地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

フード  |    2024.12.20

目の前でできあがる和菓子をオリジナルのティーペアリングとともにコース仕立てで楽しめる「九九九(くくく)」オープン!

フランス菓子から和菓子への突然の方向転換

東京・乃木坂にある国立新美術館近くのビルの一角にひっそり店をかまえる「九九九」。温もりを感じる木の引き戸を開けると、茶室のように少し仄暗い、シックな和空間が広がります。中央に伸びる栗の木のカウンターは8席。その向こうに立つのは、弱冠27歳の和菓子職人、藤田凱斗さんです。
『高校生レストラン』という名でドラマ化された食物調理科が有名な三重県の相可高校に通い、フランス菓子のパティシエを目指していました。それが、講師のフランス人パティシエの一言で和菓子職人の道に方向転換したのです。

「日本で君たちが作っているケーキはフランス菓子ではないよ。フランスの食材でフランス人が作ったものがフランス菓子なんだ」

フランス菓子の職人としての誇りに衝撃を受け、「自分は日本人なのに、和菓子のことを知っているのだろうか」と忸怩たる思いを抱き、和菓子を追求したい、と地元の老舗和菓子屋さん「夢菓子工房 ことよ」で修業をスタート。7年間学んでいくうちに、和菓子に宿る引算の美学に奥深さを見出し、和菓子と真剣に向き合いたいと望むようになったそうです。
そんな頃、今までにないスタイルで和菓子を楽しめる「九九九」での仕事の話が舞い込み、二つ返事で受けたとのこと。2024年11月28日にオープンの運びとなりました。

和菓子ができる過程を眺めながらペアリングのお茶を待つ楽しみ

店のコンセプトは、ゲストの目の前で和菓子を作り、茶士がそのお菓子に合うお茶をペアリングするというもの。歳時記に基づいた和菓子9品ほどをお茶とともに月替わりで満喫することができます。

ちなみに、12月のテーマは、「冬至を過ぎると日が長くなる」という縁起の良い言葉である「一陽来復」。年末に向けて「結び」という副題もついています。

カウンターに座ると、和紙をじゃばら折りにしたメニューが置かれており、中を開くとその日のメニューが現れます。カウンターの一角に設けられた炭火では、藤田さんが美しい所作でお粥を作っています。できあがると小豆を一粒入れ、煎茶とともに味わうメニューからコースが始まりました。冬至に食べるとよいとされている小豆粥を和菓子風にアレンジしたものです。

そもそも和菓子の起源は干果物。今回は、黒糖や干し柿のような優しい甘さのデイツを加え、砂糖は一切使いません。出来立てを出すため砂糖を使って保存をする必要がなく、甘みは控えめにしているそうです。

「甘いものばかりでは飽きるので、塩味や酸味を感じるものを合間に挟み、味の強弱をつけます」と藤田さん。

合わせるお茶は玄米茶。米のお菓子に米のお茶を合わせ、香ばしい米と炊いた米が醸し出す異なるニュアンスを楽しみます。 

全国から取り寄せたお茶をブレンドし、新しい味と香りを生む

お茶は、日本全国から生産者を探し、特別なブレンドなどを施したこの店ならではのオリジナル。ワインのペアリングとは違い、お茶はオリジナルのブレンドでさまざまな味わいや香りを無限に生み出せることにが興味を持ったとのこと。ラストはお抹茶で締めくくります。

そのほか、印象に残ったメニューは、ミント煎茶を合わせた「氷炉」。土佐の備長炭を油に入れて薫香をつけたスモーキーな油をたらして食べる炭のようなお菓子です。

また、百合根餡のしるこに白小豆を少し加えて餅を落とした「白善哉」。餅が次第に焼けていく様子や香りが楽しめます。

さらには「おだまき」という和菓子の道具を使って、サツマイモを細い糸状にして上から飾る「南京揚げ」は、モンブランさながら。和菓子の進化系を披露してくれます。

作家ものや骨董を使った器のコーディネーションもお菓子やお茶の魅力を引き立てます。その日に使われた器は、店内にディスプレイしてあり、将来的には購入できるようにする予定だそうです。

千利休への深い敬意が込めた屋号「九九九」は、 日本ならではのお茶文化の唯一無二の体験をゲストに届けたい、という思いから名付けられました。夜には一品揃いやオリジナルの茶カクテルも用意。和菓子の温もりや繊細な口溶け、芳醇なお茶とのペアリングで和菓子の新しい味わい方を楽しんでみてはいかがでしょうか。

「九九九」
東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ2F

和菓子と茶のペアリングコース
※メニュー内容は季節によって変わります。
営業時間:15時〜/18時〜 2部制 (火曜は18時〜のみ)
平日21:00以降と土曜終日は一品揃いコース(ミニコース)のご案内になります。
定休日:日曜日、月曜日
料金:¥19,800 (税込み、 別途サービス料10%)
予約ページ  
インスタグラム:@999_kukuku

記事をシェアする

この記事を書いた人

monparis

関連記事