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ライフ  |    2024.09.29

【Iターン】東京から鳥取へ!元シティボーイが語る地方移住の魅力と不安解消のコツ

いずれは地方に住んでみたいという気持ちを抱いていながらも、実際に「移住する?」と聞かれて首を縦に振る人は多くないだろう。移住をすれば今まで通りの生活ではなくなる。仕事、環境、交友関係が大きく変わるため、不安を抱くのも当然である。

しかし、それらの不安が杞憂なケースもあることを知ってほしい。

例えば、鳥取県の企業「井戸垣産業株式会社」に勤めている秋葉翔矢(あきばしょうや)さんは、東京からのIターンで鳥取に移住している。当初は、一定期間を過ごしたら東京に帰るつもりだったが、鳥取で家庭を持ちずっと住み続けているそうだ。

一体、鳥取の何がシティボーイを田舎色に染めたのか…。移住者だからこそ気づけた鳥取の魅力と、移住で意識すべきポイントを【仕事】【暮らし】【経済】【婚活】の4つに分けてうかがった。

【仕事】穏やかな人が多く働きやすい

井戸垣産業が営む店舗「ホームデコ」の外観

都市と地方とでは、仕事における環境がまるで違う。例えば、デジタル化が進んでいる都市と比べ、地方はいまだにアナログな部分が多い。また、都市はビジネスに対して野心的な人が多い一方で、地方はゆったりとした心持ちで仕事に向かう人が多く見られる。

地方での仕事に対し、東京からのIターンである秋葉さんはどう感じたのだろうか。

井戸垣産業の人間関係

秋葉さんは東京から鳥取に来られたんですよね?井戸垣産業さんに入社して、東京の人との違いを感じたことはありますか?

そうですね…井戸垣産業だからなのか鳥取全体がそうなのかはわかりませんが、東京に比べて柔和な人が多い気がします。
東京ってビジネスマンが多いせいか、ちょっとガツガツしている感じがあるんです。でも、井戸垣産業の人はほんわかしていて、すんなり馴染めましたね。

それは秋葉さんのコミュニケーション能力が高いから…ではなく?

高くないですよ(笑)
職場の雰囲気がやわらかいので、話しかけやすいし、話しかけてもらえるし、自然と仲良くなりました。

なるほど。移住先でうまく人間関係を構築できるかを心配している人にとっては、大きな安心ポイントですね!

井戸垣産業のロゴ

秋葉さんが勤務しているのは、リフォーム事業を行っている「井戸垣産業株式会社」。地域密着型企業で、倉吉市や鳥取市の人との交流を大切にしつつ、リフォームで人々の豊かな生活の創造をサポートしている。

また、井戸垣産業はSNSによる発信にも積極的だ。動画内では楽しそうにゲームをする社員たちの姿や、視聴者から寄せられた質問に笑顔で答える井戸垣社長の姿が映っている。アットホームな雰囲気は、動画からも一目瞭然である。

企業によっては人間関係を円滑にするために飲み会を開いたり、レクリエーションを行ったりするケースもあるのですが…井戸垣産業さんはどうですか?

そういうのはほとんどないですよ。特別なことをしないからこそ、適度な距離を保てているんだと思います。

すごく働きやすそうな職場ですね。私もライターの仕事がなくなって困ったら、井戸垣産業さんに求人の問い合わせをしようかな…。

ご相談ください(笑)

都市と地方にある文化の違い

鳥取で仕事をしてみて、戸惑ったことはありますか?

そうですね…いまだにFAXを使ったり手書きの請求書を使ったりすることには驚きましたね。東京だったら取引先とのやり取りはメールですし、請求書も電子化していますから。

確かに、時代に追いついていないところは多々ありますね。特にIT面は、「都市に比べて地方は5年以上遅れている」という声もありますから。

僕の場合は、「遅れている」というより「文化が違う」というイメージですね。

…というと?

取引先とのやり取りって、両方が同じ手段じゃないと成り立たないんです。片方がIT化をしてメールや請求書ツールを使っても、相手が対応できなければ意味がないじゃないですか。だから、「遅れている」というよりは、鳥取の人にとってはFAXや手書きの請求書といったやり方の方が心地いい…つまり、そういう文化なんだと思いました。

なるほど!そういった解釈はしたことがなかったです。
自分だけ時代に合ったやり方をするのではなく、相手に合ったやり方を選択する…一種の思いやりですね。

そうですね。「遅れている」とネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、僕の目には「思いやりの文化を大切にしている」と見えています。

秋葉さんのお話を聞いて、急にFAXが愛おしくなってきました。
じゃあ、都市在住の人が鳥取に移住してビジネスを始めるのは苦労しそうですね。

難しいでしょうね。ライバルが少ないというメリットはありますけど、都市の文化を無理やり鳥取に持ち込んで実践すると、地元の人はなかなかついていけないと思います。

逆に、しっかりと移住先の文化を知ったうえで対策を講じれば、ビジネスを成功させられる可能性もありますね!

そうですね!

