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スポット  |    2025.06.20

日本でここだけの生き物も!碧南海浜水族館で注目したい展示を解説【後編】|愛知県碧南市

愛知県碧南市にある「碧南海浜水族館」。前編の記事では碧南海浜水族館が大切にしているコンセプトについて、取材した内容をもとに紹介しました。

後編では碧南海浜水族館で注目したい展示や生き物について、より深掘りした内容を学芸員の川下さんにお伺いしました。個人的に注目したポイントとともに解説します。

前編はこちら

地元愛あふれる展示が魅力!碧南海浜水族館が伝える地域と自然のつながりとは【前編】|愛知県碧南市

温かいサンゴ礁から冷たい深海まで充実した水槽展示

碧南海浜水族館の入館料金は、大人でもたったの500円(2025年5月時点)。こじんまりとした水族館かと思いきや、サンゴ礁から冷たい海、さらには淡水域の両生類・爬虫類まで想像以上に展示が充実しています。

僕自身も碧南海浜水族館に初訪問した際は、想定していたよりも広い館内と生き物の多さに驚きました。予定していた滞在時間を大幅にオーバーしてしまう嬉しい悲鳴をあげたほどです。

観賞魚としても人気のあるカクレクマノミやチンアナゴが泳ぐ水槽もありました。カラフルな水槽の雰囲気は、時間を忘れて眺めていられるほど魅力的です。

また、北の海に生息するダンゴウオの仲間「コンペイトウ」も展示されていました。水温10℃以下の過酷な環境に生息しており、展示されていた水槽も結露が出るほど冷たかったです。

淡水の展示エリアには、世界最大の両生類「オオサンショウウオ(交雑種)」もいました。普段はじっとしていて動きの少ない生き物ですが、呼吸するときに動く姿を見ると体の大きさに迫力を感じます。

身近な河川に生息域を広げる「外来生物」の展示も見逃せません。育てきれなくなった観賞魚を放流してしまう行為の危険性や命と向き合う責任など、生き物を通じて学べる解説展示が充実していました。

水槽前には「飼育員の小ネタ」が書かれた解説パネルも。ちょっとした知識を頭に入れてから生き物を観察すると、新たな魅力を感じたり、意外な気付きを得られたりして、学びを深められそうです。

日本ではここだけ!不思議な生き物「ホライモリ」

碧南海浜水族館で注目すべき生き物といえば、ヨーロッパの一部の洞窟にのみ生息する「ホライモリ」。日本で展示しているのは「碧南海浜水族館だけ」であり、とても貴重な生き物です。

碧南海浜水族館のホライモリは、2005年の「愛・地球博」で碧南市のフレンドシップ国となったクロアチアから寄贈されました。寄贈から20年以上が経ったいまでも、元気な姿を見せています。

(川下さん)
「ホライモリは暗い洞窟に生息しているので、目がほとんど見えず、嗅覚が発達しています。また、カエルのように一般的な両生類は、成長過程でエラ呼吸から肺呼吸に変化するのですが、ホライモリはエラが残ったまま成熟します。ほかの両生類とは少し変わった進化を遂げているのも面白い特徴です」

また、めずらしい生き物であるがゆえに、ホライモリの飼育方法には工夫が施されているそうです。

(川下さん)
「日本の水は軟水なので、ヨーロッパの洞窟環境に近いものではありませんでした。そこで、硬水のミネラルウォーターを使用することで、ホライモリに適した飼育環境を再現しています」

碧南海浜水族館では、2025年6月29日まで企画展「ホライモリのかいかた」を実施しています。ホライモリの生態を言葉で解説するだけでなく、食べているエサや飼育水の冷たさを体感できるような展示も楽しめますよ。

四季の自然を感じられるビオトープ

屋外に設けられたビオトープも碧南海浜水族館ならではの魅力です。

「なるべく人の手を入れない自然のなかで、四季の移ろいを感じていただきたい」といった水族館の思いがビオトープに込められており、屋外展示だからこそ体感できる自然や生き物を楽しめます。

(川下さん)
「春にはミヤコグサをはじめとする花々、夏から秋にかけてはさまざまな種類のトンボなど、訪れるたびに移り変わる生き物や風景が見られます。ときには、野生のカルガモが飛来することもありますよ」

ビオトープには、飼育下にない自然の生き物たちが居ついています。また、ビオトープでの自然繁殖を期待し、希少淡水魚の一部も池で暮らしているそうです。

(川下さん)
「希少淡水魚の繁殖活動の一環として、ヤリタナゴなど様々な絶滅危惧種の繁殖に取り組んでいます。それとは別に、自然に繁殖できたらいいなという期待を込めて、ウシモツゴやカワバタモロコといった一部の魚をビオトープの池に放流しています」

取材時に訪問した5月は、花が咲く時期には少し早いですが綺麗なアジサイが見られました。ビオトープの入り口でエサを購入すれば、ニホンイシガメのエサやりも楽しめますよ。(イシガメのエサやりは季節・個数限定)

水族館を満喫したらグッズショップへ

水族館やビオトープを満喫したら、グッズショップでお土産をチェックしましょう。ぬいぐるみや雑貨など、水族館の定番グッズも揃っています。

ホライモリやネコギギなど、碧南海浜水族館ならではの生き物がパッケージ化されたオリジナルグッズも豊富です。

(画像提供:碧南海浜水族館

また、碧南海浜水族館では、水族館オリジナルの「魚朱印」も購入できます。ほかでは手に入らないグッズなので、遠方から訪問した記念として購入してみるのもおすすめです。

楽しみながら「命の大切さ」を学べる水族館

(川下さん)
「設立から40年以上が経ち、世の中の価値観は変わってきました。しかし、命の大切さという価値観は、普遍的なものだと感じています。だからこそ、生き物たちが元気に動いている姿を見て、楽しんでもらうことで『命の大切さ』を感じ取ってほしいです。

そのためにも、繁殖活動や新しい展示・イベントに積極的に取り組み、お客様に新鮮な気持ちで楽しんでいただける水族館でありたいと思っています」

水族館は博物館でもあり、種の保存や環境教育などに取り組む役割があります。碧南海浜水族館の取材を通じて、生き物や環境の保全活動に取り組むメッセージを強く感じました。

地元の自然への深い愛情だけでなく、訪れる人に「楽しさや学びを届けたい」という熱い思いが伝わる碧南海浜水族館。今回の記事で紹介した生き物は、碧南海浜水族館の「ほんの一部」です。

2025年の夏には「源流」をテーマにした企画展示も予定されており、森から海へとつながる水の流れと、そこに生息する生き物を展示するとのこと(2025年7月19日から実施予定)。

碧南海浜水族館に行けば、大人も子どもも生き物の魅力と自然の大切さを体感できます。休日の予定に悩んだときは、ぜひ子どもを連れて碧南海浜水族館に行ってみませんか?

施設情報

碧南海浜水族館
住所:愛知県碧南市浜町2番地3
電話番号:0566-48-3761
営業時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月29日~1月1日

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この記事を書いた人

taku

愛知県出身。執筆業務をとおして「人や社会の役に立つ」をモットーに、フリーランスのライターとして活動しています。水の中の世界が好きで、生き物や水族館の魅力を発信するブログも運営中です。地元の魅力を届ける橋渡し役として貢献したいと思い、Mediallで情報発信しています。

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