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スポット  |    2024.05.25

解き明かされる謎!富沢遺跡から発見された2万年前の遺跡と旧石器人の痕跡|宮城県仙台市

地底の森ミュージアム入口

「2万年前の世界」と聞くと、みなさんは何を思い浮かべますか?

現代社会では、日々便利な生活を送ることができています。
しかし、文明の利器がなかった2万年前の世界や、そこで暮らしていた人々はどのような生活を送っていたのでしょうか?

今回は、2万年前の世界を見て学べる『地底の森ミュージアム』をご紹介します。

地底の森ミュージアムとは

遺跡

富沢遺跡から発掘された貴重な2万年前(旧石器時代)の遺跡や、数々の出土品などをそのままの形で保存・展示している(正式名称仙台市富沢遺跡保存館)テーマミュージアムです。

富沢遺跡では、氷河期の森の跡と人類の暮らしの跡が同じ場所で発見されています。両方が同じ場所で発見されたのは世界でも類がなく、この跡は『地底の森ミュージアム』でしか見ることができません。

写真の遺跡に黒く広がっている樹木(埋没林)の多くは、絶滅したトミザワトウヒという針葉樹で広葉樹も若干混じっています。

館内には遺跡のほかにも数々の出土品が展示されており、野外には忠実に再現された氷河期の森が広がっています。

復元映画で観る旧石器人の暮らし

復元映画

地下展示室にある巨大なスクリーンでは、当時の様子を再現した映画が上映されます。(上映時間についての詳細は公式HPをご覧ください)

2万年前の世界をリアルに再現するべく、当時の富沢付近と似た景色や気候の北海道オホーツク海近辺でロケを行ったそうです。

上映時間は10分間で、取材に訪れた日は映像を観ながらボランティアガイドの方が遺跡について詳しく説明してくれました。

今でも謎に包まれている『たき火跡』

焚火あとと石器をうめたあと
たき火跡の隣には100を超える石器を埋めた跡が発見されています。

「たき火跡は遺跡の少し高さがある所で発見されています。そして、現在でもどのように火をおこしていたか具体的には分かっていないため、映像では旧石器人達が背中を向けて火をおこしているのです」
たき火跡を見ながら、ボランティアガイドの方がこのように説明してくれました。

黒曜石の岩石

ボランティアガイドの方の話によると『たき火あと』については
「富沢遺跡から発見された旧石器人が槍の先に付けていた石の材料は、山形県最上地方にある黒曜石という石です。ですので旧石器人たちはおそらくそこから来たのでしょう。そして、ここでキャンプを行ったのではないか?と推測できます。この辺りには鹿の糞が沢山発見されているので、男たちはきっと鹿を追いかけてきたのでしょう」
このように解釈されているそうです。

1階展示室へ向かう通路では2万年前の出土品を展示

二万年前の石器

地下展示室から1階展示室へは、館内のおよそ60mの上り坂を歩いていきます。
その途中の通路にも、富沢遺跡で発掘された出土品の数々が展示されていました。

出口には2万年前の樹根が展示されており、発掘された状態の樹根と薬品処理を行った樹根を直接触ることができます。

二万年前の樹根

「館内の湿度と温度は高めに設定してあります。樹根には薬品処理を施しています。そうすることによって、乾燥してボロボロに壊れてしまったり水があがってきてカビが生えたりするのを防いでいるんです」

このように説明しながら「どうぞ実際に触って重さを確かめてください」と促されたので、展示されている樹根を触ってみましたが、乾燥した状態と薬品処理をした状態では重さが全然違いました。
例えると、乾燥した樹根は空のペットボトル、薬品処理をした樹根は1リットルのペットボトルぐらいの重さでしょうか。

『地底の森ミュージアム』を訪れた際はぜひ直接触って重さを比較してみてください。

1階展示室には鹿のフンや昆虫の化石、頭骨などが展示

富沢遺跡の調査

1階展示室では富沢遺跡の詳細や、2万年前に発掘された鹿のフン、昆虫の化石など数々の出土品が展示してあり、パネルをもとに詳しく学べます。

頭骨

展示室入口付近には、進化の流れを知ることができる頭骨が展示してあります。

トミザワトウヒの説明
絶滅種トミザワトウヒの解説と名前の由来
革盾
革盾と富沢駅の東側で発見された春日社古墳の説明

氷河期の森では似た樹木で2万年前を再現

散策おすすめMAP
氷河期の森
再現された氷河期の森

トミザワトウヒは絶滅してしまったので、1階展示室でしか見ることができません。しかし氷河期の森では、トミザワトウヒに似たアカエゾマツやチョウセンゴヨウ、グイマツなどを見ることができます。

アカエゾマツ
絶滅したトミザワトウヒに似ているアカエゾマツ

当時の気温は現在よりも7〜8度ほど低かったことから、森の様子を再現するために気候や環境が似ている北海道に自生していた植物を取り寄せたのだそうです。
氷河期の森では、ミズバショウやエゾリンドウ、スゲなどさまざまな植物が植えられており、四季折々の景色を楽しむことができます。

さいごに

氷河期の森の芝生

今回の取材でボランティアガイドの方の話を詳しく聞けたため、2万年前の世界をより一層楽しむことができました。

2万年前、旧石器人の暮らしや環境、気候などが再現された森を眺めながらゆっくりと散策し、当時の暮らしに想いを馳せてみるのもおすすめです。

宮城を訪れた際はぜひ足を運んでみてください。

地底の森ミュージアム

住所:〒982-0012 宮城県仙台市太白区長町南四丁目3-1
営業時間:午前9時~午後4時45分(入館は午後4時15分まで)
電話番号:022-246-9153
休館日:月曜日 (祝日にあたる日は開館) 休日の翌日(土・日曜日・休日にあたる日は開館)
1月~11月の第4木曜日(休日は開館) 年末年始 (12月28日~1月4日)
駐車場:無料駐車場あり(21台分)
入館料:一般 460円
公式HP:https://www.sendai-c.ed.jp/~bunkazai/~chiteinomori/

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この記事を書いた人

kana

宮城県在住のKanaと申します。 芸術やアートが好きで、パステルアート作家としても活動しています。 Mediallでは、観光スポットやグルメ情報はもちろん、まだ知られていない宮城県の魅力を全国の皆様に発信していきます。

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