こんにちは。Mediallライターの松尾です。
今回は、福岡県福津市にある「大峰山 (おおみねやま)自然公園」を紹介します。津屋崎漁港近くの標高114.5mの玄海国定公園に指定された自然豊かな山で、近くにはキャンプ場もあり、休日になるとハイキングやツーリングの人も訪れる絶景スポットです。
頂上からは玄界灘が一望できます。
地元では東郷公園と呼ばれている
この大峰山自然公園は、地元では「東郷公園」と呼ばれています。なぜ、東郷公園なのかというと、日露戦争でロシアのバルチック艦隊を破り、日本を勝利に導いた「東郷平八郎」にゆかりがあるからです。
この大峰山自然公園は、小説「坂の上の雲」に出てくる日本海海戦ゆかりのスポットで、東郷公園の頂上に「日本海海戦記念碑」があります。なんと、この記念碑に書かれた文字は東郷平八郎の直筆なのです。
この文字は、津屋崎を訪れた時に近くの小学校で書いたとか。
達筆ですね。
きっかけはひとりの獣医師
東郷公園は、東郷平八郎を尊敬する獣医師の安倍さんという方が中心となって整備されました。当時、18歳だった安倍さんはこの大峰山に登って連合艦隊とバルチック艦隊の戦いを見ています。実際には煙しか見えなかったそうですが、その出来事がきっかけで「ここに海戦の記念碑を立てたい」と思ったのが始まりです。
実際に、公園整備の承諾を得るために東郷平八郎に会いに行ったというエピソードがあります。
なんという行動力!
その時に、記念碑に刻まれている「日本海海戦記念碑」の文字書きをお願いしたそうで、当初は「勝利記念碑」とする予定でした。しかし、東郷平八郎は「海戦記念碑」に変更するのを条件に承諾したとされています。
いたるところに軍艦が
この公園には軍艦「三笠」をモチーフにしたオブジェがたくさんあります。山頂に登って、最初に目にするのはインパクトのある記念碑。その記念碑の裏側に回ると、まさに軍艦。
大砲台が玄界灘の方角に向けられていおり、周りには大砲も置いてあります。
大砲台の裏側には、実際に大砲を入れるところも。
実際の大砲台もこんは風になっていたのでしょうね。
東郷平八郎のレリーフも飾られています。
山頂からは玄界灘の絶景
はるか向こうに対馬沖が一望できます。空気が澄んでいれば、世界遺産の「沖の島」が見えるのですが、めったに見ることはできません。秋から冬にかけては見られることが多いようです。ここから安倍さんもバルチック艦隊との戦いを見ていたのでしょうか。
実際に戦いを見た安倍さんは「ものすごい煙でどっちが勝ったのかわからなかった」と言っていたそうです。ここから煙が見えるくらいなので、当時の海戦の凄さがわかりますね。
公園内には東郷平八郎を祀った神社がある
残念ながら、記念碑の除幕直前に東郷平八郎は亡くなり記念碑を見ていません。そして、東郷平八郎の国葬に参列した安倍さんは東郷公園の中に「東郷神社」の創建を決意します。東郷神社には、阿部さんが葬儀の時にもらった東郷平八郎の遺髪が祀られおり、以来、この地域の守神となりました。
神社の敷地内には宝物館があり、日露戦争当時の貴重な資料が展示されています。宝物館の入り口には「三笠」の砲弾と、主砲の先端部分が。
なんと本物!
太平洋戦争直後に他の大砲と共に溶鉱炉へ投入されそうになったところを一部だけ保存を願い出て許可されたそうです。
実は、当初は神職がいなかったため、近隣の宮地嶽神社にお願いして神事をしていましたが、のちにご遺族が神職の資格を取り、現在に至っているというのは驚きです。
相当なご苦労があったのではないでしょうか。
神社では毎年5月27日の「日本海海戦記念日」に春季大祭が行われます。
地元では勝利にご利益があると有名
世界最強と言われたバルチック艦隊に対し、大勝利をあげた東郷平八郎を祀ってあるので、勝利や成功に関するご利益があるとされています。そのため、受験生はもちろん、特にスポーツをやっている人などが参拝に訪れることも。
さらに、東郷平八郎は英語が得意だったことから、東郷神社のおみくじは、表面は日本語で裏面は英語で書かれていて、神社にお参りすると英語が上手になると受験生にも人気です。英語がうまくなりたい人はぜひ参拝してくださいね。
歴史好きにはたまらない公園
東郷神社もそうですが、東郷公園は日露戦争の歴史を今に伝える公園で、戦争の歴史に興味がある人にはたまらない魅力があります。芝生広場もあるのでお子様連れでものんびり過ごせますよ。春には500本の桜が咲き、お花見にもぴったりです。ふもとの津屋崎漁港には新鮮な魚介類が食べられるお店もあるので、ドライブがてら東郷平八郎に会いに行ってみてはいかがでしょうか。
アクセス情報
JR鹿児島本線「福間駅」から車で約20分
駐車場:60台
住所:福岡県福津市渡1815-1