【暮らし】旅行に近い非現実感がある

暖色系の照明

大都会の東京から、日本一人口が少ない鳥取に移住した秋葉さん。目に映る景色も生活スタイルもガラッと変わったことは容易に想像できるのだが、具体的にどんな変化を実感したのだろうか。

最初は不安しかなかった

移住に関して、不安なことはありましたか?

めちゃくちゃありましたよ!なんなら、不安しかなかったです。
東京にいたころは、実家から大学院に通っていたんですよ。一人暮らしをしたことも働いたこともないのに、急に鳥取へ移住って…「生きていけるのかな?」と不安でいっぱいでした。

それは勇気がいりますね!

でも、僕の中で「ずっと東京にいるのはダメだ」という気持ちがありましたし、田舎暮らしにも興味があったんです。ひとまず、新橋にある移住センターに行って支援を受けて、鳥取へ就活に行きました。
鳥取のことは何もわかりませんでしたが、住む場所の近くで24時間スーパーを見つけて、「なんとかなりそうだな」と思ったことを覚えています。

24時間スーパーの安心感がすごいですね(笑)

「田舎は何もない」という人がいますけど、生活に必要なものはちゃんと揃えられたので、移住前の不安も一気になくなりましたね。

「帰りたい」という気持ちが消えるほど好きな場所に

鳥取で移住生活を始めてみて、どうですか?

移住して本当によかったですね。特に、山や海が近くにあるのはすごく魅力的でした。
東京だったら、山や海が見える場所まで行くのに電車で1時間くらいかかります。でも、鳥取なら窓を開ければ山が見えて、歩いて数分のところに誰もいない砂浜があって…「こんな近くに自然があるなんて、あり得るんだ」と感動しました。

自然を感じられるのは、地方ならではの魅力ですよね。

そうですね。僕は東京しか知らなかったので、現実感を得るまでに時間がかかりました。非日常を味わえたこともあって、旅行に行きたい欲も一気に減りましたね。
あと、黄色や赤色の点滅信号があることにも驚きました。

え?東京にはないんですか?

ほとんどないと思いますよ。もちろん教習所で習うので点滅信号があることは知っていましたが、実際に見たのは初めてで…。

都市伝説みたいですね(笑)
東京が恋しくなることはありませんか?

ないですね(笑)
もちろん、実家が東京なのでお正月は帰って家族団らんを楽しみたいという気持ちはありますよ。でも、東京に戻りたいという気持ちはないです。

移住の先輩としてのアドバイス

地方への移住に興味を抱いている人に向けて、何かアドバイスはありますか?

そうですね。移住を検討するなら、まず移住検討先で長期滞在することをおすすめします。
地方って、住んでみたからこそわかる良さがたくさんあると思うんですよ。1日や2日滞在しただけではわからないので、「泊まる」ではなく「住む」くらいの気持ちで行ってみてほしいです。

移住関係のPRは観光PRとかぶっていることが多いので、「住む」というより「遊びに行く」の感覚になってしまいますよね。鳥取だったら「おいしい梨が食べられるよ」とか「砂丘や大山などの自然がたくさんあるよ」とか。

もちろん、有名な観光スポットが近くにあるのは魅力的です。でも、田舎を知らない僕からしたら、誰もいない小さな砂浜でもすごくきれいに見えるんですよ。そういったことに気づけるのも、住んでいるからこそだと思います。

なるほど。そういった日常的な部分もPRできれば、もう少し移住を現実的に検討できるのかも…。
お試しであればいつでも帰ることができますし、気軽に長期滞在に挑戦してもらいたいですね。

そうですね。

【経済】重要なのは収入より支出

家をモチーフにした置物

同じ日本でも、都市と地方では給与水準や物価が大きく異なる。都市にいる人にとって、給与水準が下がるのは大きな不安となるだろう。

しかし、秋葉さんは「心配ない」と断言した。心配無用といえる理由について、実体験を交えながら教えてくれた。

支出を見直せば経済的不安はクリアできる

都市に比べて、地方って月収が少ないと思うんですけど…経済的な不安はありましたか?

最初は不安でしたよ。鳥取に就職して、給与明細を見たときに「これで生活していけるのかな?」って…。でも、いざ生活をしてみると全然問題ありませんでした。大切なのは、収入より支出だと思います。

支出ですか?

そう。鳥取は物価が安いし、地元の人から野菜や果物をもらえることもあるし、場所によっては駐車場代も無料です。出ていくお金が少ないから、都市レベルの収入がなくても住めると思いますよ。

確かに。給与水準においては、どう頑張ったって都市には勝てませんから…。収入ばかりに目を向けるのではなく、支出がどれくらいになるかをシミュレーションすることが大切なんですね。

そうですね。僕の周りにも移住者が何人かいますけど、お金に困って都市に戻るという話は聞いたことがないです。どちらかというと、都市にいる人の方がカツカツなんじゃないかなと思うこともあります。
僕も支出内容を見直してみたことがあったんですけど、「足りない」と思ったことはありませんでしたよ。

「支出をきちんと把握すれば、地方移住の経済的不安を払拭できる」
このことを事前に知っておけば、移住へのハードルも下がりそうですね。

移住したら地元の人と積極的に交流すべし!

