
植物なの?それとも人工物なの?
本物?ニセモノ?
棚の上には、人工物のように整った形の多肉植物がずらりと並んでいます。一瞬、目を疑ってしまいますが、もちろんすべて本物の植物。今回取材に伺った先は、滋賀県長浜市のえきまちテラスで開催された『花マルシェ』です。
多くの出店者や来場者で賑わうなか、ひと際目を引く存在だったのが『小室多肉店』でした。今回は『小室多肉店』のオーナーであり、植物雑貨クリエイターの小室瑠美さんに、出店のきっかけや多肉植物の魅力、今後の展望などについて詳しく伺いました。
多肉植物に興味を持ったのは今から約10年前

「多肉植物に興味を持ったのは、10年ほど前でした。きっかけとなったのが、こちらの多肉植物です」
小室さんが差し出したのは、リトープス。ハマミズナ科・リトープス属の多肉植物で、色や模様を周りの環境に合わせて擬態する性質を持っています。また、「脱皮」をする植物としても知られ、バリエーションの豊かさが人気です。
「リトープスってキモカワイイでしょ?色や模様も微妙に違うので、集めていらっしゃる方も多い多肉植物です。お客さんについつい勧めてしまうので、うちでは本当によく売れています」
リトープスの寄せ植えは、まさにキモカワイイ存在。種類によっては毒を持っていそうな印象すら受けます。小室さんはそんなリトープスとの出合いをきっかけに、多肉植物の世界にどっぷりとはまったそう。
今では、自宅で多くの種類の多肉植物を栽培しています。
初心者におすすめの寄せ植え多肉植物

「本当に多肉植物が好きな人たちって単品苗を集める方が多いのですが、多肉植物の入り口としては寄せ植えの方が入りやすいと考えています。なるべく栽培環境の似通ったものを寄せ植えしているので、初心者にはおすすめです」
多肉植物は種類が豊富なため、育成環境もさまざま。それぞれの種類に適切な環境でなければうまく育ちません。その点、小室さんが制作する寄せ植えは購入後のことまで考慮して作られています。不安な方には、育て方のアドバイスも。
『小室多肉店』の寄せ植えはインテリアとしてもおしゃれです。おしゃれの要素となっているのは、鉢でした。じつは、『小室多肉店』で使用している鉢のほとんどが小室さんの手作りです。
手づくりのオリジナル鉢で差別化

『小室多肉店』で取り扱っている鉢は、木材をくり抜いたものやレンガをくり抜いたもの、石膏やモルタルで制作したもの、リメイク缶などさまざまな種類があります。
「なかなか自分の気に入った鉢が見つからないことってありますよね。だから、自分で作ってしまいました。オリジナル鉢を制作すると、ほかのお店と差別化もできます」

レンガや木材をくり抜く作業は大変そうです。そこで、どのように加工しているのか質問してみたところ、意外な答えが返ってきました。
「難しい作業は夫に依頼しているので、どうやってくり抜いているのかはわかりません。私は形が出来上がったところから色を塗るだけ。その辺りは完全にアウトソーシングです」
重要なのは加工ではなく、デザインということでしょうか。小室さんの扱っているオリジナル鉢は、どれもシンプルかつおしゃれなものばかり。
「お客さんには主人が加工していることを話すのですが、共同制作についても高い評価をいただいています」
『小室多肉店』の鉢はただの外注依頼ではなく、依頼者と請負人の信頼関係が織りなすオリジナル作品です。しかも、鉢以外のオリジナル作品も多数販売しています。
キャンドルや植物雑貨の制作販売も

『小室多肉店』では、多肉植物以外にキャンドルや植物雑貨も制作販売しています。画像の『たにくキャンドル』は「枯れない多肉の寄せ植え」として人気の商品です。
「リメイク缶を使いたかったので、ロウソクの制作もしてみました」と小室さん。
キャンドル制作は多肉植物へのこだわりだけでなく、リメイク缶への愛の結晶でした。『小室多肉店』では、キャンドル以外にも植物雑貨やマクラメ雑貨も取り扱っています。

マクラメとは紐や糸を編んで模様や形を作る手芸のことで、画像のマクラメ商品はハンドメイド作家として活動している妹さんの作品です。
「マクラメと植物はとっても相性がいいので、コラボ作品も販売しています」
小室さんはかわいい鉢やリメイク缶、マクラメ雑貨などをきっかけにして、多肉植物をより身近に感じてほしいと語ります。
販売はイベントでの出店のみ

『小室多肉店』で取り扱っている多肉植物は、イベントでの販売のみとなっています。稀に配送することもあるそうですが、丹念に育てた多肉植物をそのままの形で配送するのは難しいため、基本的には断っているとのこと。
『小室多肉店』の多肉植物やオリジナル鉢を手に入れるには、イベントに足を運ぶしかありません。一方で、最近はワークショップの開催も増えてきたといいます。
多肉植物の寄せ植えワークショップ

「最近はマルシェへの出店をきっかけに、色々な方にお声がけいただくことが増えました。多肉植物の寄せ植えワークショップも、マルシェで知って参加してくださる方がいらっしゃいます」
先日開催したワークショップでは、定員を超える申し込みがあったとのこと。新たな趣味として取り組む人も多く、小室さん自身も新たな発見があったといいます。今後は制作販売だけでなく、ワークショップにも力を入れていきたいと語ってくれました。
多肉植物は観葉植物よりも育てやすい印象です。見た目もおしゃれなので、インテリアとしても最適。ワークショップで自分だけの寄せ植えを作ってみてはいかがでしょうか。
今後は『小室多肉店』のワークショップやマルシェを通じて、多肉植物の輪が広がっていくことを期待しています。
『小室多肉店』の詳細情報

イベントへの出店情報やワークショップの開催情報は、インスタグラムをご確認ください。
- Instagram:小室多肉店
- minne:komurotanikuten
- Yahoo!フリマ:こむろたにく