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フード  |    2024.02.14

ワインインポーターが、軽井沢コモングラウンズにショップを出した1年を振り返って。日下部信嘉さん|aVin bio wine shop karuizawa

2023年3月軽井沢コモングラウンズオープンに合わせて出店

2023年3月1日、全国に「蔦屋書店」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)がオープンした「Karuizawa Commongrounds(軽井沢コモングラウンズ)」。約3500坪の森の中に「軽井沢書店 中軽井沢店」をはじめ、インターナショナルスクール、カフェ、コワーキングスペースなどが点在する複合施設の一角に

ワインインポーター・aVin(アヴァン)の「aVin bio wine shop Karuizawa」はあります。

この3月に開店1周年を迎えるオーナーの日下部信嘉さんに、東京から軽井沢にお店を出された経緯や、生産者と近くなった長野での1年についてお話を聞きました。

実は、軽井沢への教育移住が先だった

ーー 東京でワインインポーターとして2016年に開業し、主に南仏ローヌ・プロヴァンス地方のビオワインを取り扱っていて、当初長野ワインは青木村のファンキーシャトーを扱うくらいで長野との繋がりは少なかったと思うのですが。軽井沢への出店はどのような経緯で決められたのですか?

(日下部さん)軽井沢に来たのは、出店するのが最初の目的ではなかったんです。私は岐阜県飛騨地方の出身なのですが、東京で20年近く住んでおり、東京の仕事がリモートでも回ると考えたことと、子供が学齢期になって「地方で育てたい」という希望があり、それが叶ったのがたまたま軽井沢だったと。

ーー教育移住ですね。ここ数年、軽井沢町を含めた長野県の東信地方に新しい教育環境を求めて移り住まれる方が増えています。お子さんが通われたのは風越学園で?

(日下部さん)ええ。日々軽井沢で過ごすのであればショップを出そうと探したものの、物件が見つからずにいました。そんな折に風越学園の保護者の方にご注文のワインを1ダースお届けした時、状況を話した玄関先でコモングラウンズの話題が出ました。「気になるようならお繋ぎしますよ」と言ってくださったのが出店のキッカケなんです。

軽井沢出店で1年を過ごして

ーー軽井沢コモングラウンズはとても注目された施設ですが、どうですか?1年経過して。

(日下部さん)オープン時期は多くのお客様が来店されました。ゴールデンウィーク前後からは別荘の方、夏は観光の方、9月でお客様が少なくなるかと思いましたが10月くらいまで客足は落ちず。ただ11月後半以降寒さが厳しくなるにつれホントに人が少なくなって。3月の後半まではネットショップにも力を入れて我慢ですね。

ーーお客さんのお好みに何か特徴はありますか?

(日下部さん)個人的な感触ですが、移住してきた子育て世代の方だと比較的ナチュールワインを好まれ、別荘や定住の方だと飲み慣れているものかそれに近いものを探す傾向にあるように感じます。

ーー今ネットショップを見ると長野ワインが11箇所もあります。軽井沢出店以降取り扱いが増えましたか?

(日下部さん)軽井沢に引っ越すことになって、近くにどんなワイナリーがあるのか、紹介やワインイベントを通じて尋ねさせて頂くようになりました。そんな中で知ったのそこで知ったのは千曲川ワインアカデミーを通じてどんどん新しいワインの作り手が誕生し、ワイナリーを持たない人もヴィンヤード(ぶどう畑)を持ってワインは委託醸造で作られる方が多いことです。そういう方々にもお願いして、お取引先がぐっと増えました。

ーーワインは醸造し樽熟成するワイナリーのメージが強かったので、まずはぶどう栽培からワインに関わり、醸造委託でボトルもリリースする方が増えているとは知りませんでした。

(日下部さん)まだ個々の生産量自体が少ないでしょうし、栽培から販売までお一人でされている方も多く、全国的にはまだ認知度も低いのかもしれません。そのような生産者さんのワインも扱いを増やして、aVin(アヴァン)としても長野県のワインに貢献できればと考えています。

長野ワインが中心の棚
南仏ローヌ・プロヴァンス地方を中心とした棚

長野ワインのお勧めを教えて下さい

(日下部さん)やっぱり青木村のファンキーシャトーさんですね。ここに出店する前の2015年からのお付き合いですし、名指しでお買い求めのお客様も多い人気のワイナリーです。

ーーaVin(アヴァン)が軽井沢で新しく見つけた生産者さんという視点でいうと?

(日下部さん)全部と言いたいところですが、誌面の問題もあるでしょうから、

 高山村の川島醸造さん

を挙げたいと思います。こちらはおひとりで全てされてるワイナリーで自社畑は無農薬栽培をされています。複雑ですが飲みやすく、昨年 2 月リリースのワインは夏前には完売してしまいました。

軽井沢でもワインを広める場をつくる

コロナ前には、東京の素敵な写真スタジオを会場に試飲会を開催し、ワインのファンを増やしてきたaVin(アヴァン)。ここ軽井沢でも2月に初のワイン会を昨年11月に中軽井沢にオープンしたナチュラルワイン&パスタのお店「rest.」さんと共催。今後もショップ以外の場でもワインを楽しむ機会を増やしていきたいと考えているそうです。

2月17日のワイン会告知のfacebook。

東京都目黒区での2019年のaVin(アヴァン)の試飲会風景

帰り際に「これも載せてほしいんです」と言われた素敵な話

(日下部さん)入居した店は各自内装を自分でやる前提で石膏ボードの壁とコンクリの床で12月半ばに引き渡されました。そのとき、セルフビルドパートナーのえんがわ商店(佐久市望月)の渡辺さんや子供の通う学校のスタッフさんや保護者さんに手伝ってもらい、3月のオープンになんとか間に合わせられました。

店がオープンしたら、今度は雇い入れたパートさんがワイン好きな方が多くて、自分で飲まれてそれぞれにオススメの銘柄をお客様に勧めることができている。お店を出す前には計算できなかったことでお店が成立していることにとても感謝しています。

お話を聞いて、日下部さんの頑張る姿が「好循環」を呼び込んでいるのでは?と、それを伝えると謙遜して否定されそうだったので、にっこり頷いてお店を後にしました。

aVin bio wine shop Karuizawa 店舗情報

URL  https://avin.jp/category/about-us
住所   長野県北佐久郡軽井沢町長倉鳥井原1690-1
     しなの鉄道線「中軽井沢」駅南口から徒歩約15分、
     北陸新幹線「軽井沢駅」からは車で12分程度
     碓氷軽井沢ICから約14km(約25分)
TEL     0267-41-6731
営業時間 11月-3月 10:00-17:00
4月-10月 10:00-18:00
定休日  火曜 *8月は無休予定

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この記事を書いた人

Kunie

20代で首都圏エリアの情報誌のライターをしていました。その後、一般企業に転職。東京から長野へ移住、単身赴任、親の介護を経て子供の独立を機に退職。地元誌のインタビュー記事を担当させていただいたご縁から、20代から長いトンネルを経て、またライターで働いてみようと日々奮闘中です。

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