「一人でふらっと訪れると通り過ぎてしまう場所でも、地元の人と歩くと発見があるんです」
そう語るのは、「西湘足柄移住コンシェルジュ」のコアゼさん。
西湘足柄(せいしょうあしがら)とは、小田原市・南足柄市・山北町・開成町・松田町・大井町・中井町・箱根町・真鶴町・湯河原町の2市8町からなる神奈川県西部のエリアです。

移住希望者の多くが求める「自然の豊かさ」と「都心へのアクセス」を兼ね備え、都会からの移住に“ちょうどいい”エリアとして人気を集めています。
西湘足柄移住コンシェルジュとは

「西湘足柄移住コンシェルジュ」は神奈川県初の取り組みとして、2024年5月30日に開設されました。立ち上げからわずか10カ月で79件の相談が寄せられ、実際に15組33名が移住しています(2025年3月31日時点)。
西湘足柄移住コンシェルジュへの相談は、誰でも無料で可能です。相談の大半は東京都やその近郊など都市部から寄せられています。また、最近では鎌倉など海に近い町と西湘足柄エリアの二拠点生活を送る人も増えています。
「どんな場所に住みたいか」
「どんな生活をしたいか」
移住コンシェルジュはオンラインや対面で相談者の希望を丁寧にヒアリングし、ニーズに合ったエリアを提案しています。さらに、地域をよく知る「まちの案内人」が、実際の暮らしのアドバイスや現地案内などのサポートをします。
まち歩きでリアルな暮らしが見えてくる

相談に訪れるのは、30〜40代の子育て世帯を中心に、単身者や退職後の暮らしを考えるシニア世代までさまざまです。リモートワークを活用したいという相談も増えています。
「自然の近くで、伸び伸びと子育てをしたい」
「山の中の1軒家で自分らしく暮らしたい」
「富士山が見える場所に住みたい」
相談者の声に応じて、その人に合った選択肢を一緒に考えていきます。ときには車で複数のエリアを巡ることも。
「海の近くに住みたいけど、週に数回は都内の会社に通勤したい」
そんな希望を持つ人には、東京へ乗り換えなしでアクセスできる小田原駅周辺が候補にあがります。2時間ほどあれば、駅・街・海を徒歩で巡れるコンパクトさに、多くの相談者が驚くといいます。
車なしで生活できるのも、このエリアの魅力のひとつです。漠然とした理想も、その地に住む人と歩くことで、現実味を帯びてくるのかもしれません。
「引っ越す前から、地域とのつながりを作れたらいいですね。例えば、行きつけのカフェや顔見知りの店員さんがいるような。仮に移住しなくても、それはとても豊かな体験になると思います」とコアゼさんは語ります。
移住者が地域の潤滑油に

「まちの案内人」のメンバーには、もともと移住者支援に関心を持っていた人が多くいます。
例えば、大井町の根岸さんは、都内在住時代から大学の友人を地元に招くなど、地域を紹介する活動を続けてきました。
山北町の石田さんはUターン組です。山北町に興味がある人がいれば、軽トラックの助手席に乗ってもらい、その土地に住む人ならではの目線で地域を案内していたといいます。
移住者をサポートしたいと思っていた人たちが「西湘足柄移住コンシェルジュ」の取り組みに共感し、「まちの案内人」として連携しています。
「以前から、こういう活動をみんなで一緒にできたらおもしろそうだと思っていました」と、コアゼさん。
「移住者を一言で表すなら?」
小田原市でアパレルショップを営む佐野さんは、「潤滑油かな」と答えます。
地域と人をつなぐ活動は、移住者だけでなく、地元の人たちにとっても新しい出会いや気づきをもたらしているようです。実際に、移住者を通して地元の人のコミュニケーションが活発になるなど、何かが動き出すこともあるといいます。
気軽に問い合わせてみよう

西湘足柄移住コンシェルジュは、移住希望者が移住後の暮らしをイメージできるような機会を積極的に提供しています。2024年度には、実際に移住した人のトークイベントや、地域の魅力を地元住民と語り合う交流会などが開催されました。
移住の相談は、メールや専用フォームから受け付けています。
また、東京・有楽町にある「ちょこっと田舎・かながわライフ支援センター」とも連携しています。
「まだ先かもしれないけど、移住が気になる」「話だけ聞いてみたい」という方も歓迎です。まずは、メールや専用フォームから問い合わせてみましょう。
西湘足柄移住コンシェルジュ基本情報
特設ページ:https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/0602/seishoashigara-ijyu/index.html
西湘足柄移住コンシェルジュ事務局 問い合わせ先: seishoashigara.ijyu@gmail.com