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歴史  |    2023.08.28

忍路のひっそりストーンサークル(環状列石)を訪ねて|北海道小樽市

観光地小樽の知られざる珍スポット「忍路(おしょろ)環状列石」

うっそうとした森の中、自然に溶け込むような佇まいのストーンサークルたち

北海道の観光地として人気の高い小樽市は歴史を感じさせる街並みや運河が有名ですが、実は遺跡も多くあることはご存じでしょうか。小樽市近郊には、なんと80基近くものストーンサークル(環状列石)が存在しており、マニアな穴場スポットとして人気です。

ストーンサークルと言えば、筆者が子供のころはUFOの発着所として宇宙人が作った説など、ミステリー要素が満載で一度この目で見たいと思っていたものの1つ。実際は縄文時代の遺跡で宇宙人はまるで関係なかったわけですが、だとしても古代のロマンに大いに惹かれます。

そこで今回は北海道小樽市忍路(おしょろ)にあるストーンサークルを訪ねて、実際の遺跡をこの目で見てくることにしました。

木の下に鎮座しているストーンサークルたちはまるで人のようにも見える

ストーンサークル(環状列石)とは?

パッとみるだけではすぐにストーンサークルとはわからない。

そもそもストーンサークルとはなんなのでしょうか。ストーンサークルとは、石を運んで環状に配置した古代につくられた遺跡のことで、世界中に存在します。イギリスの巨石のストーンサークルは有名ですよね。また、パワースポットとしても近年は人気があるそうです。

遺跡ごとに特徴があり、形状も丸い形から隅が丸い方形のようなものなどさまざまです。研究者の間では、祭祀や儀礼のためにつくられたものと考えられています。

忍路環状列石は、縄文時代後期の由緒ある国指定史跡

現地にはこの看板が設置されているのみであとはなにもなし。

忍路の環状列石は小樽市街からかなり離れており、ほとんど余市に近い場所にあります。こちらのストーンサークルは、江戸時代には発見されていたという歴史を感じさせるもの。しかも日本の考古学史上においてはじめて学術調査が行われた遺跡といわれています。

果たしてそのような由緒あるストーンサークルの遺跡とはどんなものなのか?ワクワクしながら現地へと向かいます。グーグルマップを頼りに向かうとさすが「忍路」というだけあり(?)こんなところにあるの?という山道を走り続けたどり着きました。

ひっそり過ぎる森のストーンサークルたち

ストーンサークルを形づくる石たちが点在しています。

そして、いざ現場に着いてみると。

「え、これが遺跡…?というかあのぽつぽつと立っているのがストーンサークル?い、意外に小さい…」

と、思わず呟いてしまいました。

あまりにも森の中にあっさり存在しており、ちょっと、というかかなり拍子抜け。いえ、別にイギリスのような巨大なストーンサークルを期待していたわけではないのですが。それにしてもストーンサークル感(とは何か)がない…。

想像していた重々しい雰囲気やUFOが飛来するようなミステリー感はまるでなく、森の中の、しかもどなたかの畑のとなりにひっそりとありました。(畑のおじさんと会釈を交わしました)

はるか古代の人々はこの地で生活し祈りをささげていたのでしょうか

正直ストーンサークルと説明されなければわからないかもしれません。よく見ると石は環状に配置されているのですが、小さいうえにあまりにも周りの自然と溶け合い1つの風景として成り立ってしまっているため、遺跡という特別感は皆無です。

まばらですが、人も出入りしていて(たまに見学に来た学生のような子もいました)日常的な人の生活空間に普通にあるストーンサークルという感じでした。

ユニークなストーンサークルたちに出会って

柵があるためすぐそばまで近づくことはできないのですが、ストーンサークルは苔むしており、確かに縄文時代という古代から時間を積み重ねてきた歴史を感じます。同時に人々の生活に密着した身近なストーンサークルであることも間違いなく、実にユニークな存在です。

今回、忍路のストーンサークルを訪ねて、遺跡というものは実は特別なものではなく、常に人々の生活や地域に密着しているものなのかもしれない、と、認識を新たにしました。忍路のストーンサークルはそんな不可思議な魅力に溢れています。

小樽市や余市近郊にはこのようなひっそりストーンサークルがまだまだ存在しているそうです。「いつかすべてのひっそりストーンサークルを訪ねてみなくては!」そう決意しました。

あなたもひっそりストーンサークルの魅力を感じに、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。

写真撮影:文

【忍路環状列石MAP】

参考サイト:小樽市「忍路環状列石」

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この記事を書いた人

小糸 あき

夫婦で50代からフリーランスになり北海道札幌で文工房という記事作成事務所を営んでます。ママンライター&パピーカメラマン。北海道という地域に根ざしながら、住む人や暮らしを応援したいと考えています。好奇心を持ち、常に挑戦する姿勢を忘れず、自然や人に寄り添った仕事をすることが目標。趣味は道の駅めぐりと図書館めぐり。

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