収入が下がっても支出を抑えられれば問題ないとのことですが…具体的にどうしたらいいですか?

地元の人との交流を大切にするといいと思いますよ!
僕は消防団に入っている関係で、たくさんの人と交流をさせてもらっています。今はお休みしているんですけど、活動していたときは野菜や果物をいただくことが多かったです。
あと、奥さんの実家からお米をもらっているので、食費を大幅に削れました。

それはいいですね!私も義実家がお米や野菜を作っているので、色々ともらえて助かっています。

地方のよさですよね。鳥取っておいしいものが多いので、すごくありがたいです。
以前、売り物にならないからって梨をもらったんですけど、それがものすごく甘くてジューシーで僕好みだったんですよ!今までは高いお金を払って梨を買っていたのに、過去一レベルでおいしい梨をタダで食べているって…「今、僕は何をしているんだ?」と頭がバグりましたね(笑)

人を大切にしていれば、いいことがあるものですね。鳥取に住んでいる私の友人も「梨とスイカは買うんじゃなくてもらうもの」といっていましたよ(笑)
でも、秋葉さんは東京からの移住だから鳥取に知り合いがいませんよね?どうやって地元の人とつながっているんですか?

最初は、市がやっている移住者サポートを利用したり、地域のイベントに積極的に参加したりしましたよ。知り合いがいない地に移住するからこそ、自分から動くことが大切だと思います。

【婚活】周囲がマッチングさせてくる

雑貨や家具が並んだ店内

もしも都市での婚活がうまくいっていない人は、地方移住によって婚活が成功するかもしれない。現に、秋葉さんも鳥取で奥様と出会い、結婚し、子宝にも恵まれ幸せな生活を送っている。

人口最少の鳥取で、秋葉さんはどうやって婚活を成功させたのか。そこには、周囲の協力があったという。

「地方で婚活は無理ゲー」と思っている人もいると思うのですが、秋葉さんはどうでしたか?

移住して半年くらい経ったころ、「そろそろ彼女がほしいな」と考えていたんです。でも、周りには若い人がいませんでしたし、若くてもすでにパートナーがいる人がほとんどで…。

地方あるあるですね。

試しに、周りの既婚者にどうやって知り合ったのかを聞いてみたんですよ。そうしたらみんな「知り合いからの紹介」っていうんですよね。僕、移住してきているから知り合いがいないし、もう結婚は無理かなって諦めていました。

でも今は結婚されてお子さんもおられますよね?奥様とはどうやって出会われたんですか?

知り合いの紹介です(笑)

ズコー!まさかの紹介!

自分でもびっくりなんですよ。たまたま知り合いが「紹介しようか?」っていってくれて、そのおかげで妻に出会えました。まさか自分まで「知り合いの紹介で」という日が来るとは…。

紹介も地方あるあるなんですかね?

そうかもしれませんね。
都市は人が多いので、結婚相手の選択肢も多すぎるんですよ。でも、田舎は選択肢が少ないから周囲も介入しやすいんですよね。「あの2人は年齢が近いからいいかもしれない」みたいに、ピンポイントで周りがマッチングさせてきます。

たくさんの人と出会うより、的を絞る方法の方が意外とうまくいくかもしれませんね。

ただし、紹介をしてもらうなら交友関係を広げる必要があります。そういった意味でも、移住先での人脈は大切ですね。

移住は身構えなくても大丈夫!

カーテンの前に立つ笑顔の男性

自分の人生を大きく変える「移住」には、多くの人が不安を抱くものだ。しかし、事前に下調べをしたり長期滞在で疑似的に移住を体験したりすることで、不安をなくすことも可能である。

特に、日本一人口が少ない鳥取県は、観光面が弱いものの住みやすさは抜群に優れている。秋葉さんのように、住みながら旅行のような非日常感を味わうこともできるだろう。

筆者は鳥取県出身者なのだが、移住者の秋葉さんからお話をうかがったことで改めて地元の素晴らしさを実感した。自然、食べ物、人の温かさ…当たり前だったものが、実は当たり前ではなかったという現実を知り、なんて自分は恵まれているのだろうと。

小学生・中学生の9年間、毎年遠足で鳥取砂丘に行かされていたことに文句ばかりいっていたが、これからは自慢話にできそうだ。

秋葉さんの勤務先「井戸垣産業」について

所在地〒682-0885
鳥取県倉吉市堺町3丁目57-1
TEL0858-22-4193
営業時間9:00~18:00(夏季休業・年末年始を除き年中無休)
公式HPhttps://idogaki.co.jp/
公式SNSInstagram(倉吉店)
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この記事を書いた人

夏目ミノリ

自然に囲まれて暮らすWebライター兼カメラマンです。 元結婚式場パティシエ(調理師免許、製菓衛生師保有)。 斧を使って薪割りをすることから、SNSでは「薪割りWebライター」と呼ばれています。 田舎暮らしの日常、グルメ、観光スポットなどの執筆が中心。 愛のある文章であらゆる情報を発信します。

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