青森県の津軽地方で有名な「嶽きみ」をご存じですか?
「きみ」とは津軽弁で「とうもろこし」のことで、弘前市西部にある嶽高原で育てられたブランドとうもころしを「嶽きみ」と呼びます。津軽地方ではねぷたと同じくらい有名で、夏の風物詩と言っても過言ではありません。
シーズンを迎えると、直売所には旬の味を求めた人で行列ができます。近年は県外ナンバーの車を見かけることも多く、日本全国にいる嶽きみファンは毎年この時期を心待ちにしているようです。
では、なぜ、嶽きみはこれほど人気なのでしょうか。
今回は、嶽きみが人気の理由と嶽きみを満喫できる方法をご紹介します。
メロンを超える、圧倒的な甘さ!
嶽きみが人気の理由、それは圧倒的な甘さです。
嶽きみの糖度はメロンより甘い18度~20度で、生で食べられるほどの甘さを誇ります。「生で食べるの?」と驚く方もいるかもしれませんが、新鮮なとうもろこしほど甘さが際立ち、フルーツのように感じられるのです。
嶽きみがメロン並みに甘い理由は、夏の気温差です。生産地である岩木山麓の嶽高原は、お盆を過ぎた頃から昼夜の気温差が10度を超えます。昼はたっぷりの太陽を浴びて成長し、夜は寒さから身を守るために栄養を蓄えます。この過程を繰り返すことで糖度が上がり、甘い嶽きみがつくられるのです。
嶽高原では日の出前の肌寒い時間帯に嶽きみを収穫して、新鮮な状態のまま出荷します。とうもろこしの鮮度は落ちるのが速いので、嶽きみの最盛期である8月中旬から9月いっぱいは生産者は大忙しです。
嶽きみの美味しさを知るファンも、旬の味覚を求めて朝早くから直売所へ向かいます。
タイミングが合えばラッキー!運が悪いと買えないこともあるので、嶽きみの特別感は計り知れません。
嶽きみを求めて/野市里(のいちご)へ
「今年も絶対に食べたい!」
熱い想いを胸に、雲ひとつない快晴の日に嶽きみ探しの旅へ行ってきました。目的地は、岩木山に向かう途中にある「野市里(のいちご)」です。
野市里(のいちご)とは、農業生産法人ANEKKO(あねっこ)が経営する農産物直売所です。ANEKKOは地産地消の推進と地域の活性化に取り組んでおり、市民農園やレストランも経営しています。弘前市や周辺地域の住民にとっては知らない人はいないほど有名です。
弘前駅から車で約25分の距離に野市里はあります。岩木山を眺めながら、無事に到着です。
入り口には嶽きみと書かれた幟があり、思わず立ち寄ってしまいますね。
さて、お目当ての嶽きみは購入できるのでしょうか。
残り少なかったですが、無事に買えました!
まるで宝物をゲットしたようにニコニコだった私に、店員さんも「よかったですね」と声をかけてくださいました。
普段の我が家は、お手軽さを重視して缶詰やパウチタイプのとうもろこししか買いません。皮つきのとうもろこしを購入するのは嶽きみだけです。
生で食べて、あまりの美味しさにうっとりしました。フルーツとうもろこしと呼ばれるのも納得の甘さです。
子どもたちには電子レンジで加熱した嶽きみを食べてもらいました。せっかくの旨味が逃げないために、茹でるよりも電子レンジで加熱するのがおすすめだそうです。
色鮮やかな嶽きみを、子どもたちは丸ごと一本平らげてしまいます。離乳食の頃からペースト状にして嶽きみを食べさせていました。かなり贅沢だと思うのですが、青森県民として故郷の味にはどんどん触れてほしいという母の願いです。
嶽きみの素晴らしさは伝わったでしょうか。
たくさん買いたい場合は山道を登った先の、通称「嶽きみロード」に向かったほうが確実だそうです。嶽きみの生産者が構えた直売所が並んでいて、直接お話を伺えるので楽しい時間が過ごせます。ドライブがてら足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
心奪われる、嶽きみのお土産
嶽きみは生で食べたり、電子レンジで加熱したり、ありのままの姿が美味しいとお伝えしてきました。でも、メロン並みに甘いのなら、嶽きみって他に美味しい食べ方があるのでは、と思った方もいるのではないでしょうか。
その予想、大正解です!
