Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

スポット  |    2023.11.21

【東京町田市】地域から選ばれる八百屋「やさいのナイトウ」の2代目が、八百屋の使命と魅力を語る!

「いらっしゃい、いらっしゃい!」
そんな快活な声で店内は活気づいていた。

こんにちは。Mediallライターのkonkaです。

今回は東京都町田市成瀬にある「やさいのナイトウ」の2代目店主である株式会社WAKATSU代表の若月社長にお話を伺いました。

「やさいのナイトウ」は味と鮮度にこだわった野菜ソムリエのいる1979年創業の八百屋さんです。野菜ソムリエがいるという専門性に加え、「八百屋のジュース屋」や「ドライブスルー八百屋」など、先進的な取り組みでも話題の「やさいのナイトウ」。2022年には、2号店である「やさいのナイトウ 原町田店」が「町田私の好きなお店大賞2022」を受賞し、衰退を余儀なくされる業界に新しい風を吹き込む、今話題の八百屋さんです。

若月社長が2代目を引き継いだのは2019年。先代社長の体調不良によって廃業の危機に追い込まれた時、「やります!」と勢いよく手を挙げたのが当時店長だった若月社長です。インスタグラムでは「メガスマイルクリエイター」と名乗り、“町田で一番有名な八百屋” を目指して躍進を続ける若月社長。そのインタビューから見えてきたのは、若月社長が感じる“八百屋の使命”と、スーパーやショッピングモールでは代替できない”八百屋の魅力” でした。

「やさいのナイトウ」の品種へのこだわり

平日の昼下がりに伺うと、店舗前の駐車場はほぼ満車で、お客さんが途切れることなく来店していました。

店頭には種類豊富な山盛りのフルーツが並び、店員さんの元気な声が響きます。

「いらっしゃい、いらっしゃい!さぁ、今日はパプリカがお買い得だよ。美味しいよ!」

そんな声を聞くと、何だか買ってみようかなと思うから不思議です。

店頭には季節を感じる果物がズラリと並びます。

リンゴだけでも5種類、ミカンだけでも10種類以上の品揃えです。

この品種へのこだわりが「やさいのナイトウ」の強みの一つだと若月社長は言います。

「例えば、ウチはジャガイモだけでも多い時には10種類以上並べるんですよ。ただジャガイモって言うんじゃなくて、品種にこだわってるんで。特に出始めの時期は色んな品種があるので、何種類も置いてますね。美味しい食べ方も品種によって違うので、ポップで表示したり、お客さんの用途によって店員が説明したりしています」

売り場を見ると、確かに見たことがないほどたくさんの種類のジャガイモが並んでいます

そして、よく見るとポップには品種ごとにその特徴やオススメの調理法が記載れています。

  • ホクホクで美味しい!北海道産男爵
  • 北海道産煮崩れしにくいメークイン
  • じゃが芋人気No.1 ホクホクで甘味の強い北海道産北あかり
  • 1ランク上のじゃがいも今金男爵

どれも美味しそうです。

それぞれの品種の特徴がわかると、味の想像もしやすいので献立によって使い分ける楽しみが生まれますよね。

しかも、「やさいのナイトウ」は野菜ソムリエがいる八百屋さんです。

プロが目利きした野菜を、プロがオススメする調理法で食べる。そんなの美味しいに決まっています。

生産者の努力を無駄にしない工夫とアイデア

さらに、若月社長は「やさいのナイトウ」のもう一つの強みとして “産地直送” を挙げました。

「産地直送は他店との大きな差別化に繋がってますね。ただ市場で仕入れるだけじゃなくて、繋がっている農家さんから旬のものを直接送ってもらってます。今の時期だと青森の農家さんからリンゴが届いたりして。中には市場では出回らない希少な品種もあるので、それはスーパーとかにはない強みですね」

仕入れ先となる農家さんへは実際に足を運ぶという若月社長。農家さんの話を聞いたり、時には収穫を体験させてもらったりすると言います。

「実際に見て、話を聞いたり、体験させてもらったりすると、やっぱり愛情が湧くので売りたくなりますよね」

農家さんが大切に育てた野菜や果物。

「やさいのナイトウ」では、農家さんの努力が無駄にならないよう野菜やフルーツのロスを減らすサステナブルな取り組みにも力を入れています。

「特にフルーツは表面に少し傷があるだけで買値が通常の4分の1以下になってしまったり、値段がつかなかったりするんです。でも味は美味しい。だから、ウチはそういう果物を買い取って、お客さんに安く提供したり、ジュースにして販売しています」

店舗に併設されている八百屋のジュース屋「66kitchen」は、旬の野菜やフルーツを使用したジュースやスムージーを販売しています。

筆者も「梨のスムージー」を頂きましたが、これが本当に美味しいのです。

“見た目”が原因で、廃棄物同様に扱われてしまう農家さんが丹精込めて育てたフルーツたち。

ちゃんと美味しいジュースになって、誰かに飲んでもらえたら、こんなに素敵なことはないですよね。

季節ごとに旬の味が楽しめるのも魅力。
梨も美味しかったけど、他のフルーツのスムージーも美味しそうです。

“季節を伝える” それが八百屋の使命

先代社長の体調不良により、一時は廃業の危機にあった「やさいのナイトウ」。

若月社長は迷わず手を挙げたと言います。

「廃業という選択をしたら、今まで来ていたお客さんを裏切る形になると思って手を挙げました。やらせてくださいって」

準備時間もない中、とにかく「町田で一番有名な八百屋になる」という目標だけを胸に抱いて走り出したという若月社長。先代社長の時代には行っていなかった取り組みにも次々と挑戦しています。

