神奈川県逗子市の高台に立つ『湘南逗子シェアハウス♯910(ここのつ島)』(以下、ここのつ島)は、入居希望者が後を絶たないシェアハウス。空室情報が出るとすぐに内見希望者が現れる場所です。 何が人々を惹きつけるのか、その魅力をオーナー夫妻に話を伺いながら探っていきます。
高台から見下ろす開放感に癒される
玄関入ってすぐの階段を上がっていくと、リビングの大きな窓から見える空が、真っ先に目に飛び込んできます。そして眼下に広がる逗子の街並みと、緑豊かな山の姿に思わず「素敵!」と声を出さずにはいられません。
東京から1時間半ほどの場所に、こんなにも自然を感じられる場所があるなんて!と驚かされます。 リビングに面したウッドデッキで風を感じながらのんびりしていると鳥の声が聞こえ、ここにいるだけで非日常を味わうことができる場所。それが“ここのつ島”です。
ここのつ島での生活パターンは2種類
ここのつ島では、住人を『島民』と呼び、“定住島民”と“リトリート島民”が生活を共にしています。
“定住島民”は、このシェアハウスに住んでいる住人。そして“リトリート島民”は、他に生活の場を持ちながら、月に12泊まで宿泊が可能という契約で、多拠点生活している住人を指します。その家賃は定住島民の約半額となっていて、多拠点生活しやすい家賃設定。 なぜこの“リトリートプラン”が生まれたのでしょうか。
ここのつ島が生まれたきっかけと、リトリートプランが生まれた訳
こんな素敵な空間を作ったオーナーである、河本ここのさん、晃さんご夫妻に“ここのつ島”誕生について伺いました。
「最初はシェアハウスにするとは考えていなくて、自分のセカンドハウスとなる場所を探していました」と、妻のここのさん。
「逗子・葉山にいつか住みたいと思っていて、不動産やお金について勉強しながら土地を探していたところ、この場所に出会いました。その時土地探しを手伝ってくれた方が、家族以外と住み、家賃収入を得る『住みびらき』を提案してくださって、シェアハウスにする案が浮上したんです」
それに対し、妻が土地探しをしていることすら知らなかった夫の晃さんは「“住みびらき”とういこと以前に、本当にここに家を建てるのか?それは本当にやりたいことなのか?と、妻に確認していました。そこで彼女の本気を知り、ローンを組む覚悟を決めたんです。それまでは、妻が私のやりたいことを応援し支えてくれていたので、今度は自分が彼女を応援したいと思えたから」
「ちなみに“住みびらき”は、結果としてシェアハウスになったという感じでしょうか」とお二人。
こうして、東京に家を持ちながら、逗子にセカンドハウスを建てる覚悟を決めたお二人ですが、“住みびらき”として、他人と住むことには抵抗は無かったのでしょうか。
「私はこの土地をどうするか考えると同時に、江ノ島や腰越にあるシェアハウスに入居して共同生活を体験して少しは慣れましたが、夫はシェアハウスが稼働して8年ほど経ったつい最近まで、まあまあ人見知りでしたよ」と、ここのさん。
それに対し晃さんは「今では一緒に運営に関わるようになりましたが、それまでここのつ島は“妻がやりたいこと”という捉え方だったので、一歩下がっていた時がありましたね」と言います。
今では夫婦揃って様々な企画を行うなど、おしどり夫婦のイメージの二人ですが、ここのさんがセカンドハウスを持ちたいと考えるきっかけとなったのは、育児・家事などがワンオペ状態だったこと。
「母でも妻でもない本当の自分に戻りたい」
そんな「自分に戻れる場所」を作りたかったと言います。
また、リトリートプランについては「家のことをしながら、江ノ島などのシェアハウスに入居していた時、ほとんどシェアハウスに行くことのできない月もあって、丸々家賃が無駄になってしまったように感じることがありました」
「そこに“リトリートできる(日常から離れ自分を見つめる)”場所があると思えば、全くの無駄とは思いませんでしたが、自分と同じ『本当の自分に戻りたい』を求めている人に利用してもらいやすくしたかったので、“リトリート”という契約プランを設けました」
こうして、“定住”と“リトリート”二通りの住み方が誕生したのです。※現在リトリートプランは女性のみとなっています。
“話す・聴く”を大切に暮らす!月1回の自治会
同じ空間に住んでいても、生活リズムは人それぞれ。そのためリビングやキッチンで会っても、挨拶だけで終わってしまう事もしばしば。
ましてやリトリート島民は月に数日しか滞在しないため、お互い日頃どんな行動をしているのか分からないものです。
そこでここのつ島では月に1回『自治会』と称し、島民同士が同じ時間を過ごすことを大切にしています。
自治会は、夕方から普段行き届かない所の掃除をした後、暮らしの中での改善点を話し合い、各自が用意した料理を一緒に食べ、最後に「自分の今話したいことを、取り留めもなく話す」シェア会という流れで進みます。
ここのつ島を紹介したホームページでは、
「食後には『シェア会』を行います。それぞれの近況や感じていることを、お互いにじっくり聴き合います。話を遮られることなく最後まで聴いてもらえることで、安心感と信頼感は育まれます。各々の状況を共有するだけでなく、お互いの関係性を丁寧に育てていく、とても大切な時間です」(東逗子シェアハウス#910(ここのつ島)ホームページより抜粋)
と記されるほど、大切な時間となっていることが伺えます。
拡大し続ける“家族”の里帰り
ここのつ島では、現島民・元島民を『拡大家族』と呼んでいます。
この拡大家族は、そのメンバーが結婚したパートナーや子ども達も同じ。拡大し続ける絆です。
毎年9月には『ここのつ島の日』が開催され、拡大家族が里帰り。
住んでいる時期が違い、同じ時間を共有していなくとも、同じ空間に過ごした者同士、あっという間に打ち解け、リアルな交流につながっています。
「ただいま」「おかえり」「いってきます」「いってらっしゃい」が、初めて会った家族にも当たり前のように交わされるシェアハウス『ここのつ島』。
実は筆者も元リトリート島民で、拡大家族の一人です。
月に開催する自治会や年1回の『ここのつ島の日』には、“本当の自分に会うため”に里帰りしています。
海からはちょっと離れた東逗子の丘の上では、拡大家族のそれぞれの想いが集まり、笑顔になれる心地よい風が吹いています。
現在、満室で空き待ちの『湘南逗子シェアハウス♯910(ここのつ島)』ですが、この生活に少しでも触れてみたいと思われたら、河本ここのさん・晃さん夫妻の主催する『Vision Quest』各講座への参加はいかがでしょうか。 ここのつ島で開催されるものや、自治会でのシェア会『話す・聴く』を体験できるものなどがあります。
Vision Quest 主な講座ご案内
自治会での「話す・聴く」を体験したい方は『聴く力道場』
ここのつ島でも受講可能な講座『はぴきゃりアカデミー i-color Vision Quest基礎講座』
『湘南逗子シェアハウス♯910(ここのつ島)』やその他講座について、詳しくは『Vision Quest』ホームページをご覧ください。