「補助金なんて、ウチのような小さい会社には関係ない」と考えてはいませんか?
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が経営課題を解決するために、ITツールを導入した費用を国が支援する制度です。
2024年のIT導入補助金1次締切分で交付を受けた事業者一覧の中には、法人番号のない個人名も多数記載されています。
最大450万円が支給されるため、資金調達や人手不足などの悩みを抱えながら、日々多くの業務をこなしている地域の中小企業や小規模事業者こそ活用したい補助金です。
しかし、
「IT導入補助金を使ってデジタル化やIT化をしてどんなメリットがあるの?」
「申請に手間も時間もかかって大変でしょ?」
「そもそも何からしたらいいのかわからない」
という方も多いでしょう。
そこで本記事では、補助金を使って自社の発展はもちろん、地域の活性化や地方創生を目指す事業者のために、IT導入補助金についてまとめました。
▼この記事でわかること
- IT導入補助金を活用して経営課題を解決した事例
- IT導入補助金の対象となる事業者と経費、補助金額
- 補助金を受け取るまでの流れと2024年のスケジュール
- IT導入補助金を申請する前に知っておきたいこと
「補助金を活用できるならやってみたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
【業種別】IT導入補助金で地域の発展に貢献した5つの事例を紹介
IT導入補助金はさまざまな業種の事業者が活用できる補助金です。
ITツールを導入する資金を得られるだけでなく、以下の成果も期待できます。
- 業務の効率化
- 売上アップ
- 社員の負担や残業時間の軽減
- 社員のモチベーションアップ
- 顧客満足度・信頼度の向上
- 競争力アップ
上記はほんの一例です。
実際に地域でがんばる多くの企業が、IT導入補助金をきっかけに経営課題の解決と、さらなる効果を実感しています。
具体的な事例を見ていきましょう。
【飲食業】会計ミスを9割削減!人手不足でも待ち時間を短縮、顧客満足度アップ
和歌山県でお弁当屋と仕出し屋をチェーン展開する杏亭グループでは、レジシステムを導入して混雑時でも人を調理に回せるようになり、顧客満足度だけでなく売上アップにもつながりました。
悩み | 慢性的な人手不足 お客様の待機時間の増加 |
導入ITツール | タッチパネル型レジシステム |
成果 | お弁当の提供スピードが上がり、待ち時間を短縮 混雑時でも商品の品質が向上 会計ミスは9割減、販促機能により客単価は2割増 |
【宿泊業】コロナ禍前より売上アップ!ホスピタリティのさらなる充実にも期待
長野県でホテルを運営する株式会社ズイカインターナショナルでは、クラウド型の管理システムを導入して作業効率が上がり、さらなるホスピタリティの充実や営業活動の精度向上を目指しています。
悩み | ホテル外では空室情報や経営状況などのデータへアクセスできない 現システムでは自社の規模感に合ったカスタマイズが難しい |
導入ツール | クラウド型の旅館・ホテル管理システム |
成果 | 空室状況や部門ごとの売上をリアルタイムで把握 現場の作業効率向上 旅行代理店への商品提案がスムーズに 経営側で新たな課題に気づけたケースも |
【卸売業】業務時間が1/6!作業の効率化で顧客数2割増、売上は1割増を達成
東京都新宿区で自社開発のお茶など自然健康食品を手掛ける株式会社宝寿園では、2つのITツールを導入して受注に関わる作業時間が短縮し、顧客の獲得や売上アップを実現しました。
悩み | 自社システムでの販売管理業務に限界を感じる 自社管理システムと経理が連動していない 処理スピードが遅く、お客様をお待たせしてしまうなどのサービス低下が発生 |
導入ツール | 販売管理システム「PCA商魂DX」 指定伝票発行システム「伝助」 |
成果 | 伝票発行業務時間が1/6に短縮 受注業務における確認や手作業が減り、人的ミスが解消、クレームも半減 受注数を調整する必要がなくなり、顧客数は2割、売上は1割増加 |
【介護業】テレワーク可能な環境で柔軟な働き方を実現!人材の確保と定着につながる
富山県で高齢者向け介護事業などを行う株式会社ささや木では、社外でも業務ができるようクラウド型ソフトを導入した結果、働き方が柔軟になり人手不足解消につながっています。
