大阪の心斎橋筋商店街の中にある大阪浮世絵美術館。
前編では、大阪浮世絵美術館へのアクセス、魅力、ミュージアムショップをご紹介しました。
後編では、現在開催中の「浮世絵が語る 日本の名山展」をおすすめ作品とともにご紹介します!
「浮世絵が語る 日本の名山展」
現在、大阪浮世絵美術館では、世界的にも有名な葛飾北斎、歌川広重、新版画を代表する吉田博らが描く日本の名山展を開催しています。
日本でもっとも有名な富士山のほかにも、関西や、東海道の山々が描かれた浮世絵版画作品を58点展示しています。
富士山が描かれた作品
有名な富士山を描いた葛飾北斎の作品。ご存じの方も多いのではないでしょうか?
左の作品は《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》。
大きな波の奥には富士山が描かれており、今にも富士山を飲み込んでしまいそうな勢い。
海外では《グレート・ウェーブ》と呼ばれ、もっとも有名な北斎の作品です。
本作は常設展示を行っており、大阪浮世絵美術館を訪れればいつでも見ることができます!
右の作品は《冨嶽三十六景 凱風快晴》。
山肌が赤く描かれていることから通称「赤富士」とも言われています。
「凱風」とは夏に吹く優しい南風のこと。
穏やかな南風が富士山に吹き、夏の雲の流れを感じられる作品です。
こちらはどちらも逆さ富士を描いたもの。
左は北斎の作品で、右は吉田博の作品です。
同じ逆さ富士でも描き方、表現が違い、左右に並べることで、見比べて楽しむことができます!
吉田博の描く富士は写真のように写実的で、先に紹介した《冨嶽三十六景 凱風快晴》に似たような赤富士を思わせる作品です。
北斎の作品は、雪のない夏の富士山が描かれていますが、水面に映る富士山をよく見ると、雪が積もっている冬の富士山が描かれています。
本来、逆さ富士なので、時期の違う富士山になることはないのですが、これは北斎らしい面白い仕掛けでしょう!
歌川広重が東海道の宿場をメインに描いたことで有名な東海道五十三次シリーズ。
本作は東海道最大の難所といわれた神奈川県箱根を描いたものです。
貼り絵のような色とりどりの山々のふもとには芦ノ湖があり、奥に富士山が見えます。
本作は、北斎や広重も愛した「ベロ藍」「プルシアンブルー」とも呼ばれる青色の魅力がよくわかる作品です。
富士山の三角と手前に描かれた屋根の三角が並び、統一感を出しつつも、雲の柔らかい曲線で動きをつけています。
浮世絵で描く町や風景
こちらは、今回の展示で数少ない常設展示の作品。大阪の街が九枚続きで見られる作品です。
大阪城から河内までを凝縮して描いたもので、美術館のある心斎橋や、有名な梅田など、江戸時代の大阪の姿を見ることができます。
ぜひ、現在の大坂の街と見比べて楽しんでほしい作品です!
山と湖を背に、3人の人物が描かれています。
描かれている場所は三井寺。滋賀県大津市にある、正式名称は長等山園城寺です。
三井寺には立派な梵鐘があり、天下の三名鐘の一つと言われています。
鐘の音を聞いている様子が描かれていますが、それぞれの人物の繊細な着物の柄も見どころの一つです!
こちらに描かれているのは、現在も観光名所として有名な京都の嵐山です。
美しく澄んだ青の中に白色を加えることで、川の流れを表現しています。
風が吹き、桜が舞っている様子も描かれ、風や川の流れを体感できる作品です。
ナイアガラの滝を描いた本作。ダイナミックで勢いある様子が描かれています。
浮世絵と言えば、日本を描いているイメージがありますよね?
ですが、浮世絵が流行した江戸時代から時代は移り変わり、本作が描かれたのは1925年のこと。
海外の様子を浮世絵で描くのは、新版画を代表する吉田博だからこそかもしれません。
大阪浮世絵美術館で浮世絵を知る!
浮世絵を多くコレクション、展示、販売している大阪浮世絵美術館。
美術館はコンパクトながらも、落ち着いて多くの作品を間近で見ることができます。
大阪観光の際に大阪浮世絵美術館で浮世絵に触れてみませんか?
※今回は取材のため、特別な許可を得て撮影しています。展示室は撮影不可のため、ご来館の際は、撮影表記をご確認いただき、撮影マナーに十分ご注意ください。
大阪浮世絵美術館
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-2-23 不二家心斎橋ビル3F
電話番号:06-4256-1311
開館時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
休館日:年末年始、展示替え日(2025年2月17日)
観覧料:大人1000円、大人ポストカード付展示観覧料1200円、学生600円、学生ポストカード付展示観覧料800円、小学生300円(※学生は学生証提示必須)
https://osaka-ukiyoe-museum.com/index.html