渥美半島には古くから人が住み、縄文時代には数多くの貝塚がつくられました。
今回はその一つであり縄文時代末期を代表する貝塚遺跡として知られる、愛知県田原市の「吉胡貝塚」をご紹介します。
「花のまち」田原市へ
最寄り駅は豊橋鉄道渥美線の終点「三河田原駅」。駅前の広場に出ると「花のまち」のオブジェが迎えてくれます。
渥美半島の中ほどに位置する田原市は海に囲まれた温暖な地域で、農産物と花の栽培が盛んです。駅周辺は色とりどりの花々で彩られ、道行く人々の目を楽しませています。

「三河田原駅」から2㎞程の緩やかな丘の上に「シェルマよしご(吉胡貝塚資料館・吉胡貝塚史跡公園)」があります。

先ず最初に「吉胡貝塚資料館」を見学するのがおすすめです。入場料はかかりますが、それ以上の価値がある充実した展示内容で、貝塚について楽しく、深く学ぶことができます。
「吉胡貝塚資料館」で貝塚を知ろう
館内はとても明るい雰囲気で、貝塚の成り立ちや出土品などが誰にでも分かりやすく展示されています。縄文人が漁をしている様子が再現されるなど、リアリティを感じる展示が多いのも嬉しいポイントです。

発掘調査を再現したコーナーでは、まるで本物の人が発掘をおこなっているかのようです。発掘に携わった人々の熱意や苦労が伝わってくるようです。

貝塚からは貝の殻や魚・獣の骨などの他、様々なモノが発掘されました。
これは煮炊きに使ったと思われる縄文土器です。表面には繊細な文様が施されており、縄文人のモノへのこだわりが感じられるようです。

土偶や石棒などは、祭祀や葬送に関する道具と考えられるものです。それぞれに何らかの意味が込められていると言われています。

この貝塚の最大の特徴は、人骨が350体以上も発掘されたことです。縄文時代後期末・晩期の最大級の墓地であったと考えられ、当時の埋葬や縄文人骨の研究に重要な役割を果たしています。
人骨と共に発掘されたのが、貝や動物の骨などで作られた副葬品です。
写真左上の「3号人骨」と呼ばれる人は、このような多くのものを身に付けて埋葬されていました。

貝塚から発掘された人骨の調査・研究から、縄文人の体の特徴や食べていたもの、病気など様々なことが分かってきています。
それによると現代人と比べて、縄文人は背が低く、骨は太くがっしりとした体つき、目鼻立ちのハッキリした顔をしていたそうです。
顔の特徴から「縄文人度」が測定できるタッチパネルが設置されています。是非チャレンジしてみてください!

縄文人のマネキンは当時の生活の様々な場面を表しています。
手前は亡くなった人を埋葬する場面で、「吉胡貝塚」では多くの人は体を折り曲げた状態で埋葬されていました。

体験学習室では、子どもも楽しめる「貝のアクセサリー」や「勾玉」を作るプログラムなどが充実しています。
「吉胡貝塚」を歩こう
貝塚は「吉胡貝塚史跡公園」として整備されており、誰でも無料で利用することができます。
遠くの街並みまで望める広場の貝殻を模した碑が、縄文時代を思い起こさせてくれるようです。

「吉胡貝塚」は1950年に新たに文化財保護法が制定された後、国が発掘する第1号の遺跡に選ばれたことでも知られています。

ここから発掘された人骨は、両腕に多数の貝輪をつけた熟年女性でした。

「貝塚断面展示施設」は、貝塚の堆積がわかるように貝層を保存処理した施設です。

貝塚からは多くの人骨だけでなく、埋葬された17頭のイヌの骨が発掘されました。それらの埋葬状況が模型で再現されています。

最後に
貝塚から見つかる人骨は、縄文人がどのように大切な人を送り出したのかを今に伝える貴重なメッセージです。
遥か昔の縄文時代がぐっと身近に感じられる「吉胡貝塚」を訪れてみませんか。

基本情報 シェルマよしご「吉胡貝塚資料館」「吉胡貝塚史跡公園」
住所 〒441-3402 田原市吉胡町矢崎42-4
電話 0531-22-8060
観覧料金 「吉胡貝塚資料館」一般200円、小中学生100円
「吉胡貝塚史跡公園」無料
開館時間 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合はその翌平日) 年末年始(12月28日~1月4日)
駐車場 あり
アクセス 豊橋鉄道渥美線「三河田原駅」より
田原市ぐるりんバス童浦線「シェルマよしご」下車徒歩1分