悩み | 人手不足や業務の停滞 社外で地域活動も行う代表が、社内業務を行う時間の捻出 |
導入ITツール | クラウド型の介護業務支援ソフト |
成果 | ITツールのクラウド化により、出先や車中でのテレワークが可能に 自宅でも勤務できる環境を実現、人材の確保につながる 柔軟な働き方による安心感と満足度から人材も定着 |
【保育業】労務管理時間を7割軽減!保育業務に注力し、こどもと保護者の安心につながる
群馬県の社会福祉法人清香会 大胡第3こども園では、保育に特化したITツールを導入して残業や持ち帰りの仕事がなくなり、社員のモチベーションや保護者の安心につながりました。
悩み | 職員の労務管理や児童の登降園管理の負担が大きい |
導入ITツール | 保育園・幼稚園向けITツール「キズナコネクト」 乳幼児のブレスチェックができるITツール |
成果 | 労務管理の作業時間が7割軽減 教育・保育に注力できる環境で、職員のモチベーションもアップ 職員同士やこどもとのコミュニケーション時間が増え、保護者の安心にもつながる |
ほかにも農業や製造業、小売業に運輸業など、IT導入補助金の交付を受けてITを導入し効果を実感した事例は多数公表されています。
経営課題の例や解決策など、ぜひ参考にしてください。
▼時間をかけずにあなたの会社がもらえる補助金や助成金を知りたい方は「無料診断」がおすすめです。
\ 5つの質問に答えるだけで、どの補助金でいくらもらえるのかわかる /
業務の効率化や売上アップが図れる「IT導入補助金」とは?
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が抱える経営課題を解決するため、ITツールを導入する場合に支援される補助金です。
労働生産性の向上を目的として5つの申請枠が用意されており、中小企業・小規模事業者が補助対象になっています。
ITツール(ソフトウェア、サービスなど)購入費のほか、ITツールを使うためのハードウェア購入費や、相談対応などのサポート費用、クラウドサービス利用料も補助対象に含まれ、幅広い活用が期待できます。
補助金は原則返済不要。直近の2024年1次締切での採択率は全体で85.4%(申請数3,201、採択数2,734※)と高い確率で給付を受けられます。
資金不足でデジタル化やIT導入に踏み切れない企業を応援してくれる嬉しい制度です。
※参考:「IT導入補助金2024」「通常枠:1次締切」、「セキュリティ対策推進枠:1次締切」及び「インボイス枠(インボイス対応類型):1次締切」の補助事業者を採択しました | 中小企業庁
補助対象は中小企業と小規模事業者
IT導入補助金の対象となるのは、中小企業と小規模事業者です(一部大企業も含む)。
業種ごとに異なる条件は以下の通りです。
【中小企業】
※各業種ごとに定められている資本金額・従業員数のどちらかが記載数字以下の場合対象
業種分類 | 資本金(金額または出資の総額) | 常勤の従業員数 |
製造業 建設業 運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車や航空機用のタイヤ、チューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業 情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
上記以外の業種 | 3億円 | 300人 |
【小規模事業者】
業種・組織形態 | 常勤の従業員数 |
商業 サービス業(宿泊業・娯楽業は除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業そのほか | 20人以下 |
ほかにも、医療法人や社会福祉法人、学校法人、商工会・都道府県商工会連合会・商工会議所、財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)、組合、特定非営利法人などの組織形態の事業者も、常勤の従業員が指定数以下であれば対象となります。
IT導入補助金2024(令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)【1次締切分 通常枠】交付決定事業者一覧によれば、株式会社だけでなく、有限会社や合同会社、NPO法人、法人番号のない個人名の方にも交付されています。
