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スポット  |    2023.09.10

横浜・みなとみらい「海上保安資料館 横浜館」で平和について考える

みなとみらいというと、横浜ランドマークタワーや赤レンガ倉庫など、新しさと古きよき時代の建物が並ぶエリア。その一角に「海上保安資料館 横浜館」があります。

海上保安資料館 横浜館には、20年ほど前に日本近海で実際にあった工作船事件の全容と、引き上げられた工作船が展示されています。

今回は、横浜・みなとみらいでも穴場の名スポット「海上保安資料館 横浜館」を紹介していきます!

海上保安資料館 横浜館って?

海のそばにあります

海上保安資料館 横浜館は、みなとみらいの新港エリア、おしゃれなショップやレストランが入った横浜赤レンガ倉庫、MARINE&WALK YOKOHAMA の近くにあります。

2004年12月にこの地にオープン。北朝鮮の工作船が展示されている資料館で、海上保安庁の紹介、オリジナルグッズのショップなども併設されています。

中に入ると海上保安庁のお仕事の内容

海の警察・消防とも言われる海上保安庁のお仕事は、海の事件・事故の 未然防止、海難救助、犯罪の取り締まりだけではありません。「海図」という海の地図の作成、灯台の保守管理など多岐に渡ります。

海上保安資料館 横浜館では、そんな海上保安庁のお仕事を知ることができ、さらには工作船事件で回収された乗組員の所持品や使われていた武器などを見学することができます。 

海上保安庁キャラクター・うみまるとうーみんが兄妹でお出迎え

海上保安庁第三管区海上保安本部 広報・地域連携室長・小倉さんによると、海上保安資料館 横浜館は2014年から2019年まで6年連続でアメリカのトリップアドバイザー社のエクセレンス認証を受賞。2019年には「旅好きが選ぶ!日本人に人気の無料観光スポット・トップ20」にもランクインし、日本国内のみならず、外国人観光客も多数来訪されるとのことです。

ベストショットが取れる位置も教えてくれます

英語、フランス語、中国語、韓国語、日本語と5カ国語の音声ガイドサービスのみならず、オンラインミュージアムも開設されており、入場料が無料とは思えない充実した資料館となっています。

九州南西海域における工作船事件が時系列に

事件の内容を紹介

2001年12月22日、九州南西海域で工作船事件がありました。資料館では、その事件を時系列にまとめて紹介しています。

事件の内容は、次の通りです。

1. 海上保安庁は防衛庁(当時)から不審船情報を入手し、日本のEEZ(排他的経済水域)内を走行している不審船を捕捉しようと追跡。巡視船と航空機から何度も停船命令を出したものの、不審船は逃走。

2. 威嚇射撃をするも不審船は逃走を続け、最終的には巡視船に向かって、自動小銃やロケットランチャーで攻撃。

3. 巡視船が正当防衛射撃をしたところ、自爆用爆発物によるものと思われる爆発を起こし、不審船は沈没。

※参考 海上保安資料館 横浜館

回収された武器

事件から約1年後、不審船は引き上げられます。船内に残されていた武器などを調査したところ、北朝鮮を示す星マークやハングル文字が表記されていました。また、工作活動目的に建造された船体と判断、主に覚せい剤の取引に利用されていた疑い、他の重要犯罪にも使われていた可能性があることがわかりました。こうして北朝鮮の工作船であると認定されたのです。

回収された武器も展示されています。2000年代初頭にしては古めかしい感じの武器があり、ドラマや映画のなかでしか観たことがないものばかり。

手榴弾がちょっと古めかしい感じがします

また、工作船は中国漁船を装っていました。(時には日本漁船にも偽装可能)通常の漁船であれば、エンジンが1つか2つのところ、4つ搭載。逃走する際にスピードが出るように作られているそう。さらに船体を軽くするために、一般的な漁船で使用する鉄板は10~20ミリのところ、3~5ミリを使用するなど様々な工夫がされているとのことです 。

