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フード  |    2024.10.09

あと1年余で閉店!西東京市の老舗【御菓子處 吉乃】地域密着70年のおいしさを閉店前に急いで

どら焼きを愛する皆さんへ!地域で長らく愛される、自分だけのNo.1どら焼きを見つけませんか?

西東京市・保谷にある「御菓子處 吉乃(おかしどころ よしの)」は、この地で70年愛される和菓子工場兼直売所。
雑誌やSNSには載らないけれど地元の小学校の副教材には載っている、まさに地域オンリーワンの名店です。

しかし、2026年3月末(予定)で閉店が決まっています。今回、和菓子職人で社長の草木さんご夫婦にインタビュー。
閉店まで1年余の間に、絶品のどら焼きと温かい人情にぜひ逢いに行ってみてください。

温もりあふれる和菓子工場「御菓子處 吉乃」

保谷駅から徒歩15分、静かな住宅街に溶け込む「吉乃」。一見お家!?と思いきや、ここは和菓子工場を兼ねた直売所です。

扉を開けるとほんのり甘い香りが漂い、昔懐かしい雰囲気に包まれます。ショーケースには5種類のどら焼きが並び、お値段は140〜220円とお手頃。

お店の奥が工場になっていて、「吉乃」と刻まれたコンテナが高く積み上げられ、なんだかワクワクしてきます!

お客様に『おいしい』と言われるのが一番嬉しいですね」と語るのは、吉乃の2代目・草木社長。
名物の「栗どら」は、西東京市の逸品グランプリに選ばれ、地元でも愛されてきた名品です。
どら焼きに栗の実がゴロッと入り、本当に何個でも食べられそうなほど絶品なんですよ。

吉乃2代目・草木社長ご夫妻と名物「栗どら」
栗の実がゴロリと入った絶品の「栗どら」

吉乃の創業は、70年以上前。「工場は私が生まれる前からありましたが、お店の運営は20年目くらいです」と草木社長は語ります。
当初は卸業を営んでいたものの、親会社が倒産。そこで新たに、どら焼きのお店として再出発することに。
実はそれ以前から「どら焼きを分けてほしい」という近所の方の声もあり、栗どらを販売したのが始まりだったそうです。

生地作りからあんこ作り、包装まで自家製

和菓子工場にいざ潜入!名物「栗どら」のヒミツ

そもそもなぜ、栗入り・栗の形なのでしょう?

その答えは、

「栗は高級なものだから、強くアピールできるので栗を入れました。どら焼きって丸いでしょ?新しいことを始めるのに、丸い形ではインパクトが足りないから栗の形に焼いてみようと
というもの。焼き方は「企業秘密」と言いつつ、社長が見せてくれたのは特別な栗の型。

しかし、お客様の多くが褒めてくれるのは、栗の形よりも味の素晴らしさなのだそうです。

「栗の形でスゴイでしょ?というつもりで始めたけど、美味しいですねと褒めてくれるお客様のほうが多い。形を褒めてくれるのは100人に1人ですね、わはは」と言いながらも、社長はとても嬉しそうなのでした。

手作りの極み。生地とあんこに込めた誠実なこだわり

どら焼きの生地は前日に作り、1日熟成させるのが吉乃流。
焼きたてはキメが粗いので、あえて1日寝かせることで、小麦のグルテンが活きてしっとり柔らかくなるのだそうです。

あんこには北海道産の大納言を使用し、お店で一から丁寧に煮込んでいます。
4種のメニューそれぞれに異なるあんこを用意し、黒糖どらには黒砂糖を、あんずどらにはあんずのジャムを。あんず入りのどら焼きは珍しく、栗どらに負けない人気商品です。

あんこをどら焼きに詰め、包装する作業は奥様の役割。

「どら焼きの生地はどうしても均一ではないので、あんこの量できっちり同じ重さにしています。ずれてもプラスマイナス1gまで。お客様にとって、少なかったり多すぎるのは失礼ですから」

と、注意深く几帳面に作業する姿からは、とても深い誠意が感じられるのでした。

さらに、栗は「丸ごと1個」を謳っているため、少しでも欠けた栗は刻んであんこに混ぜ込むという徹底ぶり。

「すべてに入っているわけではないですが、栗入りのあんこが入っていたらラッキーですよ」

と控えめな笑顔で話す奥様の言葉に、次の購入がいっそう楽しみになりますね!

その後包装作業では、袋にピンクの液を垂らし、穴が開いていないかを必ずチェック。少しでも穴があればやり直すなど、衛生管理の徹底したこだわりも吉乃流なのです。

まさに地域No.1、オンリーワンのどら焼き

吉乃のどら焼きは、全5種類。

1日熟成させたしっとりふわふわの生地に、お手製のあんこがたっぷり包まれています。口に入れると生地がふんわりほどけ、やさしい甘みが口いっぱいに広がり、心温まる幸せの味なのです。

名物の「栗どら」は、ゴロッと一粒入った栗の食感もまた楽しい。それぞれのどら焼きの個性が光る、まさにオンリーワンのおいしさです!


日持ちは5日〜1週間程度。年末が一番忙しく、通常の約4倍、1日で1000個ほどを作るそうです。ご夫婦二人だけで作るため、寝る時間はほとんどないのだとか。

それでも一つ一つを丁寧に作り、お客様に手渡す際の言葉ひとつひとつに心を込めている姿は、まさに長年地域で愛され続けてきた証なのでした。

まとめ

インタビューを通じて感じたのは、吉乃はただの和菓子屋さんではなく、地域の繋がりとともに歩んできたオンリーワンの存在ということ。

実際、地元の小学生が社会科見学に訪れ、さらに社会科副教材にも載っているという、まさに地域に密着した存在です。

そんな「吉乃」は、2026年春に閉店します。抹茶は2024年10月末に終了、2025年の夏にはあんずが終了予定。2026年3月頃にメイン商品の栗どら焼きが終売するタイミングで、70年の歴史に幕を閉じます。

地域で大切に愛され続けたこの味を、閉店前にぜひ味わってみてください。

お店の情報

御菓子處 吉乃
〒202-0003 東京都西東京市北町5丁目1-31
電話番号:042-423-1541
営業日時:10:00~18:00
定休日:日曜、祝日

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この記事を書いた人

水島みほ

東京歴約30年のフリーランスWebライター。 おいしいグルメと商店街、そして「人」が大好きです! まちのいろいろな魅力を熱量たっぷりにお届けします。

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