天童市の南に位置する工業団地の一角にある「HJS camp lab.(えいちじぇいえすきゃんぷらぼ)」は、若者からファミリー、シニア層まで幅広いキャンプ好きに人気のアウトドアショップ。
店内には様々なキャンプ道具が並び、眺めているだけでもあっという間に時間が経ってしまいそうです。
何より、オーナー夫妻の人柄と楽しいおしゃべりについつい長居してしまうという、常連さんたちの声にもうなずけます。
今回は、山形県天童市にあるアウトドアショップ「HJS camp lab.」オーナーの長橋さんご夫妻にお話を伺ってきました。
お店をオープンしたきっかけ
板金業を営むご主人と会社員だった奥さまが、家族でキャンプに行くようになったのがこのお店を始めるきっかけになったそうです。
お子さんが3人いらっしゃる長橋さんは、子どもたちにはもっと自然の中で自由にのびのびと逞しく、そして色々な経験をさせたいという想いがあったのだとか。
そこで思いついたのが「キャンプ」。
お子さんたちは自分でテントを張ったり、食事の準備を手伝ったり、ご飯をたくさん食べるようになったりとキャンプを通して成長している部分も多いそうです。
また、周りには「キャンプをやりたいけどどうしたらよいか、何から始めたらよいかわからない」という人たちが多く、一緒にキャンプに行ってレクチャーすることも。
そして次第に単独で行けるようになるといった経験が積み重なり、自分たちがこれまで培ってきた知識やノウハウを、店をやることで発信できないかなという思いが強くなっていったといいます。
実は長橋さんご夫妻は、アウトドアブランド「snow peak(スノーピーク)」のサイトコンテストに出場し、見事日本一に輝くという経歴の持ち主。
キャンプに関してのアイデアやセンスはピカイチです。
「100人いれば100通りのそれぞれに合ったキャンプを提案できたらなと。そういう店がこの辺りにはなかったんですよ。自分たちも仙台まで行って買い物していましたね。近場にこういうお店があったらいいなという想いもありました。それだけでも大きな要素、やる意味は大きいって。もっとキャンプを知ってほしい、キャンプを広めたいですね」と奥さま。
テントを買ったら箱に入ったまま現地に持って行って、いざテントを張ろうとするも、張り方がわからない、説明書を見てもなんかわからない……あるあるですよね。
そして夫婦喧嘩が始まる、いつまでたってもキャンプが始まらない……うんうん、わかります。
筆者も家族でキャンプに行きますが、なかなかテントが張れなくて夫婦喧嘩……まさにわが家のことじゃないですか。
HJSさんは実は一度移転して、現在の場所に店を構えており、移転する前はお客さんと近くの河川敷まで一緒に行ってテントの試し張りもやっていたそうです。
今はお店の前のスペースで可能になりました。
「一回たててみれば、キャンプに行ったときに嫌な思いをしないでスムーズに行えるのでは」という長橋さんの粋な計らいはうれしいですよね。
「お父さんが1人でテントをたててみよう」とまずはお父さんに設営方法を教えるイベントもあったそうです。
「今はネット販売が当たり前になっているし、大手は強い。だからコミュニケーションを重視した『店舗での対面販売』にこだわっていきたいんです。売りっぱなしではなく、使い方のレクチャーやアフターフォローもOK、安心感も一緒に売りたいですね」
まさに至れり尽くせりな「HJS camp lab.」。
ファン層が広いのも納得です。
取扱商品へのこだわり
テントやタープはもちろん、ランタン、クッカー、バーナー等のキャンプ道具といった大型店やホームセンターにはないような品揃えです。
自分たちが試してみてよかったもの、食べてみて美味しかったものを多数ラインナップ。
調味料も取り扱っていて、スパイスやタレなどキャンプに持って行くのにピッタリです。
長橋さんは、コロナ禍をきっかけに地元、東北に目を向けるようになったそうで、地元企業とのコラボ商品も作っています。
山形には企業や工場が多く、海外などに頼らなくてもいいものがたくさんあることを知ったそうです。
そして、店内でひと際目を引くのが奥さまが手掛けるアフリカンファブリック。
洋服や小物など、なんと奥さまがすべて手作業で作っているんです。
お話を伺った日も、ミシンの音が響いていました。
長橋さんご夫妻にとってキャンプとは?
奥さまにとってキャンプとは「人間らしい生活」。
「自然を五感で感じ、時計を気にせず気ままに過ごす。お腹がすいたらご飯を食べて、眠くなったら寝る。大人も子どもも結局それが一番人間らしいんですよね。一週間頑張って勉強して仕事して、週末はキャンプで自然に身を委ね、そしてなるべくメディアから離れて過ごす」
キャンプは心と体を整え回復させて、そしてまた月曜からそれぞれの場所でがんばるという、デトックス効果もあると語ります。
ご主人にとっては「大人も子どもも成長できるのがキャンプ」。
「たとえば焚火などは、普段なかなか経験できないキャンプならではのものですよね。『焚火は危ないから近づいてはダメ、熱いからダメ、触ったらダメ』とダメ・ダメ・ダメでは、子どもは見ているだけになってしまいますよね」
筆者も実はダメダメ星人です……。
「焚火は確かに危ないですが、実際に体験させないと子どもも何が危ないのかわからないんですよね。せっかくキャンプに来たのなら色々なことをどんどんやらせたい」
親が子どものチャレンジを見守ることで、お互いが成長できるのかもしれませんね。
イベントでつながる輪
自治体をもっと盛り上げたいという想いから、HJSさんが主催するイベントも年に数回開催されているようです。
キャンプで利用する河川敷の清掃や、ゴミ問題、焚火などの煙問題など、マナーの呼びかけも合わせて行っています。
また、イベントに参加することで、他の家族とのふれあいが持て子ども同士が仲良くなり、また来ようねと、子どもの成長にもつながっているそうです。
筆者もイベントに参加したことがあるのですが、参加者は大変多く、ソロキャンプやファミリーキャンプなど形態も様々。
ワークショップや自然体験など、普段はなかなかできない遊びに大人も子どもも大満足です。
また、県内のバリエーションに富んだショップやキッチンカーも多数出店し、とても楽しく過ごせました。
「HJS camp lab.」の今後について教えてください
「お客様がキャンプに対して求めているものにマッチするイベントを開催したいですね。たとえば、キャンプ初心者向けのイベントとか。それからレジャーとしてだけでなく、キャンプを防災に活かしていく活動にも力を入れていきたいと考えています」
キャンプ道具はキャンプだけでなく、災害時にも活躍します。
それを地域に広める活動ができるのは、やはりアウトドアショップならではですよね。
奥さまが防災食のアレンジも教えてくれるそうです。
キャンプはコミュニケーションツールの1つになると話す長橋さんご夫妻。
毎日一緒に過ごす家族、あるいは学校や職場の仲間と、外でいつもと違う形で過ごすキャンプは何をしても新鮮ですよね。
家で食べるご飯とはまた違った美味しさがあって、子どもたちも普段よりたくさん食べてくれるんです。
凝ったキャンプ飯でなくても、カップ麺を外でお湯を沸かして皆で食べるだけでも何だか特別感が増します。
これからキャンプを始めてみたい人も目新しいキャンプ道具を探している人も、誰でも気軽に立ち寄れる、頼れるアウトドアショップ「HJS camp lab.」に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
店舗情報
HJS camp lab.
住所:〒994-0057 山形県天童市石鳥居1-4-34
TEL&FAX:023-676-4188
営業時間:月・火・水・金・土曜日 10時~18時
日曜日 12時~16時
定休日:木曜日