みなとみらいからすぐの、神奈川県横浜市中区にある神奈川県立歴史博物館。
神奈川県立歴史博物館は、古代から現代まで神奈川県の歴史や文化を深く知れる博物館です。
今回は、神奈川県立歴史博物館について常設展、喫茶、ミュージアムショップまで紹介します!
神奈川県立歴史博物館とは?
神奈川県立歴史博物館は、1995年3月に開館した神奈川県の文化と歴史を総合的に扱う、唯一の博物館です。
元々は神奈川県立博物館として自然科学系・人文科学系の総合博物館として1967年3月に開館。
その後、人文系部門と自然科学系部門に分かれ、自然科学系部門は小田原にある「神奈川県立生命の星・地球博物館」が引き継ぎ、神奈川県立歴史博物館は人文科学系をメインに紹介するようになりました。
神奈川県立歴史博物館はみなとみらい線馬車道駅3番、5番出口からそれぞれ徒歩1分で到着。
ほかにも、市営地下鉄関内駅から徒歩8分、JR桜木町駅からも徒歩9分で行けるので、街歩きをしながら向かうのもおすすめです!
歴史は古く、レトロな建物は元々1904年、横浜正金銀行の本店として建設されました。
横浜正金銀行は横浜港が開港したことから、貿易の決済業務などを目的として設立された銀行です。
旧横浜正金銀行本店本館は、1923年9月1日に起きた関東大震災で建物の倒壊を免れました。
ドームは骨組み以外は焼失して、改修時に骨組みも撤去されました。
また、建物のベースは煉瓦作りのためとても頑丈で、周辺の建物が火災で跡形もなく焼けてしまう中、焼失せずに済みました。
実は正面玄関はこちらで、神奈川県立博物館の開館のために増築された新館です。
右下の大砲は、外国人居留地だった場所の地中から見つかった、帝政ロシア製の大砲の実物。
入口から神奈川の歴史を感じることができます。
ネオ・バロック様式の建築
1904年、横浜正金銀行の本店として建設された神奈川県立歴史博物館。
現在はネオ・バロック様式の旧館部分、神奈川県立博物館の開館で増築された新館部分の両方からなっています。
旧館部分の外観は、建築当初の姿をよくとどめており、1969年には国の重要文化財の指定を受けました。
入口正面には横浜正金銀行の紋章も施されています。
角型の柱は複数の階を貫いています。このように複数の階を貫く柱を「大オーダー」といい、柱頭にある、古代ギリシア建築の建築様式で、葉とツルの形を用いたコリント式装飾も見どころです!
こちらのドームは神奈川県立博物館開館にあわせて、元の形にできるだけ近く復元したもの。
元々の横浜正金銀行時代のドームは関東大震災で焼失してしまったそう。
ドームには丸窓があり、魚にも似ているイルカをモチーフにした想像上の生き物ドルフィンの装飾などが施されています。
その下には三角ペディメントがあります。
ペディメントとは、元々古代ギリシアの神殿建築に用いられていたもの。
中世になると、使用されなくなりますが、ルネサンス期に再び注目を浴びました。
常設展
神奈川県立歴史博物館は、1階の企画展とは別に常設展を設けています。
3階は「原始・古代」「中世」をテーマに、2階は「近世」「近代」「現代・民俗」をテーマに神奈川の歴史を深く知れる展示となっています。
ボランティアの方による展示案内や、スマホを利用した展示ガイド「ポケット学芸員」などもあり、より展示を詳しく堪能できます。
「神奈川県の原始・古代時代」
三浦市の向ヶ崎古墳で実際に見つかった、古墳時代後期の埴輪。状態もよく綺麗に現存しています。
「鎌倉が栄えた中世」
鎌倉時代以前の日本の中心は京都でしたが、1185年から源頼朝が鎌倉に幕府を開き、日本の中心は神奈川県鎌倉に移ります。
こちらは、そんな栄えある鎌倉時代のことを知れる展示室となっています。
神奈川県はさまざまな神社仏閣があったことから、多数の仏像も展示されています。
そのほかにも円覚寺舎利殿の原寸大の模型もありました。
円覚寺舎利殿原寸大模型は実際に中に入ることができ、釘を使わない木組みの技術も見ることができます。
「宿場町で賑わう近世」
神奈川県立歴史博物館では、横浜で貿易商を営んでいた丹波恒夫氏が70年程をかけて収集した浮世絵コレクション「丹波コレクション」を所蔵、展示しています。
神奈川県には東海道の宿場が多く、浮世絵に多数描かれてきました。
浮世絵は展示替えを頻繁に行っており、このときは「浮世絵とうつわ展」が開催されていました。
ほかにも季節の浮世絵など多数展示されていて、こちらも展示替えを行っているので、浮世絵好きにもおすすめです!
