約700年の歴史を持っている三河万歳は国指定の文化財。安城市、西尾市、幸田町などでそれぞれ受け継がれている万歳です。家の繁盛や家族の健康を祈る寿詩(よごと)という祝福芸を太夫と才蔵(漫才師)の二人が披露します。太夫と才蔵の二人が「鶴は千年の、亀は万年の~」のおめでたい歌詞で万歳は始まります。
700年以上の歴史
約700年以上の歴史を持っているとされています。伝承演目としては、三羽鶴の舞、七草の舞、天の岩戸開きの舞、御殿万歳(七福神の舞)、三曲万歳が伝えられています。
三羽鶴の舞、七草の舞、天の岩戸開きの舞
三羽鶴の舞、七草の舞、天の岩戸開きの舞は神道三河万歳と呼ばれています。太夫と才蔵の2人がお祝いの舞を面白おかしく舞います。これらは古事記でおなじみの場面です。
家康も見た!?御殿万歳(七福神の舞)
三河御殿万歳とも言われている万歳で、得意先のお座敷で舞ったことから「御殿万歳」とも呼ばれています。7人の福の神たちが賑やかに舞いながら歌います。江戸時代には徳川家康が三河出身ということもあり、幕府の保護をうけて関東一帯でも活動していました。
三曲万歳
江戸時代に流行った忠臣蔵シリーズ、人形浄瑠璃・歌舞伎の演目としてもお馴染みの「仮名手本忠臣蔵」などをパロディ仕立てにした演劇です。笑いあり涙あり歌ありの演劇は見どころ満載。
どうする?後継者問題!!
さあ、700年続けていくのは大変なことです。担い手がいなくなれば、滅びてしまいます。これまでは受け継ぐ人がいたので続けられてきました。その活動は決して平坦なものではありません。
安城市現在の天皇陛下がご覧になった
安城市は三河万歳保存会があります。昭和42年に三河万歳保存会を結成し数千人の後援者もおり、この灯りを消すまいと現在までその活動が続けられています。なんと平成28年には現在の天皇陛下がまだ皇太子さまであった頃にこの団体によって三河万歳が披露されました。今後もこの活動には後援者と後継者が必要不可欠です。
お問合せ先
安城の三河万歳後援会事務局(安城市歴史博物館内)
安城市安城町城堀30番地
TEL:0566-77-6655
FAX:0566-77-6600
幸田町の三河万歳は海外でお披露目
幸田町では昭和52年に三河万歳保存会が結成されて、昭和58年には中央小学校で万歳倶楽部が創設されています。そして日本での活動だけではなく、海外にも知っていただきたいと、昭和61年には初の海外公演が行われました。平成17年には国際博覧会で上演も行い、現在でも三河万歳を知って頂く活動が続けられています。
お問合せ先
幸田町役場 三河万歳
TEL:0564-62-1111(代表)
西尾市の灯りを消さないで!地元小学生たちが頑張っています!
平成の初めに、西尾市では大人の万歳師は途絶えてしまいました。しかし、万歳の灯を途絶えさせないように、昭和63年からは西尾市の西野町小学校に創設された御殿万歳部が万歳師らの協力(現在は顧問・指導経験者)のもとで伝統を引き継ぐべく活動を続けています。小学校だけではなく中学校や高校でも育成指導を重ね、後継者たちは熱心に練習を重ねています。御殿万歳部の小学生たちの三河万歳は評判で、市街からも招待を受けて舞を披露することもあります。まだ人数は少ないですが、その灯りが消えてしまわないように活動している人達がいます。
お問合せ先
教育委員会事務局 文化財課
TEL:0563-56-2459
結びに
このように、三河万歳は700年近くも受け継がれています。受け継ぐ人が今度は指導者となり、また受け継ぐものが教わる。こうして伝統を守っています。西三河に来たなら、ぜひ一度三河万歳を見てください。興味のある方や講演依頼、取材依頼は、各市のお問合先にお願いします。