Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

スポット  |    2023.10.11

1860年から続く、上質な湯をとくと味わう|福岡県「博多湯」

最古の和歌集『万葉集』にも歌われた、1300年の長い歴史を持つ九州最古の温泉地・二日市温泉。

今では観光客の数がまばらになってしまった、そんな温泉街の一角に、今でも地元の人を惹きつけてやまない温泉があります。その名は「博多湯(はかたゆ)」。

博多湯は、1860年(万延元年)の創業以来、この地で多くの人を癒してきました。

1860年……と言うと、桜田門外の変が起こった年と同じ。それだけの長い歴史を持つ温泉が、まだ変わらず営業を続けているというので驚きです。

建物は、創業当時の風情を感じる木造3階建て。枝垂れ柳や提灯の灯りに風情を感じます。

入浴料は、大人平日350円・休日400円と良心的なお値段。

貸しタオルやアメニティも販売されているので、手ぶらで来ても大丈夫です。

博多湯は、洗い場が5個・石造りの内湯が1つの、こじんまりとした共同浴場です。

昔の造りのままの大浴場は半地下になっていて、脱衣所からは少し階段を降りていきます。

大浴場の扉を開けるなり飛び込んでくる、独特な硫黄の香り。モール臭のような、芳醇でほのかに甘い香りも感じます。

また、床にグラデーションのようについたぬめりの黒色がなんとも美しく、特徴的な湯質と長い歴史を感じさせます。

出典:博多湯公式HP

博多湯は、古来から湧き出る弱アルカリ性の単純温泉。地下260mから汲み上げてきた源泉を、一度も空気に触れさせることなく、新鮮なまま浴槽へ掛け流しています。

一度も消毒や加熱をされずに届くお湯に浸かっていると、まさに自然の恵みを全身で感じられるよう。お湯は少しぬるめの丁度いい温度で、ずっと浸かっていられると思うほどの心地よさです。

また、博多湯は高温泉としては珍しく、お湯から気化したラドンの成分を多く含む「ラドン温泉」であるのも特徴です。

ラドン温泉とは、自然放射能を含む温泉のこと。放射能、というと少し怖いイメージがありますが、温泉に含まれる程度の放射能は、肌や呼吸を通じて吸収されるとそのイオン化作用で、人の体調を整えてくれるそう。

アトピー性皮膚炎、神経痛、筋肉痛、さらに自律神経失調症や糖尿病、高血圧症などの幅広い病気にも効能があると言われています*。
(参照:「ランド温泉医学のしおり 医学の温泉」)

自然そのままの恵みを感じられる硫黄の香りと珍しいラドンの成分、そして滑らかで上質なお湯。

これが、博多湯が多くの人を魅了し続けてきた秘密の一つです。

気持ちのいい湯上がりには、ゆっくり余韻を味わいながらリラックスしたいですよね。

フロント横の万葉集の絵巻がおしゃれな階段を登っていくと、二階には広々とした畳の無料休憩スペースがあります。色々な種類のYogiboもあり、思わずうつらうつらしてしまいそうです。

女性専用スペースや個室(有料)もあるので、どんな方でも心置きなくリラックスできるはず。

また、フロントで販売されている「源泉水(2L 100円)」を飲むと、湯上がりにもう一度、博多湯の泉質を楽しむことができます。独特で柔らかい味わいの源泉水は、一度飲むとクセになってしまうかもしれません。

博多湯は地元の方も多く訪れる小さな共同浴場のため、比較的混雑の少ない昼間に訪れるのがおすすめです。

皆様もぜひ、太宰府天満宮の帰り道などに、博多湯で良質なお湯とその長い歴史を味わってみてはいかがでしょうか。

基本情報

アクセス:〒818-0058 福岡県筑紫野市湯町1丁目14-5
(JR二日市駅から徒歩約10分、西鉄二日市駅からはバスで約15分)
電話番号:092-922-2119
営業時間:年中無休 10:00~21:30
入浴料:大人平日 350円、大人休日 400円
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)

詳しくはこちら
博多湯ホームページ

記事をシェアする

この記事を書いた人

nokazemayuki

編集者/ライター。早稲田大学 文化構想学部を卒業後、ギャラリーやWeb制作会社での編集職を経て独立。現在は様々な土地でヒップな暮らしを探求中。一人旅と海が好き。

関連記事