「諸外国との交流・近代」
近代になると、1859年に横浜港が開港し、西洋の文化が現在の神奈川県域に入ってきて、外国人も訪れるようになります。
1880年代には横浜に居留地が作られ、多数の外国人が暮らしていました。
ほかにも、やきもの眞葛焼(まくずやき)の展示もあります。
京都出身の陶芸家、宮川香山氏が横浜に工房を構え、制作を始めた眞葛焼。
繊細で優美な眞葛焼は、横浜開港とともに訪れた外国人から人気となり、欧米諸国へ輸出されていきました。
「現代と伝統文化」
1923年9月1日、神奈川県を震源に関東大震災が発生。
その際、神奈川県は甚大な被害を受けました。その時の記録も過去とせず、展示として後世に伝えています。
シンガーミシンは1851年、アメリカで創業されます。
その後、1900年、日本国内での発売が開始され、神戸と横浜に中央店を開店しました。
奥の展示室には神奈川県の伝統工芸を伝えるコーナーがあります。
小田原・箱根地域伝統工芸の漆器、寄木・組木細工が美しい箱根細工の展示や、現在はわずかな工房しか残ってない、伊勢原市に伝わる郷土玩具の独楽など、現在も残る貴重な神奈川県の伝統工芸について知ることが出来ます。
喫茶ともしび
博物館の1階回廊内にある喫茶ともしびは、社会福祉法人県央福祉会が運営する喫茶室です。
店内では、美味しいコーヒーの他にも食事やデザートをいただくことができます。
この部分は、正金銀行の旧館部分(ネオ・バロック様式)で、鉄格子の掛かった高い窓が、魅力的な雰囲気を醸し出しています!
今回は、馬車道あいすをいただきました!濃厚なミルク味でとても美味しい!
1869年、馬車道通りで日本で初めてアイスクリームが製造販売されたと言われています。
馬車道あいすは、当時の懐かしい風味を再現した味になっています。
ミュージアムショップ/ミュージアムライブラリー
こちらは博物館1階にあるミュージアムショップ。
これまで神奈川県立歴史博物館で開催した特別展の図録や開催中の図録はもちろん、展示に関する書籍から様々なグッズまで販売しています。
横浜を代表する赤い靴グッズやお菓子、ペリーに関する雑貨などは横浜土産にもピッタリ!
ほかにも、神奈川県の伝統工芸である箱根寄木細工や、鎌倉彫のアイテムも購入できます!
ミュージアムライブラリーでは、神奈川県の文化と歴史を中心に、美術や文化財保存などに関する蔵書を閲覧することができます。
博物館を堪能し、神奈川県の歴史など気になった方は、ミュージアムライブラリーに寄るのもおすすめです!
神奈川県の文化と歴史を知ろう!
神奈川県立歴史博物館では不定期で建物見学会や、講演会、ワークショップなどを開催しています。
神奈川県の歴史と文化を中心に様々な催し物や、アートや建築も楽しめる神奈川県立歴史博物館。
ぜひ、神奈川県立歴史博物館を訪れてみてはいかがでしょうか?
※今回は取材のため、特別な許可を得て撮影しています。一部撮影不可の部分もあるのでご来館の際は、撮影表記をご確認いただき、撮影マナーに十分ご注意ください。
神奈川県立歴史博物館
住所:神奈川県横浜市中区南仲通5-60
電話番号:045-201-0926
開館時間:9:30〜17:00 (入館は16:30まで)
休館日:月曜日(「国民の祝日・休日」の場合は開館)、年末年始(12/28~1/4)、資料整理休館日、臨時休館日
観覧料:企画展は展覧会ごと。1階コレクション展示室で開催されるコレクション展は無料。
常設展は20歳以上¥300円(¥250円)、学生・20歳未満¥200円(¥150)、高校生・65歳以上¥100(¥100)、中学生以下・障害者手帳をお持ちの方は無料。※( )内は20人以上の団体料金
※2025年1月から2026年9月(予定)まで工事休館