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ライフ  |    2023.09.28

前職で全国の離島に触れてきた海野めぐみさんが奄美への移住を決断したワケ

今、暮らしているまちについてどれほどの思い入れがあるだろうか。
今の暮らしは、どれくらいの満足度だろうか。

今回、鹿児島県の離島・奄美大島に暮らす1人の女性に話を伺った。彼女の名前は、海野めぐみさん。今から3年ほど前、福岡からIターンでやってきた29歳。

奄美の海(写真提供:海野めぐみさん)

「地元よりも好き」「奄美に定住し続けたい」と語ってくれた海野さんは一体、どんなご縁に引き寄せられて、奄美に移住することになったのだろうか。そして、彼女が奄美を愛する理由とは。

気になることをあれこれ尋ねてみた。

本記事を読んで「奄美に行ってみたい」「自分もフィットする場所に出会いたい」と感じてくれたら嬉しい。

全国の離島に触れてきた前職時代

奄美に住み始める前の海野さん(写真提供:海野めぐみさん)

海野さんは1994年、長崎県長与町生まれ。親の仕事の都合で、島原市や長崎市にも住んだ経験があり、高校卒業まで長崎市内で育った。

高校卒業後は大学進学のため、福岡へ移住。大学卒業後は、株式会社離島キッチン(以下、「離島キッチン」)に新卒入社した。この会社は、島根県隠岐諸島の海士(あま)町観光協会がまちおこしプロジェクトの一環として法人化。

海野さんが卒業後の就職先を探していたところ、離島キッチンが2016年秋に福岡店をオープンするにあたってスタッフを募集していた。その記事を偶然見つけ、エントリー。入社後の3年間は離島キッチンで店舗運営やイベントの企画運営、広報などの業務を経験する。

来店客のなかには離島出身の方もいたり、一緒に働くスタッフには奄美群島の出身者が3名もいたりと、日々「島との繋がり」を感じてきた。

毎月、月替わりでフェアを開催していたが、特に奄美フェアは大盛況。また、スタッフの1人から地元・徳之島(奄美群島の1つ)の魅力を常々聞いていたこともあり、奄美出身者の「地元愛の強さ」を感じていた。

もやもやを解消してくれた伝泊の代表からの言葉

福岡に勤務していた前職時代(写真提供:海野めぐみさん)

2020年の年明け、「自分のキャリアを別のステージで活かしてみたい」と転職を検討し始めた。そんななか、コロナによって社会情勢が大きく変化していった。

その変化を目の当たりにして「このご時世、人がたくさんいる地域にわざわざ自分から飛び込む必要があるのか」「例え転職できても、その転職先が倒産してしまったら自分は生きていける力がない」「都会でお金を稼ぐ力よりも、地方や田舎で自然と共存しながら生きる力があるほうが人間としてのたくましさを感じる」といったさまざまな葛藤を抱えていた。

あるとき、伝泊の代表がスタッフの募集記事をFacebookに投稿していた。伝泊とは、使われなくなった古民家や空き店舗をリノベーションした3種類の宿のこと。奄美イノベーション株式会社(以下、「奄美イノベーション」)が運営している。

奄美イノベーションの代表である山下さんとは、2019年秋に福岡で開催されたイベントで出会い、繋がっていた。彼の記事に惹かれるものがあり、DMを送った。

「前職の経験で全国の離島の知識はあるものの、島に住んだ経験がなく、人脈もない」「島に住んでみたいという気持ちがあるものの、島で暮らせる力やスキルがない」といった当時の海野さんの気持ちを正直に伝えた。

山下さんとの面談で、会社の理念やご本人の思いに惹かれ、その翌日には奄美への移住を決めた。2020年4月のことだった。

奄美に暮らし続けるために自分で稼ぐ力を身につけていきたい

奄美で見る日常の風景(写真提供:海野めぐみさん)

奄美に移住して3年の月日が経つ。実際に暮らしてみて、意外と物価や家賃が高いことや雨の日も多く、冬は太陽が出ないことに気づいた。それでも奄美での暮らしは心地よい。

奄美で見る日常の風景(写真提供:海野めぐみさん)

朝、鳥のさえずりで目が覚めたり、トタン屋根にポツポツと当たる雨音に耳を澄ませたり、町内放送が流れたりと自然が作り出す音に敏感になり、自然のなかで生きていることを実感する。

奄美で見る日常の風景(写真提供:海野めぐみさん)

今は、奄美イノベーションの社員として勤務しながら、副業でデザイナーとしてもお仕事をしている。「奄美で自分らしく生き続けたい」「奄美にいながら好きや得意を活かした働き方を突き詰めたい」といった思いでデザイナーを志した。

ポートフォリオの一部(写真提供:海野めぐみさん)

今年1月からスクールに通い、今では実案件も受注しデザイナーとして軌道に乗ってきている。これまで他の副業にも挑戦し多くの挫折を味わったが「デザインだけは嫌なことも飲み込めるし続けられる」と海野さんは話す。

あやまる岬から見る朝日が大好きだ

あやまる岬から見る朝日(写真提供:海野めぐみさん)

最後に、海野さんが大好きな奄美の光景を教えてくれた。

「あやまる岬から朝日を見るのが大好きなんです。水平線の向こう側から太陽が少しずつ顔を出して、その光が植物に当たる瞬間にはいつも感動します。それに干潮のときには、浅瀬が続いているのでウユニ塩湖みたいな光景が目の前に広がるんですよ」

イキイキと言葉で伝える情景が私の頭に鮮明に浮かんだとき「自分が自分らしく生きられる場所」「自分に合う場所」を見つけた海野さんを羨ましく思った。

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この記事を書いた人

きゃんまり

鹿児島出身、関東在住。広告代理店に勤務し、ライターとしても活動中。取材ありの記事執筆やイベントレポートの作成が得意。一歩鹿児島を出ると、「鹿児島の本当の魅力が知られていない」「鹿児島と無縁の人が多い」と痛感しています。大好きなふるさと鹿児島を一人でも多くの人に知ってもらい、ファンになってもらうために、鹿児島のモノ・コト・ヒトに関する情報をお届けします。

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