栃木県佐野市に、出流原弁天池(いずるはらべんてんいけ)という透明度の高い池があります。池の底ははっきりと見え、泳いでいる鯉はまるで宙を浮いているようです。
出流原弁天池は、環境省が認定する日本名水百選に選ばれた湧水で満たされています。水面には季節ごとに神秘的な景色が映し出され、関東版モネの池とも称されています。
池や湧水の詳細、また季節ごとに見せる景色もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
日本名水百選認定の湧水でできた出流原弁天池
出流原弁天池は、湧水でつくられた池で周囲は約138mあります。池の中にはたくさんの鯉が悠々と泳いでいる姿が見られ、多くの水鳥も訪れます。
透明度が高いので池の底がはっきりと見え、鯉の鱗まで1枚1枚見られるほどです。地元のボランティア団体などが定期的に清掃活動をしているので、驚くほどの透明度が保たれています。
出流原弁天池は、水質の良さから以下の指定を受けています。
栃木県指定天然記念物 1956年(昭和31年)
出流原弁天池は、神秘的な景色で地域の人たちの心を癒すかけがえのない場所です。また、季節を問わず県内外から多くの観光客が訪れ、美しい情景に心を打たれています。
出流原弁天池には「朝日長者の伝説」という民話が伝えられています。昔、子宝に恵まれなかった朝日長者夫婦が神様に願をかけると、美しい女の子を授かりました。鶴姫と名づけ、何不自由ない暮らしをしていましたが、鶴姫が18歳になった時に山で行方不明になってしまいます。
神様は娘をなくした長者夫婦に、姫は弁天池の鯉となっており、竜神として昇天するには莫大な財宝がいると霊示したため、長者夫婦は後山に財宝を埋め、在り処を示す歌を残したというお話です。今なお、その財宝は眠っています。
また、日本昔ばなしにもなった不思議な伝説も残っています。干ばつが起きた際に村人が祈祷したところ、空から不思議な老人が現れました。そして、老人が地上に降り立った場所から水がこんこんと湧き出したという話です。
人々の生活も支える出流原弁天池湧水
出流原弁天池の湧水は出流原弁天池湧水と呼ばれ、環境省から1985年(昭和60年)に日本名水百選に認定されています。
こちらの写真は、日本名水百選に認定された際に建てられた石碑です。
出流原弁天池湧水は、地下の石灰岩の地層をくぐり抜けて湧出した水になります。天然のフィルターで浄化されたとても綺麗な水です。
湧水の量は、年間を通じて2,400立方メートル/日あります。水温は年間を通じて16℃を保っています。石灰岩の地層を通過しているため、炭酸水素カルシウムが含まれており硬度は76.5mg〜92.5mg/lです。
出流原弁天池湧水の味はまろやかでとても美味しく、出流原弁天池湧水でお茶やコーヒーを淹れても一味違った味わいです。
また、出流原弁天池湧水は出流原弁天池のほかにマスの養殖や田畑の農業用水に利用され、地域の人々の生活も支えています。 昭和以前までは、機織りにも使用されていました。
出流原弁天池の近くに一乃館というホテルがありますが、一乃館の玄関横に出流原弁天池湧水が流れ出ている場所があり、そこで湧水を汲めます。
こちらの写真は、出流原弁天池湧水を汲める場所です。
水筒などに入れて、持ち帰る方も多いです。
出流原弁天池の素晴らしい景色
出流原弁天池は四季折々で素晴らしい景色が見られます。春は桜、夏は青々とした木々、秋は紅葉と心が引き込まれるような絶景です。冬は幻想的な朝靄に包まれ神秘的な雰囲気になります。年間を通して水温が16℃で一定のため、雪景色はあまり見られません。
本記事では、特に素敵な夏と秋の景色をご紹介します。
こちらは夏の写真です。
鏡のような水面に青々とした木々が映り込み、緑色の美しい世界が広がります。
こちらは違う場所から撮った写真です。
池底の藻と水面に映った木々のそれぞれの緑色が合わさり、美しい緑色のグラデーションを見せてくれます。岩に生す苔も神秘的です。
こちらは出流原弁天池から少し離れた位置で撮った写真です。
木々の隙間から見える池と空との兼ね合いが美しく、まるで絵画のように見えます。
そして、こちらは秋の出流原弁天池の景色です。
出流原弁天池の周囲の木々が紅葉し、池に落ちた赤や黄色の葉が、優雅に泳ぐ鯉と合わさって美しい姿を見せてくれます。関東版モネの池と称されるのも納得の景観です。
こちらは別の場所から撮った写真になります。
真っ赤なもみじが水面に映り、息をのむような美しさです。時折風に吹かれて水面が揺れると違った雰囲気になり、まさに絶景です。秋の景色にも魅せられて、毎年多くの観光客が訪れます。
昔ながらの雰囲気でなごむ売店
出流原弁天池のすぐ横に福寿荘売店という売店があります。
こちらの写真は福寿荘売店の外観です。
まちの駅にもなっています。
こちらは店内の写真です。
店内は昭和の駄菓子屋さんのような雰囲気で、子供の頃に戻ったような懐かしい気持ちになります。さらに、店員さんもとても親切でいつ来ても癒されます。
店内では食べ物の調理・販売もしており、取材当日は栃木県佐野市のご当地B級グルメであるいもフライを食べました。
こちらはいもフライの写真です。
いもフライは、蒸したジャガイモを乱切りにして串に刺し、衣をつけて油で揚げた食べ物です。味はコロッケに似ていますが、ジャガイモをつぶしていないので、ホクホクとした食感になります。小腹が空いた時などに、ピッタリの食べ物です。
出流原弁天池のまとめ
今回は、栃木県佐野市にある出流原弁天池をご紹介しました。
清く澄んだ出流原弁天池湧水でつくられた出流原弁天池は、心が洗われるようで何度訪れても癒されます。
また、四季折々の美しい景色が見られるので、年間を通じて地元の人たちだけでなく県内外から多くの観光客で賑わいます。
ぜひ1度訪れて、澄んだ水や美しい景色に触れてみてはいかがでしょうか。
出流原弁天池の情報
住所:〒327-0102 栃木県佐野市出流原町1117
電話番号:0283-25-0228 磯山弁財天観光協会(ホテル一乃館)
0283-25-0410 まちの駅名水「弁天池」の駅(福寿荘売店)
ホームページ:出流原弁天池-佐野市観光協会
磯山弁財天観光協会
X(旧Twitter):まちの駅名水「弁天池」の駅
【アクセス】
車①:東北自動車道 佐野藤岡ICから約30分
車②:北関東道 出流原スマートICから約3分
車③:北関東道 佐野田沼ICから5km、約15分
車④:北関東道 足利ICから5km、約15分
電車①:JR佐野駅からタクシーで約19分
電車②:東武佐野線田沼駅からタクシーで約9分
バス:東武佐野線佐野駅から市営バスで約35分「赤見温泉」下車
【最寄り駐車場】
まちの駅原っぱ駐車場:30台
近隣ご厚意駐車場:8台
磯山公園駐車場:5台
磯山弁財天駐車場:8台