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スポット  |    2023.10.27

自分たちの「楽しい」が響くと人は集まる!【後編】|むろと廃校水族館

高知県室戸市は市内全域が室戸ユネスコ世界ジオパークに認定され、ホエールウォッチングでも知られています。
2021年からは、阿佐海岸鉄道の運行するDMVが土・休日の1往復で乗り入れる事となり、徳島県側から太平洋を臨みながらのお出かけも可能になりました。

前編では、むろと廃校水族館の施設についてご紹介しました。後編では、館長である若月 元樹さんにお話を伺います。

むろと廃校水族館の館長はパワフルなアイデアマン!

AED収納ボックスやOHP、跳び箱を水槽にした展示方法は若月さんのアイデアだそうです。
「ガラス面があれば入れられるだろうと思うんですよ。捨てるのも普通の展示をするのももったいないしなと。手洗い場のタッチプールも、子供の目線に合わせた物を新たに作るとお金がかかるので、ある物で何とかしています」と話してくれました。

旧小学校を修繕し水族館としての設備を整えたむろと廃校水族館に、新たな役割も生まれました。
「ウェディングフォトの人気が高いですね。同級生や同じ部活の部員同士だったカップルが、学校での写真を撮りたいと撮影にきます」

思い出の場所に近いところでのウェディングフォト、じんわりと心が温かくなるような1枚になりそうです。

アイデアの源は、自分たちが楽しいかどうか

「元は学校なので、水族館にも学校にも寄せた体験プログラムが出来るんですよ。
大阪などからプール掃除に来たり、お泊り会や肝試しは学校なので雰囲気が出て大変盛り上がります。サメの歯で名刺を作ってお互いに交換したり、ドルフィンフィッシュ(シイラ)サンドや魚カツサンドを食べたり。

ここで大事なのは、『自分達が楽しいかどうか』なんです、ダメなのは『これはウケるだろう』と企画する事。やる側が楽しめるものだと、上手くいかなかったとしても楽しいですから。『楽しい・面白い』事をやってると、人は集まるんですよ」と話す若月さんの目は、まるでいたずらっ子のようでした。

「ここの小学校は2000年に閉校になり、20年近くそのままになっていたのでまず修繕からでした。図書室も蔵書がシロアリにやられてしまってスッカスカだったんですよ。近隣の廃校の本や寄贈でここまで増えました。
最近、町から本屋が消えている事もあり、学校といえば図書室だろうと自由に閲覧できるようにしています。博物館の登録を目指しているので、その一環でもあります」

見てビックリなラッピング自販機

椎名小学校の石碑ラッピング自販機。

玄関前にある小学校の石碑は、裏側に回らないとラッピング自販機だと気付かない仕掛けでびっくりしました!
「実は地元に『廃校』という名前で良い顔をされなかったので、石碑で名前を残そうと設置しました。ラッピング自販機なので収益も得られます。除幕式もあり、新聞各社が取材に来たんですよ」

ここにも「面白い事をしていると人は集まる」の精神が窺えますね。

スタッフが提案した新たなアイデアとは!?

子供の「館長さん以外の人のアイデアはありますか?」の質問には、
「3階の手洗い場をイモリの水槽にとスタッフが考えています。イモリの生態を生かして『何故逃げないんだろう』という展示を考えてるそうです。理論上は出来るけど、やってみないと分からない」と答えてくれました。

イモリの展示、とても面白そうですね!

「イモリもここの敷地内にいたイモリです。この水族館で飼育している生き物は、全て地元民なんですよ」

海洋プラスチックごみの問題提起にもなるごみの展示

ごみの展示はかなり異色ではありますが、大変意義のある展示です。

「たまに『クラゲはいないんですか』と聞かれるんですが、クラゲは他の水族館でも見られるし、クラゲを展示するならごみを展示しようと思いました。むろと廃校水族館は【NPO法人 日本ウミガメ協議会】が運営しています。
ウミガメが海のプラスチックごみを食べてしまうというニュースを目にした事がある人もいるでしょう。
実際に展示してみて、海の中で魚たちからプラスチックごみがどう見えているのか、水槽だから波も紫外線もないのにマイクロプラスチック化するのがとても早い事などが分かったんです」と若月さんは話してくれました。

ボラはむろと廃校水族館にふさわしい!?

子供が「ボラの餌やりが面白かったです!」と言うと、

「普通の水族館だと『これは受けない』と思われるボラの群れの展示ですが『スクールオブフィッシュ』は『魚の群れ』という意味で、スクールという言葉はこの学校にふさわしいのではと思っています。
ボラは出世魚なので、台湾や香港の人はとても喜んでくれますね」と話してくれました。

最後に

館長の若月 元樹さん。

若月さんは「ジオパークセンターも廃校になった中学校の校舎を利用していますし、むろと廃校水族館だけを目的としてではなく、室戸市のあちこちに寄りながら来てもらいたいです。ここが生き残る為には近隣のお店の協力も必要ですから」と締めてくれました。

若月さんのお話、いかがでしたか?
室戸市は弘法大師や維新志士である中岡慎太郎ゆかりの地でもあり、室戸岬をはじめ絶景が見られる場所や日本三大奇祭の1つが行われる御田八幡宮など、紹介しきれない見所がたくさんあります。
せひ、あちこち回る計画を立ててお越しください!

むろと廃校水族館の公式X(旧Twitter)は【こちら

むろと廃校水族館

〒781-7101 高知県室戸市室戸岬町533-2
Tel:0887-22-0815

登校・下校時間:4月~9月 9:00~18:00/10月~3月 9:00~17:00/※年中無休

料金:大人(高校生以上)600円/子供(小・中学生)300円/未就学児は無料

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この記事を書いた人

犬山 涼

名前:犬山 涼 (犬が書いてます) 四国のへそ在住ライター。探究心のままに幅広いジャンルで執筆、四国の「知る人ぞ知る」ならお任せあれ! まだまだ知られていない「人・事・物」をお届けします。 珈琲豆の自家焙煎・販売も行っています。ご購入は各種SNSまで。     ↓「記事一覧」を押していただくと、各種SNSのリンクあります♪ ↓

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