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フード  |    2024.05.22

はじまりはママ友同士の20年ぶりの再会。薬膳×発酵で地域を盛り上げる食ユニット「オオミヤシマイ」

「オオミヤシマイ」。背景の「大宮氷川参道」は街のシンボルで、参道としては日本一の長さとも

 「埼玉って、何かと“イマイチ”って言われがち。でも人も環境も、本当にいい場所なんですよね。だから、この街を盛り上げたくて」――そんな思いを語るのは、食ユニット「オオミヤシマイ」。

 互いの経験を持ち寄って新たな活動を始めたお二人についてお話を聞きました。

仲良しだったママ友二人が、20年ぶりに再会

オオミヤシマイの茂木さん(左)と山﨑さん

 2022年に活動を開始したオオミヤシマイは、共に食のプロである茂木真理子さんと山﨑奈々さんによるユニット。そんな二人が出会ったのは、今よりずっと前、子どもが通うさいたま市(当時は大宮市)の幼稚園でした。 

親も子も仲が良い園で、2年間ママ友として交流を深めた二人。ところが小学校では子どもたちの性別の違いなどから徐々に距離ができ、親同士も疎遠に。 

「互いに興味やセンスが似ていると感じつつも、顔を合わせることはなくなって。しばらくは年賀状とSNS上だけの交流でした」

カフェでの再会がふたりでの活動のきっかけに

そこから長い時が流れて迎えた2021年。二人の人生が再び交わる機会が訪れます。

「二人とも大好きだった都内の某カフェが閉店することになって大ショック。自然に『最後にオーナーさんに会いに行こう』という話になり、約束しました」。それは、約20年ぶりの再会でした。

それぞれの知識と経験が出会って生まれたユニット

長らくリアルな交流が途絶えている間、なんと二人は、偶然にもそれぞれ「食」のキャリアを積んでいました。

 山﨑さんは飲食店のアルバイトなどを経験。都内の店を間借りして、週に一度のカフェを友人と営業していましたが、その活動が終了。茂木さんと再会した頃は、次なる展開を模索する時期でした。

長らく航空・旅行業界に勤めていた茂木さんは、40代で病に。それを機に食の重要性に気づき、一念発起して大学へ。山﨑さんとの再会当時は卒業直後でした。管理栄養士や国際中医薬膳師の資格を活かしながら、レシピ開発や料理提供、マルシェへの出店を行っていたといいます。

かつての「似た者同士」が同じ道のプロになって再会したのは、きっと偶然ではなく必然。再開の場で近況報告をしながら「一緒に楽しいことをやりたいね」と話したといいます。大好きだったお店から最後に二人が受け取ったのは、「オオミヤシマイ」というギフトだったのかもしれません。

「できるかどうかは、自分ではなく相手に決めてもらえばいい」

自ら扉を開いた結果、今では様々なイベントへ活躍の場を広げる

そして、翌2022年。山﨑さんは発酵調味料などの知識を活かして、料理教室の運営と市内のシェアキッチンで週に一度のカフェ営業をスタート。茂木さんも自宅での料理教室などを開始。それぞれ活動の場を広げるさなか、ついに二人のアンテナに引っかかるイベントが。 

「目に留まったのは、出店者も雰囲気もとても素敵な市内のマルシェ。私たちも仲間に入りたいねと盛り上がりました」。そのマルシェは公募制ではなかったものの、諦めず行動に移したのは山﨑さん。運営者に問い合わせてみると一度は断られたものの、間もなく先方から改めて声をかけられ、今ではそのマルシェの常連に。

周りから「癒し系」と言われることが多いものの、実は行動派の山﨑さん(左)

ふんわりした見た目のイメージとはかけ離れた山﨑さんの勢いに驚く私に、茂木さんは「奈々さんは、意外とたくましいんです(笑)。私は頭で考えて行動にブレーキをかけがちなので、オオミヤシマイの次の扉を開いてくれるのは、いつも奈々さん」。

それを聞いた山﨑さんは「だって、やってみる前に勝手に結論を出すのはもったいないから。私たちがOKかどうかは、お相手が決めること。少しでも小さな穴があるなら、こじ開けたいんです」と柔らかに笑います。

話し上手でもある茂木さんは、知識や経験を伝える講師としての活動も

 そして山﨑さんは、茂木さんとのパートナーシップについて「安心して活動できるのは、真理子さんが大学や専門学校で培った知識のおかげ。それに、着想力がものすごい!真理子さんのひらめきを受け取って、私が行動力で突破していく、そんなパターンが多い気がします」と語ります。

未来はあえて決めない。思わぬ化学反応をしなやかに楽しむ二人でありたい

二人の専門性を融合させたワンプレートランチ「発菜膳」

活動開始からおよそ2年。先述のマルシェを皮切りに、地元ショップとコラボしたワークショップを開催したほか、現在は月に一度、川口市のセンキヤ内のカフェで「ごはん係」を務めています。最近ではお弁当のオーダーやイベント出店も増えてきたのだとか。

お忙しい様子とは裏腹に、リラックスした表情が溢れるお二人。そんな印象を伝えた私に「息子にも『今が一番楽しそうな顔をしている』と言ってもらえたんです。何よりの褒め言葉でしたね」と茂木さん。

さらに山﨑さんは「互いの活動がまず一番。その合間に、無理のないペースでオオミヤシマイを続けていこうね、と話しています。なんだかゆるく楽しそうなことをやっている二人がいる、というのを知ってもらうことが、大宮への興味や足を運ぶきっかけにつながったら最高です」とも。

そして最後に尋ねた今後の活動についての答え。これもまた、とてもオオミヤシマイらしいものでした。

「特に細かく決めていないんです。ひらめきと行動で、私たちの想像も及ばないほどの素敵なご縁を手にしてきたこれまでがあるので。これからもひらめきを大切にしながら、道なき道を進んでみた先にある化学変化を楽しんでいきたいですね」

・写真提供(2~9、11枚目)/オオミヤシマイ

食べる+紡ぐ=楽しい×整う 「オオミヤシマイ」

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茂木真理子さん主宰「atelier TSUMUGU」

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山﨑奈々さん主宰「食べること研究所」

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この記事を書いた人

矢島 美穂

埼玉県さいたま市在住、実家は県内のイチゴ農家|2人の姉妹を育てる、40代のフリーランスライター|日常に横たわるストーリーを発掘し手渡すことで、読者の目に映る世界がちょっと変わるのが喜び。Mediallでは、情報だけではなく、この土地に生きる人々のストーリーもお伝えしたいと思います|チョコレート・コーヒー・カフェ・読書・手帳・紙モノが大好き

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