今年5月、富山市に誕生した、本格的なアラビアン&ペルシャンカフェ「砂漠に咲く花」。
前編では異国情緒に溢れるカフェの特徴や、魅力的なメニューについてご紹介しました。
後編では、カフェを運営するアミールさんご夫妻に、お店を開いたきっかけや、カフェに込めた願いについてじっくりお聞きしました。
中東文化の発信・異文化交流の場としての「砂漠に咲く花」
「砂漠に咲く花」は、アミール・ナースル・イスファハニさん・庭田幸恵さん夫妻が経営しています。
アミールさんはイラン出身で、日本に来る前はイランの大手企業でITエンジニア兼デザイナーとして働いていました。
庭田さんは富山県出身で、キャビンアテンダントやアナウンサーなどの経験を経て、2006年に観光に関する人材育成研修や翻訳事業などを手掛ける株式会社プラチナコンシェルジュを立ち上げ、代表取締役として各国を飛び回る日々を送っています。
2年前の秋、庭田さんがリスボンでリモートワークをしていた頃にアミールさんと知り合い、その後結婚して一緒に富山で暮らし始めたのだそうです。
イランには親日家の方も多いそうですね。
アミールさんは日本についてどんなイメージを持っていましたか?
「昔、イランでITエンジニアだった頃、ゲストハウスの手伝いをしたことがあるんです。そこで日本文化について知り、日本人の礼儀正しさに親近感を感じました。
イランでは、ドラマ『おしん』がよく知られています。主人公のけなげさ、勤勉さが特に年配の世代の共感を呼んでいます。若い人は現在の日本のアニメをよく見ていて、日本語を知っている人も多いんですよ」(アミールさん)
カフェを開いたきっかけは?
「実は、以前はイランに対して漠然と危険な国というイメージを持っていたのですが、リアルな人々の暮らしぶりは想像とは全然違いました。これまで200カ国ほどを訪れた経験がありますが、その中でもイランのホスピタリティ精神や文化が琴線に触れたんです。
そこで、中東のイメージを変えたり、リアルな文化を多くの方に知ってもらいたい、異文化交流の場を作りたいと考えて、カフェを作ることにしたんです」(庭田さん)
庭田さん「知り合った頃に、アミールさんの招待でイランを訪れて、アミールさんの家にステイさせてもらったのですが、ご家族がとても優しくて。イランは古き良き時代の日本のように、家族や親戚との絆が強くて温かいんです。イランでは、人とのつながりを大切にしていて、季節によっては夜にピクニックをするなど、生活を楽しんでいる姿が印象的でした。隣り合うアラブやトルコ、パキスタンといった国々の影響もあり、多様性に富んだ食べ物や文化も魅力ですね」
アミールさん「イラン人は、旅人には良い思い出を作ってもらいたいという気持ちが強いんです。『どうぞどうぞ、うちに来てご飯食べていってね』という雰囲気なんですよ」
ふたりで作り上げた空間
そうして生まれたのがこの「砂漠に咲く花」でした。
庭田さんが研修スペースとして使っていた建物を改装することにしたものの、本格的な中東のイメージを工務店に伝えることが難しいと感じたアミールさん夫妻。なんと自らリフォームを手がけたのだそうです。
正面と一部側面がガラス張りとなっていて、雰囲気は明るく開放的。カフェの前の公園を借景としていて、穏やかな時間が流れます。
店名の由来は?
庭田さん「イランには広大な砂漠地帯がありますが、そんな乾いた大地でも力強く咲く花があるんです。『こんな生命力のある花があるのか』と感動しました。その時のイメージからこの店名をつけました」
カフェを楽しむコツは?
庭田さん「とにかくリラックスして過ごしていただければ。床に座るスタイルのアラビアンレッドルームでは、足を崩すのはもちろん、ペルシャカーペットの上でごろんと横になっていただいても構いません。
私のおすすめはここで居眠りすることです」
子どもたちもウェルカム!
子どもたちだけでカフェを訪れ、滞在を楽しんでいる様子も見かけました。
子どもたちのサポートをされているのですか?
アミールさん「これは妻のアイディアなのですが、子どもたちの学習スペースとしての利用をサポートしているんです。放課後ここを訪れる子どもたちにサフランウォーターなどをサービスしています」
子どもたちは「こんな場所があるなんて!」「住みたいくらい」と目を輝かせていました。なぜサポートを始めたのですか?
庭田さん「子どもの頃から異文化に触れる場があるといいな、このカフェがそんな場所になればと考えて始めたんです。
お店によっては『乳幼児の入店はお断り』なんてこともありますが、私はそれは残念なことだと思っていて。
ここではお子様連れのお客様にも安心して過ごしていただきたいんです。
よちよち歩きのお子さんでも床に座るスタイルなら安心ですし、時間を気にせずゆっくりしてもらえたら嬉しいですね」
アミールさんにとっての目下の課題は日本語なのだとか。
アミールさん「今、日本語を一生懸命勉強しているところですが、まだまだです。なので、オーダーがスムーズになるよう、注文票をコード記入方式にするなどして工夫しています。
言葉の壁を超えて、もっともっとみなさんとコミュニケーションできるようになりたいと思っています。
どうぞ気軽に遊びにきてくださいね」
家庭や学校、職場とは別の、居心地の良いサードプレイスとしての「砂漠に咲く花」。
日常の喧騒を離れて、カフェでプチ中東旅行を楽しみませんか?
Information
アラビアン&ペルシャンカフェ「砂漠に咲く花」
住所:富山県富山市西大泉12-5
駐車場:4台
営業日・予約などくわしくはこちらへ 砂漠に咲く花 Instagram