それらの取り組みは、飲食店への配送やネット通販でのギフト販売、さらには“八百屋のジュース屋” や “ドライブスルー八百屋” など多岐にわたります。

特に、耳慣れない “ドライブスルー八百屋” は、コロナ禍で接触に不安を感じる人のためにHPに注文フォームを設けて、駐車場まで来客したお客さんに箱詰めした注文商品をスタッフが運ぶサービスです。

「都内の市場の仲卸業者さんがそういった取り組みをしていて、いいことだと思って取り入れたんです」

コロナの感染拡大時には “ドライブスルー八百屋” を利用するお客さんも多かったそう。

また、若月社長は町田市の町田商工会議所にも所属しており、地域の事業者同士の関わりも大切にしています。商工会議所とは、地域の事業者が業種に関わらず会員となり、お互いの発展や地域の発展のために活動を行う団体です。

「飲食店への配送やネット通販などは町田商工会議所のつながりで形になりましたね」と若月社長は話します。

着想に対する実現力の高さに「すごいですよね」と筆者が言うと、若月社長は気になったことは、とりあえずバッと始めて、そこから徐々に形を作っていますね。まず、やってみてダメだったらやめればいいから。ある意味、ノリと勢いですね」と話します。

「正直、小さくやればそのまま終わっていくんです。八百屋は絶滅危惧種ですからね。実際、スーパーやショッピングモールにお客さん取られちゃってるんで。みんな店舗の方はやめて、飲食店の配送とかにどんどんシフトしてますね。だから、八百屋って今店舗がないんですよ」

経済産業省が発表するデータによれば、昭和60年には5万を超えていた「野菜・果実小売業の事業者数」は、令和3年には1万5千を下回る数まで減少しています。

「もったいないと思いますね。タイミングやきっかけ、やりようによっては売れるようになると思うんです」

時代の流れによって、数を減らし続ける八百屋さん。

そんな時代背景の中で “八百屋”として生きる若月社長に、その面白さを伺いました。

最高に面白いのは、季節によって売り物が全て変わっていくところです。コロコロと変わっていくから、全く飽きないんですよね。実際に自分で仕入れて並べる時も、こうしたら売れるんじゃないかって常に考えながらやってるから、ワクワクするんですよね。究極を言うと、完璧な状態に並べ終わると『崩さないでくれ!』とすら思います。ちょっと自分の中では芸術に近い感覚なのかもしれません」

若月社長はそう言って笑いました。

「季節のものを前に出したり、安く仕入れたものを山盛りにして特売にしたり、毎日売り場の顔色が変わっていくから、それは本当に楽しいです。ちょっと前まで暑かったから、スイカや梨が飛ぶように売れていたのに、気温が下がると、今度はリンゴやミカンが売れるようになってくるんです」

取材をしたのは10月の終わり。店頭にはリンゴやミカンが色鮮やかに並べられていました。

「旬の野菜やフルーツを売り場に出すことで、いわば衣替えをしているんですよね。それでお客様に季節を伝えていく。使命だと思うんですよ、それが八百屋の」

旬の野菜や果物で季節を伝える。

かっこよすぎて、痺れました。

若月社長の八百屋という職業へのプライドと愛情が伝わってきて、これこそスーパーやショッピングモールなどには代替できない「やさいのナイトウ」の強みだと筆者は感じました。

おわりに

いかがでしたか?

東京都町田市成瀬にある「やさいのナイトウ」

品種へのこだわりと産地直送の強み。そして何より八百屋としてのプライドを持ち、愛情を持って野菜やフルーツを販売する若月社長。それら全てが合わさって地域に選ばれる「やさいのナイトウ」があるのだとわかりました。

「やさいのナイトウ」では店員さんが来店するお客さんの相談に乗ったり、重い荷物を車まで運んであげる姿も印象的でした。それはマニュアル化された業務としての接客では実現されない、かつて活気に溢れていた商店街には当たり前にあった “人と人とのつながり” なのかもしれません。

「いらっしゃい、いらっしゃい!」
今日も「やさいのナイトウ」では元気な声が響いているはずです。

みなさまもぜひ一度、足を運んでみてくださいね。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです。

参考:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/census/index.html 経済産業省

やさいのナイトウの情報

住所:東京都町田市成瀬2-15-4
TEL:042-732-9070
営業時間:10:00〜19:00
定休日:不定休
アクセス:小田急線町田駅または横浜線成瀬駅から出ている「成瀬台行き」のバスに乗車し、「ポプラが丘前」で下車。バス停から徒歩1分。
駐車場:あり
HP:https://www.waka2.co.jp/index.html
Instagram:https://www.instagram.com/yasaino.naitou/

記事をシェアする

この記事を書いた人

konka

主に雑誌や学校教材などの出版物やWEBメディアにて取材ライターとして活動中。企業・店舗紹介記事/導入事例記事/雑学記事/子育て系サイトのSEO体験談記事/企業CSR取材記事など 可愛い3姉妹の子育てに奮闘中!末っ子は絶賛イヤイヤ期!

関連記事