.19:30)

【定休日】月曜休(祝日の場合翌日)及び不定休

【駐車場】25台

【Instagram】https://www.instagram.com/liliane_gifu/

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この記事を書いた人

川地 優衣(かわち ゆい)

岐阜県に住む年子2児の母。育児に奮闘しつつ、複業フリーランス(日本語教師/ライター/フォトグラファー)として活動中。好きなものは旅行と自然と音楽。カフェを巡ったり、花を撮影したり、歌ったりして過ごすのが好きです。30年住んだ自然豊かなふるさと岐阜県が大好き。地元の素敵な場所やそこで生業をする人たちの想いを記事にしていきます!

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