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スポット  |    2023.09.25

国登録有形文化財のレトロ建築で読書と地域の交流|三野図書室

徳島県三好市三野町は、三好市の中心部から車で30分程の飛び地にあります。
吉野川の中流域に位置し「太刀野の中央構造線」の露出地点です。太刀野の中央構造線は、四国内で唯一断層が見られる、徳島県指定の天然記念物となっています。
戦国武将の三好長慶の出身地といえば、歴史好きにはピンとくるかもしれませんね。

今回ご紹介するのは、三野町の図書室です。

レトロな見た目、佇まいが美しい洋風建築

レトロ建築を見学してその建物内でランチを食べるドラマが放送されたり、レトロ建築を巡るツアーがあったりと、レトロ建築の愛好家は多いですね。

三好市三野町にも、素敵なレトロ建築がありますよ!

三野図書室です!

国登録有形文化財である旧三野役場庁舎を有効活用しようと、1階に徳島県産の杉材を使った図書室、2階はかつての議場の名残を残した地元の交流スペースとして整備されました。

絵本コーナーの照明
図書係の方が作ったモビール。季節を取り入れたものが多いそう。

中に入ってすぐ、図書室の真ん中には子供達が靴を脱いで座って絵本が読めるコーナーがあり、夕方になると保育園を終えた子供達が保護者の方と一緒に来るそうです。

絵本コーナーのLED照明は何と6色に切り替えられるそうで、夏の暑い時期は涼しげな青色に変えたり、時間帯によっても変えたりしています。

図書室では毎月第1日曜日に絵本の読み聞かせの会「おはなし会」が開催されており、図書係の方達が趣向を凝らして訪れた家族連れを楽しませてくれています。

「奥には自習スペースもあり、最近は学生の利用が増えて試験前などで熱心に勉強する姿が印象的です」と話してくれたのは公民館の職員である小笠さん。

三野図書室は、元々は公民館の図書室を移動したものだそうです。
「三野図書室は5,000冊程の蔵書があり、リクエストも受け付けていますのでもっと増えますね。人気はレシピ本なんですよ」と教えてくれました。

市民の作品の展示スペースから生まれる交流も

貸出や返却の窓口近くには、展示スペースがあります。
訪れた日は、お盆や手鏡などの木を彫った素敵なデザインの作品が展示されていました。
小笠さんは「公民館の講座や放課後ディサービスの作品など、1ヶ月ペースで展示を入れ替えています。発表の場があるとモチベーションも上がりますよね」と笑顔で話してくれました。

お盆の文様も1つ1つじっくり時間をかけて彫っています。
端午の節句の飾り
麦わら(ストロー)を使ったフィンランドの伝統工芸「ヒンメリ」

建築当時の姿をほぼ残し、地元に愛された旧町役場庁舎

昭和9年に建築されたこの建物は長らく旧三野町の町役場や議場として活用され、その後平成の大合併などの市町村統合後は三好市支所として愛されてきました。
大正後期の洋風モダンの要素を取り入れた建築は県内でも珍しく、2階部分の半円アーチ窓や入口のアーチ型玄関ポーチなどが特徴です。
幕末から明治にかけて作られた異人館などに通じる雰囲気がありますね。

平成26年には耐震基準の観点から、耐震補強の計画やその後の活用方法などが話し合われ、現在の図書室としての活用が決まりました。
計画から設計・工事まで約5年をかけて耐震工事や図書室としての改装を行い、設計には地元設計会社の若手スタッフが起用されて素晴らしい内装を提案されました。
建物の隣には現在の三野支所も建てられ、地域の憩いの場としての役割を担っています。

三好市教育委員会 社会教育課 文化財係の宮田 健一さんは「様々な制度を活用して地元のものを良い形で残す、それが地域や住民にとって良いことになります」と仰っていました。

窓辺には観葉植物が置かれ、居心地の良い空間

まとめ

往時を知り三野町を見守ってきた旧町役場は、町のシンボルの1つです。
国登録有形文化財を残し地元で活用する事は、未来への種蒔きで、贈り物。

あなたの住んでいる町にも、知られざる登録有形文化財があるかもしれません。

レトロな建物の図書室で読書、何だか文学作品の一場面のような豊かな時間ですね。
レトロ建築好きの方も、図書館(室)好きの方もぜひ、お越しください。

三野図書室

〒771-2304 徳島県三好市三野町芝生1039
Tel:0883-77-2248

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この記事を書いた人

犬山 涼

名前:犬山 涼 (犬が書いてます) 四国のへそ在住ライター。探究心のままに幅広いジャンルで執筆、四国の「知る人ぞ知る」ならお任せあれ! まだまだ知られていない「人・事・物」をお届けします。 珈琲豆の自家焙煎・販売も行っています。ご購入は各種SNSまで。     ↓「記事一覧」を押していただくと、各種SNSのリンクあります♪ ↓

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