野市里は生の嶽きみだけがメインの店ではありません。私がこちらを嶽きみの購入場所に選んだのは、嶽きみスイーツやお土産が豊富だからです。
こちらは、嶽きみアイスクリームと嶽きみぷりんです。
驚異の甘さを誇る嶽きみが、冷たいスイーツの代表格へと姿を変えました。ほっこりする甘さが特徴的で、パッケージも可愛いのでお土産に喜ばれそうです。
続いては、鮮やかな黄色が映えるロールケーキです。
スポンジ生地にもクリームにも嶽きみパウダーが存分に練り込まれています。クリームの中にはババロアが入っていて、こちらにも嶽きみが使われています。ふわふわな生地と甘さ控えめなクリーム、ババロアのとろける食感がマッチする大人気商品です。
スイーツの他にも、毎日使える嶽きみドレッシングが販売されています。
りんご酢入りなので爽やかさも感じられて、パスタや温野菜などをさっぱりといただける万能調味料です。
私がおすすめする食べ方は、豆腐にちょっと多めにかけること。食欲が低下しがちな夏に大活躍なので、ぜひお試しください。
こちらは、お酒好きさんに喜ばれること間違いなしの、嶽きみでつくられた焼酎です。スイーツからお酒という振り幅の広さから、フルーツ並の糖度を誇る嶽きみのポテンシャルの高さが伺えますね。
嶽きみが6、7本も使われている贅沢な逸品。スッキリとした味わいを楽しみたいならロックを、お湯割りをすると嶽きみがほんのり香って癒されるそうです。
一年中、嶽きみを味わいたい方向けに、真空パックも販売されています。生の嶽きみよりは高めですが、自分へのご褒美にストックするのもおすすめです。
ご近所さんは、東京で一人暮らしをしている息子に送ったと言っていました。故郷を思い出すきっかけになればいいですね。
ご紹介した商品はすべて、ANEKKO公式サイトからご購入できます。嶽きみ商品の他にも、ANEKKOオリジナル製品や青森県の特産品がたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください。
絶対食べていって!おすすめは「嶽きみソフト」
野市里ではお土産や地元野菜の売り場の横に「レストランこざくら」も併設されています。こちらでは嶽きみを使ったメニューがあり、観光客に大好評です。
こざくらが人気の理由は他にもあり、全国でここにしかないスイーツが食べられることです。
嶽きみソフトです!
初めて食べたとき、衝撃を受けました。嶽きみがミルクと手を取り合って実現させたまろやかな味は、たった一口で幸せな気分にしてくれます。甘さ控えめでペロリと食べられるのも、人気の秘密かもしれません。
3歳の娘に買ったとき、さすがに多いだろうと思っていたのに綺麗に食べ切りました。残すと思っていたので、予想が外れた私は自分用を買いに走ったのも大切な笑い話です。
快晴だったので、岩木山を眺めながらテラスでゆっくりといただきました。鮮やかな黄色が清々しいほど綺麗なブルーによく映えますね。
嶽きみソフトの中には繊維も含まれていて、食材を余すことなく使い切ろうという気持ちが感じられます。生産者の心意気ごといただきながら、澄んだ空気のなかで贅沢な時間を過ごせました。
嶽きみのシーズンは終わりましたが、嶽きみソフトはオールシーズン食べられます。
私はこちらを訪れると、自分へのご褒美に嶽きみソフトを買うのが定番です。リピーターが多いのも頷ける美味しさを、お越しの際はぜひ体験してみてください。
満喫するなら「嶽きみオーナー制度」
最後にご紹介したいのが、嶽きみオーナー制度です。
嶽きみオーナー制度とは嶽きみ専用の区画を購入し、スタッフに生育から収穫までをお任せできる画期的な制度です。自宅に届くのを待つだけで旬の嶽きみが味わえるなんて、夢のような制度だと思いませんか。
約30本の嶽きみが、新鮮なまま自宅に届くこと。
わざわざ足を運ばなくても、貴重な嶽きみが確約されること。
嶽きみオーナ-制度は遠くて収穫に行けない方に大好評で、毎年早々に完売御礼だそうです。収穫のタイミングを見極めて、甘さがぎゅっと詰まった嶽きみを丁寧に送れるのは、生産者だからこそなせる技ですね。
詳しくは、ANEKKO公式サイトをご覧ください。令和6年度は終了していますが、来年度の申し込みは受け付けているそうです。(FAXまたはお電話、メールよりお申し込みください)
丹精込めてつくられた嶽きみを、日本全国どこでも味わえる魅力的な制度です。興味のある方は申し込んでみてはいかがでしょうか。
嶽きみは津軽地方の誇り
嶽きみは津軽地方を代表する特産品であり、誇りです。
観光で訪れた友人は感動し、地元民として嬉しかった私はそれ以来、遠く離れた地に毎年送っています。ありがとうの感謝の気持ちは、汗水流しながら嶽きみ作りに励む生産者の皆さんに届けたいです。
この素晴らしさが世界へ知れ渡るようにと願いを込めながら、来年の夏を心待ちにしようと思います。
直売所 野市里(のいちご)
営業時間:夏期(4~9月) 8:30~17:00 / 冬期(10~3月) 9:00~17:00
休業日:1月上旬
住所:〒036-1341 青森県弘前市大字宮地字川添77-4
電話番号:0172-82-1055 / FAX:0172-82-1060
駐車場:58台(うち大型車用 2台、障がい者用 2台)
農業生産法人・ANEKKO(あねっこ)
【ホームページ】https://www.anekko.com/
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