本を借りたとき、いつでも、どこへ返してもよいといったら便利ですよね?
そんな不思議な「きんじょの本棚」が東京の町田市にあります。
その「きんじょの本棚」の活動をしている方が集まった「きんじょの本棚まつり 金色の響き」。
2023年11月に町田市の薬師池公園内にある野津田薬師堂にて開催されました。
今回は本が本棚を旅する?!「きんじょの本棚」のおまつりをレポートします。
きんじょの本棚とは
「きんじょの本棚」とは、本棚が設置してある場所なら、誰が借りても、いつ返しても、どこへ返してもよい本棚のこと。
本棚の持ち主は店主さんになり、貸し出してよい本を本棚に並べます。
店主さんは、カフェのオーナーや普通の主婦の方などさまざま。お店の中や自宅の玄関前に本棚を置く方もいます。
今では町田市を中心に200店余りの本棚が設置されているとか。
そんな店主さんが集まって開催されたおまつりです。
おまつりの様子
当日は、ワークショップやアトラクションなど、趣向を凝らしたプログラムが満載。
「かざぐるま店」さんが出店中。
かざぐるま店さん「お店で本棚を出しているんですけど、楽しそうだなと思って。自宅の前にも出したら、住宅街で目立たない場所なのに、結構本を借りていく人がいるんですよね」
――かわいらしい本棚ですね
かざぐるま店さん「本棚を作ってくれる人がいるんですよ。いろんな人の本棚を作っているみたい」
それぞれの店主さんが個性的な本棚を出しています。
コーヒー豆ショップのひるずかぼう店さんでは、もっと大きい本棚を店先に置いているのだそう。
おまつりに歌は欠かせません。自然の中で歌うのは気持ちよさそう。
パン屋の店主さんは、パンを出店中。
きんじょの本棚のパンなんて、かわいくて思わず即買いです。
なかにはアルパカとの触れ合いコーナーも。
福祉施設の社長さんが本棚の店主さん。アルパカが好きで施設の庭で8頭飼っていて、そのうちの2頭をおまつりに連れてきたそう。
アルパカは、臆病だけど好奇心旺盛なんだとか。誰かと似ている……。
人懐こいアルパカが私のところにもエサを求めて、モフモフ寄ってきました。
こんなところでアルパカに会えるなんて、感激です。
こちらでは、お茶席体験のできる休憩所も用意されています。
ステージでは、このおまつりの主催者であるきんじょうさんが楽しそうにリズムにのって踊っていました。
きんじょうさん「このおまつりでは、私が主人公ではなくて、本棚を出してくれた店主さんそれぞれがつながって、楽しんでくれたらよいと思っています」
「きんじょの本棚」のはじまりは本を分かち合いたい想いから
きんじょの本棚の発起人・きんじょうさんに、きんじょの本棚を開いたきっかけをお聞きしました。
きんじょうさんは、よく仕事の昼休みにカフェで本を読んでいたそう。
そのうちに、感動した本を誰かとシェアしたい気持ちが強まってきました。
その想いを受けて、本棚の設置を快く受け入れてくれたのが、ONSO COFFEE(オンソコーヒー)の園曽さん。
以前記事にしたことのあるカフェです。ここで私もきんじょの本棚に出会いました。
2018年に本棚を始めた当初は合わせて4か所に本棚を設置しましたが、そこからは全然広がらなかったとか。
しかしコロナ禍で、図書館も本屋も閉まっている状態が続きました。
そんなときに、本棚を設置しているパン屋さんでは、本を借りた人がまた本を返すために来店してくれるように。
これは面白いねと思っているうちに、本棚を設置する店主さんが毎年80件ぐらい増える勢いになっているそうです。
なぜ今この取り組みが広がっているのか、後編でその秘密を探ってみます。
後編の記事
おまつりの場所・野津田薬師堂(普光山福王寺)―薬師池公園内