対象外となる条件もありますので、詳しくはIT導入補助金2024事務局ホームページの補助対象者をご確認ください。
【最大450万円】申請する枠によって異なる補助金額と対象経費
IT導入補助金には申請枠があり、それぞれ対象となるツールや補助金額が異なります。
以下に申請枠ごとの対象経費と補助金額をまとめました。
申請枠 | 対象となる経費 | 補助金額 | 補助率 |
通常枠 | ・ソフトウェア購入費 ・クラウド利用料(最大2年分) ・機能の拡張やデータ連携などのオプション ・コンサルティングやマニュアル作成などの導入関連費 | 5万~450万円 ※導入するITツールの要件により異なる | 1/2以内 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | ・インボイス制度に対応した会計・受発注・決済のソフトウェア(必須) ・拡張機能やデータ連携ツール、セキュリティに関する経費 ・PCやタブレットなど ・POSレジや券売機など | ~350万円 ※企業の規模、購入するツールの種類により異なる | 1/2~4/5以内 ※企業の規模、購入するツールの種類により異なる |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応した受発注システム(クラウド型ソフトウェアやクラウド利用料) | ~350万円 ※企業の規模により異なる | 1/2~2/3以内 ※企業の規模により異なる |
セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティサービス利用料(最大2年分) | 5万~100万円 | 1/2以内 |
参考:補助対象について | IT導入補助金2024
2024年より、デジタル化基盤導入枠が廃止となり、新たにインボイス枠が設置されました。
それに伴い、ECサイト(ネットショップ・オンラインショップ)の制作が対象外となっています。
販路拡大などで販売サイトの構築を考えている場合は注意が必要です。
IT導入補助金申請から給付までの9ステップ
IT導入補助金は、9つの手順を踏んで手続きが進みます。
- 改善したい課題のチェック・ITを導入する目的の明確化
- アカウント登録などの手続き
- ITツールとIT導入支援事業者の選定
- 書類と申請の準備
- 申請・採択発表
- 補助事業の実施(ITツールの発注・契約・支払い)
- 実績報告
- 補助金額の確定・交付
- 事業実施効果報告
参考:新規申請・手続きフロー(中小企業・小規模事業者等のみなさまの手続き)|IT導入補助金2024
申請や報告など、ほとんどの手続きをオンライン上で行います。
申請前に自社にはどんな課題があり、何を解決したいのか、どんな目的でITツールを導入するのかを明確にしておきましょう。
事業計画や報告書を作成する上で重要な工程です。
また、応募には法人・個人事業主向けの共通認証システム「gBizIDプライム」への登録が必須となります。
中小企業自ら情報セキュリティ対策に取り組むと宣言する制度「SECURITY ACTION」の宣言や、経営課題とデジタル化の状況を把握できる診断ツール「みらデジ経営チェック」の実施など、書類以外にも手続きが必要です。
各申請枠によって手続きや必要書類は異なります。
交付規定や公募要領を確認し、交付申請の手引きを理解しておくと安心です。
2024年のIT導入補助金申請スケジュール
IT導入補助金には受付申請期間が設けられており、締切日が過ぎると次回の受付まで待たなければなりません。
各申請枠ごとに直近の受付締切日をまとめました。
申請枠 | 応募枠 | 締切日 | 交付決定日 |
通常枠 | 3次 | 2024年5月20日(月)17:00 | 2024年6月26日(水)予定 |
インボイス枠 (インボイス対応類型) | 5次 | 2024年5月20日(月)17:00 | 2024年6月6日(木)予定 |
インボイス枠 (電子取引型) | 3次 | 2024年5月20日(月)17:00 | 2024年6月26日(水)予定 |
セキュリティー対策推進枠 | 3次 | 2024年5月20日(月)17:00 | 2024年6月26日(水)予定 |
締切直前は、アクセスが集中して接続が難しくなることも考えられます。
