
神奈川県横浜市にある「豆遊房」は、1人1人にじっくりと話を聞き、好みに合わせた豆を丁寧に焙煎するコーヒー豆専門店です。
‟店主こだわりの店”というかたいイメージとは違い、訪れるお客さんはみんなリラックスした笑顔。お店が親しみやすい雰囲気なのは、人の温かさを知る白倉さんの想いがあるからです。それは、10代の頃に飛び込んだ屋久島への一人旅が原点となっています。
今回は「豆遊房」に込められた白倉さんのストーリーを紹介します。
人に受け入れてもらった経験があるから訪れてくれる人を温かく受け入れたい。店主の価値観を作った屋久島の旅

10代の頃、修学旅行の代わりに一人で九州に向かった白倉さん。九州に向かう船内でたまたま見かけた屋久島のポスターに心を奪われ、そのまま屋久島へ向かいました。
3日ほど過ごし一度は島を離れますが、屋久島での出会いや風景が忘れられず、再び屋久島に戻り宿の手伝いなどをしながら1年間を過ごします。
「違う世界に飛び込んでいくときは勇気がいるでしょ。1人だから、受け入れてもらえた時のありがたさと、人のやさしさをより強く感じられたんです」
「やっぱり人って温かいんですよ。それを屋久島に教わりました」
屋久島での出来事を話す白倉さんの表情は、大切な宝物の話をするように穏やか。あの日、人に受け入れてもらった経験が自分の人生を作り、現在のお店作りの基礎となっているといいます。
中華の料理人から焙煎士へ転身。火と向き合った経験が生んだ新たな挑戦

もともとは中華の料理人だった白倉さん。火の扱いが命となる中華の世界で長年料理人として活躍されていました。料理人を引退した後、新たな道を模索していた白倉さんに転機が訪れたのは通っていたコーヒー店でのこと。店のマスターに「白倉さんも豆の焙煎をやってみたら?」と声を掛けられました。
豆の焙煎は、コーヒーの苦み・酸味・香ばしさを引き出す大切な工程。細かな火の調整がコーヒーの味を大きく変えます。それは、中華の世界と通じるところがありました。
「中華の料理人として長い経験をもつ白倉さんなら火の扱いが分かるはずだ」と背中を押され一念発起。マスターの元で修業を始めます。
29種類ある豆の中から自分だけの一杯を

マスターの元で修業した後、独立しコーヒー豆専門店「豆遊房」をオープン。
横浜市営地下鉄グリーンライン日吉本町駅から徒歩2分の場所に「豆遊房」はあります。駅を出て店に向かっていると、焙煎したコーヒーの香ばしい香りがしてきます。扉を開けると、店内はパチパチと豆を炒る心地よい音。

「豆遊房」には、世界各国から厳選された29種類のコーヒー豆が並びます。白倉さんはお客さんの好みを丁寧に聞きながら、最適な豆をアドバイスしてくれます。


焙煎済みの豆を購入することもできますが、ぜひその場で焙煎してもらうことをおすすめします!ずらっと並ぶ生豆の中から気になるものを選び、30分ほど待つと好みの濃さに焙煎してもらえます。
炒りたての、まだほんのりと温かなコーヒー豆の香りは格別。自分の為だけに焙煎されたコーヒー豆は、少し特別なコーヒータイムとなりそうです。

一人旅が教えてくれた人の温かさを一杯のコーヒーに込める

お店にはひっきりなしにお客さんがやってきますが、その表情はみんなやわらか。近所の友人にふらっと会いにきたような雰囲気で談笑して帰っていきます。中には、お父さんからのおつかいでやってきた小さなお客さんも。店主と秘密の話を楽しそうにしていました。
ぜひ一度、人の温かさが感じられる「豆遊房」を訪れてみてください。丁寧に焙煎された一杯が、心まで温かく満たしてくれますよ。
豆遊房
住所:神奈川県横浜市港北区日吉本町4-22-17
営業時間:火~日 10:00~19:00(休憩12:00~13:00)
定休日:月曜日・第2日曜日
TEL:045-567-5497
email:mameyubou@icloud.com
Instagram:https://www.instagram.com/shirorin844/