浅草の喧騒から少し離れた東京都台東区柳橋の住宅街に、ひときわ存在感を放つ1軒の日本家屋 「lucite gallery(以下 ルーサイトギャラリー)」 がありました。
門をくぐると、まるでタイムスリップしたかのような重厚感ある佇まい。
隅々まで息をのむほど魅力的な空間に感動し、代表の米山 明子(よねやま あきこ)さんに突如お話を伺ってきました。
今回は、本当は秘密にしたいほど素敵な 「ルーサイトギャラリー・カフェ」 の全貌を、【前編】【後編】に分けてご紹介します。
代表 米山さんと柳橋「ルーサイトギャラリー」との出逢い
「ルーサイトギャラリー」 は、2001年秋に昭和の流行歌手「市丸(江戸小唄の市丸姐さん)」の屋敷を改装し、骨董店としてオープンしました。
隅田川沿いにある台東区柳橋は、かつて江戸時代から続く格式高い花街でした。
今はルーサイトギャラリーの日本家屋が、柳橋で唯一残った花街の面影です。
代表の米山さんは、幼い頃から骨董品や古いものがお好きで、以前から骨董店をしたいと考えていました。
はじめは都内の青山など、華やかな街で場所を探していましたが、隣の空き家(旧市丸邸)が気になり始め、最終的にそこでお店を開くことを決意しました。
そして、荒れ果てた古民家を、少しずつ手入れしながらモノが映える空間へと変えていかれたのです。
当時の料亭や日本家屋は次々と姿を消し、寂しい想いを抱いていた米山さん。
この場所で日本文化を語り継ぎ、発信する存在になるために ⸻ 。
そんな強い想いを持ってお店を運営しています。
1階のギャラリースペースでは、ご自身の骨董品コレクションや、ご縁があった作家さんの作品を展示しています。
タイムスリップしたような佇まい
門には作品展の案内とカフェの看板があるものの、一見近寄りがたい重厚感におそるおそる足を踏み入れる人が多いのだとか。
少し勇気を出して門をくぐると、そこはもう「江戸時代」の世界……!
ここからは、写真とともに1階の 「ルーサイトギャラリー」 へとご案内しましょう。
ぜひ館内の様子とタイムスリップ感をお楽しみください!
玄関アプローチ
日本家屋では門から玄関までの道 「玄関アプローチ」 の庭や道が、その家の印象を大きく左右すると言われています。
門から玄関まで丁寧に手入れされた玄関アプローチの、風情ある雰囲気がもうたまりません!
「絶対この先に素敵な何かがある」という直感にワクワクしながら、一歩ずつ足を進めます。
廊下
引き戸の玄関を開けると、思わず感嘆のため息が漏れそうな空間が広がっていました。
時代を感じる木の香りが漂う 廊下 は、つい市丸姐さんが歩いた時代に想いをはせてしまいます。
獅子頭
廊下の真ん中には、立派な 「獅子頭」 が鎮座しています。
昔から「無病息災」を願う獅子頭は、コロナが流行する頃に手に入れたという米山さんのコレクションの一つです。
古くから民間で使われてきた獅子頭は、どんな疫病も退散しそうな迫力ですね!
龍袍(ロンパオ)
廊下を進むと、もう一つ玄関があり、玄関には見事な 「龍袍(ロンパオ)」 の帯が掛けられています。
中国の清王朝が崩壊した明治末頃、さまざまな文様に吉祥の意を込め、人びとの幸福や長寿を祈る文化がありました。
当時皇帝やその臣下が着た龍袍(ロンパオ)には、たくさんの吉祥文様が施されています。
下には銅製の鯉の置物。
竜門の滝を登ることができた鯉は竜になる、という「鯉の滝登り」の言い伝えをイメージし、米山さんがしつらえたおもてなしです。
出世するたとえとしてもつかわれているので、とても縁起がいいですよ!
ルーサイトギャラリー
玄関の奥は、ついにギャラリースペース 「ルーサイトギャラリー」 です!
筆者が訪問した日は、ちょうど米山さんの骨董品コレクションが展示されていて、中でも筆者が一番気に入った作品を撮影させていただきました。
鮮やかな青が涼しげな、ガラス製の水差し。
外からの光に透けた青色の深さに、思わず目を奪われました。
期間によってギャラリーの展示物は異なります。
営業は不定休なので、ルーサイトギャラリーを訪れる際は、必ず 公式サイト を確認してくださいね!
米山さんが気になった作家さんへオファーをしたり、ルーサイトギャラリーで展示をしたい方へ場所を貸出ししたりして展開されるギャラリーでは、さまざまな作家さんの作品が楽しめます。
なんと来年まで予定がいっぱいなのだとか!
米山さんのお人柄はもちろん、モノやご縁への愛情、そして柔軟な好奇心があるからこそと感じました。
さて、「ルーサイトギャラリー」 の魅力は、まだまだ続きます!
「ルーサイト」の名前に込められた米山さんの想いとは ⸺ 。
2階で営業されているカフェも本当におすすめなので、【後編】では 「ルーサイトカフェ」 の魅力もたっぷりお伝えします。
お楽しみに!