申請に余裕を持つためにも、計画的に進めることが大切です。
IT導入補助金の申請前に知っておきたい3つのこと
IT導入補助金を申請する前に知っておきたいことを3つご紹介します。
- 補助金は後払い
- 申請すれば必ずしも採択されるとは限らない
- 申請の準備や給付後の報告など手続きが必要
補助金は後払い
IT導入補助金は、原則後払いです。
補助対象となるITツールを購入・導入した後に、使用した経費を報告して交付金額が決まるため、申請者が費用を立て替える必要があります。
規定から外れなければ「ITツールを購入したのに、補助金が交付されなかった」という事態は避けられますが、一時的に全額を負担するため、資金には注意しましょう。
申請すれば必ずしも採択されるとは限らない
応募枠によっても異なりますが、IT導入補助金の採択率は直近の2024年1次締切で85.4%でした。
通常枠は75.4%、セキュリティ対策推進枠で77.7%、インボイス枠(インボイス対応類型)では95.4%とすべてで高い確率ですが、いずれも100%ではありません。
交付には事務局による審査が必要です。
申請内容が趣旨や目的に適していない場合や、無理のある事業計画だと判断された場合は、不採用となる可能性があります。
しかし、もし採択されなかった場合でも再申請は可能です。
公募要領に記載されている「審査項目」をよく読み、現実的な事業計画を練るなど、準備を万全にしてから申請しましょう。
参考:「IT導入補助金2024」「通常枠:1次締切」「セキュリティ対策推進枠:1次締切」及び「インボイス枠(インボイス対応類型):1次締切」の補助事業者を採択しました | 中小企業庁
申請の準備や給付後の報告など手続きが必要
IT導入補助金は、申請にあたってアカウント登録などの手続きや提出書類、事業計画の準備が必要です。
さらに補助金を受け取った後も、補助事業を実施した効果を報告する義務があります。
日々の業務に忙しく、時間が確保できない中で申請や報告を行うのは負担だと感じるかもしれません。
しかし、IT導入補助金ではITツール支援事業者からサポートを受けられます。
ITツール支援事業者とは、申請者となる中小企業や小規模事業者などにITツールの説明や提案から、申請や手続きまでサポートを行う事業者です。
申請者はIT導入補助金事務局に登録されているIT導入支援事業者とパートナーシップを組み、手続きを進めます。
実際に補助金の採択を受けた企業からは、以下のような声が上がっていました。
ITツールの導入にあたっては、IT導入補助金の申請からサイト上のショップページ構築まで、Zoomや電話によるリモート打ち合わせで丁寧にサポートしてもらったおかげで大変スムーズに進めることができました。
市原ファーム|IT導入補助金2021活用事例|中小企業生産性革命推進事
補助金の申請書類や導入後の報告書の書き方などは非常に煩雑で大変でしたが、IT導入支援事業者のバックアップがあり、比較的にスムーズに申請することができました。
株式会社藤進|IT導入補助金2021活用事例|中小企業生産性革命推進事
手続きの時間は必要ですが、IT導入支援事業者のサポートを受けながら申請や報告書の作成ができるのは、IT導入補助金の魅力でしょう。
地域でがんばる小さな会社こそIT導入補助金でデジタル化と地方創生を!
地域の中小企業や小規模事業者にとって、デジタル化の波に乗るための資金調達は大きな課題です。
IT導入補助金は、急速に進歩する技術へ対応し、業務の効率化や生産性の向上を進め、ビジネス競争力を高めるために必要なデジタル化やITの導入を金銭的に支援してくれます。
一方で、申請に手間と時間がかかったり、採択率が100%ではなかったりと、必ずしも良い面ばかりではありません。
申請には締切があり、計画的に申請を進めるためにも積極的な行動が必要です。
IT導入補助金の目的は、業務の効率化や残業時間の短縮などの経営課題を解決すること。今抱えている悩みがITツールの導入で解決できるのであれば、IT導入補助金を活用しない手はありません。
Mediallでは、5つの質問に答えるだけで、あなたがどの補助金でいくらもらえるのかわかる「助成金・補助金診断」を無料で行っています。
「時間がない」「何をすればいいのかわからない」…そんな方はまず無料診断から始めてみませんか?
\ 5つの質問に答えるだけで、あなたが受けられる補助金がわかる! /