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フード  |    2024.07.14

地域を代表するパワースポット「Cafeぶいえいと」店長在田徹さん|大阪府茨木市

京都と大阪の間に位置する茨木市。JR「茨木」駅の東に位置する「Cafeぶいえいと」は、1979年の開店以来、地元茨木市民を中心に愛されているカフェです。朝7:00~夜9:00までオープンしており、ランチの時間には店の外にまで行列ができることもあります。

地域住民からは「茨木のパワースポット」とも呼ばれており、家族や友人との食事や、仕事の打ち合わせなどさまざまな場面で利用されています。「ぶいえいとに行くと元気になる」と言われるような店はどのように作られてきたのでしょうか。店長の在田徹さんに取材し、お話を伺いました。

きっかけは大嶋啓介さんのセミナー

在田さんの父親が1979年にオープンした店の店長になったのは2000年前後のこと。当時のJR茨木駅の東側は今ほど栄えておらず、ほかの飲食店の多くは駅の反対側である西口に位置していました。店舗運営に苦慮するなか、在田さんは仕入れ先が主宰するセミナーに参加されます。

「最初は斜に構えて参加してたのですが、話を聞いているうちにすっかり引き込まれてしまいました(在田さん)」

そのセミナーで登壇していたのが大嶋啓介さんです。大嶋さんが経営する居酒屋 「てっぺん」で実施していた「本気の朝礼」は、テレビや雑誌等で取り上げられ、海外からも見学に来るような内容でした。また「日本中に夢を広めたい」という思いで、講演活動にも取り組まれている人です。

「2010年ごろには、大嶋さんを呼んで茨木でセミナーを開催したんですよ(在田さん)」

在田さんは、このセミナーをきっかけに「本気の朝礼」を参考にした「夢語り会」をスタッフと一緒にスタートします。

最初は3人で始めた「夢語り会」

そんな熱い思いで始めた「夢語り会」でしたが、最初から順調だったわけではありませんでした。

「夢語り会を始めた当初は『また店長が変わったことを始めた』と、一歩引いた眼で見てくるスタッフもいました(在田さん)」

当初は3人で始めた「夢語り会」ですが、少しずつ周囲にも知られるようになり、外部の人も参加するようになっていきます。

「大嶋さんが参加したこともあったんですよ(在田さん)」

在田さんの転機となった大嶋さんが参加されたと聞き、筆者はその影響力の大きさに驚かされました。そしてこの「夢語り会」は、一時は90人近くの人が集まるような大きな会へと変化していくのでした。

名札に書かれたスタッフそれぞれの夢

スタッフ一人ひとりの名札に、自身の夢を書いてもらうようにしたのもこのころです。採用面接の際に夢を聞くスタイルの原型も、この時期にできました。

「飲食店は、客単価や回転率、仕入原価などを考えると、どこかでどうしても頭打ちになってしまいます。そのなかで高いモチベーションをもって働くには、夢を引き出すことが重要だと気付いたんです(在田さん)」

カフェの商品はドリンクや食事、デザートであると考えるのが一般的だと思いますが、ぶいえいとでは、そこで働くスタッフが生み出す雰囲気も商品になっていると筆者は思います。

夢を持って、その夢を応援し合う人たちが働いているからこそ「ぶいえいとに行けばげんきになる」という店づくりになっているのだと感じます。

独立希望の社員が働くぶいえいと

「ぶいえいとで働く社員は、平均すると5年ほどで独立を目指して退職します。どうしても頭打ちのある業界なので、自分の店を持って自分を表現したいという人が多いんです(在田さん)」

経営者目線で考えると、退職前提で社員を雇う事も少ないだろうし、まして退職・独立を応援するというスタンスの人も珍しいように思います。それでも在田さんは、独立を希望する社員には、その期限を共有し、必要な情報であれば惜しみなく提供しています。

「駆け引きや探り合いが嫌いなので、オープンにすることで精神的に楽なんですよ(在田さん)」

そんな在田さんの姿勢だからこそ、ぶいえいとを卒業した元スタッフとのつながりは今も強いのです。独立希望のスタッフが10年前に独立した元スタッフの店を訪ねて、相談相手になることもあると伺いました。

今までに独立した元スタッフの店は、いずれも好調で廃業した店はひとつもないとのこと。これだけ成果があがっているのだから「フランチャイズ展開はしないのですか」と疑問をぶつけてみた所、在田さんの返答は下記のようなものでした。

「独立したいスタッフのやりたいことが違いすぎるので、仕組みを売ることができないんですよ。ぶいえいとが彼らに伝えられるのは、理念や心の部分なので、仕組みにしようとは思っていません(在田さん)」

茨木市でトップクラスの労働環境を目指す

「自分自身は75歳まで現役で働いて、ぶいえいとをコミュニティの拠点として維持していきたいんです(在田さん)」

地域の人からパワースポットとして言われ、元スタッフからも心の拠り所となっているぶいえいとを、さらに良くしていこうと考えている在田さん。そんな在田さんの源泉は、意外にも「人に迷惑をかけたくない」という思いでした。

「贅沢をしたり、財産を残したいという思いはなく、働いているスタッフに迷惑をかけたくないというのが自分の潜在的な欲求なのだと思います。夢を引き出し、夢を応援する以上、胸を張れる労働環境を作っていくのが自分の役割(在田さん)」

人材不足や原材料の高騰など、飲食店を経営する環境は厳しさを増すばかり。そんな環境でも国を上回る労働環境を構築して、スタッフたちの満足度を向上させています。今の目標として「茨木市でトップクラスの労働環境」を掲げていらっしゃいます。

また、最近、在田さんはスタッフとの「1on1」を取り入れられました。きっかけは、スタッフからもお客さんからも人気の高かったあるスタッフが「辞めたい」と言ってきたことでした。詳しく話を聞くと、そのスタッフが「辞めたい」と言った理由は、業務外の内容だったのです。

「そのスタッフをきっかけに1on1を始めたのですが、お互いにこれまで知らなかった一面を知ることができて、より信頼関係が深まりました(在田さん)」

と、その効果を感じられている様子でした。ますます、パワースポットがパワーアップしそうですね。

現在、ぶいえいとで働くスタッフの数は30名以上と、1飲食店としては異例の数ではないでしょうか。その店が、地域のパワースポットとして認知され、さらに卒業生たちの拠点になっていく。

「茨木を元気にするために、細く長くやっていきます(在田さん)」

在田さんのこの姿勢が、地域に愛される店づくりの源泉なのだと感じました。

Cafeぶいえいと基本情報

店名:Cafeぶいえいと
住所:大阪府茨木市西中条町1−1
営業時間:7:00~21:00
定休日:なし
SNS:https://www.instagram.com/__cafe_v8/?hl=ja

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この記事を書いた人

にのまえはじめ

大阪府茨木市在住の複業ライター。システムエンジニア/プログラマー、速読教室の運営、パーソナルトレーナー、IT企業の経営などを並行しながら、ライターとしても活動。得意ジャンルはマンガ・アニメ・ゲームなどのサブカルチャー(80年代中心)、IT関連のSEO記事、インタビュー記事。趣味はプロレス観戦。

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