引き上げられた工作船を上から見る

船尾付近。上の穴はトイレだったそう

工作船の船尾も公開されています。後方部には工作船の特徴の観音扉、中には小型の船が格納されていたとのこと。 

格納されていた船がこちら。

格納されていた船とボート

小型の漁船にも、スピードを出すためのエンジンが多く付いています。

わかりにくいですが、向かって右上の奥に穴があいています 

船が格納されていた奥のあたりで自爆装置が使われたようで、奥には不自然な穴が。

壮絶な事件だったことがわかります。

操舵室付近。実物は屋根がついていました。

海上保安資料館 横浜館では、工作船を上からも見られるように作られています。上から見ると多く付いたエンジンや、二連装機銃を移動できるようにしていたレールなども残っていました。

工作船の乗組員は10名。通常、船員の部屋がある場所は、小型船や武器が隠されていました。全員が操舵室を含む上部構造物の中で仮眠や調理など生活をしていたものと考えられ、工作員の過酷な生活が想像されます。

機関室も見えるようになっています

正面に設置されたスクリーンからは、約16時間に及ぶ死闘の実録映像のダイジェスト版が流れています。

リアルな映像、音や声に恐怖を感じます

この事件で、工作船の乗組員10名が死亡。海上保安庁の巡視船「あまみ」の乗組員3名が負傷するなど、死傷者が多数出ました。

被弾した巡視船「あまみ」の船橋の模型と実物の装備品

今私たちが平和で安全に暮らせているのは、海上保安官の努力や日々の訓練の積み重ねがあってのことなのだと改めて知りました。

世界を見れば、決して平和とは言えません。誰もが平和で平穏に暮らせる世界とは、どんな世界だろうと考えさせられる資料館です。

うみまるとうーみんグッズもある

ほっこりできるショップ

被弾した船や武器などを見ると何とも言えない気持ちになりますが、展示の終わりには海上保安庁のグッズが販売されているショップがあります。なんだかほっとしますね。

海上保安庁のキャラクター、うみまるとうーみんのぬいぐるみや文房具。ロゴのマグネットなど、かわいいグッズがあります。来館記念に買って帰りたくなるものがいくつかありました。

海上保安庁のステッカー、マグネットなどもあります

海上保安庁第三管区海上保安本部 広報・地域連携室長・小倉さんによると来場者がもうすぐ400万人を突破しそうとのこと。

「横浜にある他の資料館とはちょっと違う雰囲気ではありますが、今後もこの工作船事件を風化させないよう、事実を伝え続けていく資料館でありたいです」と語ってくださいました。

まとめ

横浜・みなとみらい「海上保安資料館 横浜館」は、事件で沈没した工作船が見られる貴重な資料館です。

私たちは平穏無事に暮らしていますが、その裏には犯罪を水際から防ぐために日々お仕事をされている海上保安官がいます。

昨今の国際情勢や平和とは何かを考えさせられる深い資料館です。みなとみらいにいらした際には、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

海上保安資料館 横浜館
住所:神奈川県横浜市中区新港1-2-1
アクセス:東急みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」下車 徒歩8分
JR根岸線・市営地下鉄「桜木町駅」から汽車道経由 徒歩17分
TEL: 045-662-1185
開館時間 10:00~17:00(閉館30分前に受付終了)
定休日:月曜日(祝祭日と重なる日は翌日)/年末年始(12/29~1/3)
※臨時休館となる場合があります。(くわしくはホームページをご確認ください)
入場料:無料
ホームページはこちら
海上保安資料館横浜館オンラインミュージアムはこちら
Twitter:@JCG_koho

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この記事を書いた人

chillco

神奈川県横浜市在住。生まれも育ちも横浜のWebライター。旅・酒・食・音楽がテーマ。訪れた国は25か国を超える。お酒やグルメ、スィーツ、イベントなど地元・横浜の魅力を発信していきます!

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