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もの・こと  |    2024.02.26

未来のIT産業でエースとなる人材を育てる「Hana道場」

大人のためのはじめてのプログラミング体験講座にて

「コンピューターをもっと身近に感じてほしい」との思いで始まったモノづくり道場が、福井県鯖江市の「Hana道場」です。Hana道場では、ものづくりとITの融合を目指し、4歳から72歳までの人たちが今日も楽しくプログラミングを学んでいます。

Hana道場は2015年に設立。同市在住の福野泰介氏(株式会社jig.jp 代表取締役社長)が開発した、学習用のパソコンIchigoJam(イチゴジャム)を使用したプログラミング学習が開始されました。

現在は月曜日から木曜日の夕方は主に小学生以下の子供向け、土曜日には大人向けのプログラミング教室が開催されています。

今回は、Hana道場で講師を勤める内田吉紀さんにお話を伺いました。

Hana道場とは

子供たちに講義をする内田さん(画像提供:Hana道場)

Hana道場はNPO法人エル・コミュニティの数ある事業の一つとして、ほんの少し未来の「ものづくり」の担い手をつくる活動をしています。

「平日は主に小学生が思い思いに来て、自分たちでプログラミングしている感じです。一応、曜日は決まっているのですが、時間は自由になっています」

子供たちは、都合の良い時間に来て、終わったら帰るスタイルだそう。気になる費用についても伺いました。

「月謝ではなく、子供向けのプログラミング教室は1回1,000円が基本となっています。ただし、中学生以上でIchigoJamをある程度マスターしている場合はお金を受け取っていません。ですから、道場の収益としては赤字だと聞いています」

Hana道場は、収益よりも地域で未来の担い手を育てることに注力しているとのこと。講師の一人である内田さんは福井大学工学部情報工学科の学生で、インターンシップ生として大学の空き時間や長期休暇を利用してプログラミングを指導しています。

Hana道場のある鯖江市では、他の地域に先駆けてIT教育に取り組み始めたとのこと。どのような経緯があったのでしょうか。

IT教育の先駆け

Hana道場でプログラミングを学ぶ子供たち(画像提供:Hana道場)

小学校のプログラミング教育が必修となったのは2020年でした。しかし、鯖江市はプログラミング学習を開始したのが2014年10月。全国に先駆けて試験的に運用を開始しました。その後、市内の全小学校において、4年生の全生徒がプログラミングを学んでいます。

課題となったのはプログラミングを指導する講師の不足です。Hana道場では小学生の講師を育成する目的もあり、大人向けのプログラミング教室も開催しています。

どうしてIchigoJamを使うのか

Hana道場の看板

小学生向けのプログラミング学習として代表的なプログラム言語は「Scratch(スクラッチ)」が有名です。しかし、Hana道場ではIchigoJamでのプログラミング学習に強いこだわりがありました。

「Scratchに取り組んでいる小学校は確かに多いようです。しかし、Scratchはコードを書くわけではありません。プログラムを作るというよりはブロックを積み上げていくイメージです。Hana道場では本物のプログラムに触れていただきたいという思いがあり、IchigoJamを利用しています」

前述したとおり、IchigoJamは福野氏が開発したパソコンです。コンセプトはいつでも持ち歩けるリコーダーのような、一人一台のパソコン。大きさは名刺サイズで、電源とモニター、キーボードを接続して電源を投入するだけでBasic言語が動作する仕様です。

小型コンピューターとしては、イギリスのラズベリーパイ財団が開発したラズベリーパイ(Raspberry Pi)が有名。愛好家が多いことでも知られています。しかし、IchigoJamがラズベリーパイよりも優れている点がいくつかありました。

最も大きなメリットは、OSのインストール不要で動作が可能なところです。また、IchigoJamは機能を限定していることもあり、ラズベリーパイの4分の1程度の価格で購入できます。小学生がお小遣いで購入できる価格なのもうれしいところ。

機能を限定しているといっても、利用方法はさまざまです。実際に公共交通機関で利用されているシステムもあります。

プログラミングコンテストや出張講座も開催

大人のためのプログラミング入門講座の案内

Hana道場ではこれまで、下記のようなプログラミングに関するイベントを開催してきました。

  • IchigoJamプログラミングコンテスト「Hana道場杯」
  • Java Scriptプログラミングスクール
  • 大人のためのプログラミング入門講座
  • 出張Hana道場
  • はんだ付け&プログラミング体験会
  • こどもIoTハッカソン

また、プログラミングに限らず、オリジナル判子作りやアクセサリー作り、和紙の栞作りなど、さまざまなモノづくりに関するイベントも行っています。

Hana道場の詳細情報

Hana道場は鯖江市旧織物検査所の2階で開催

Hana道場の詳細は下記のとおりです。

住所:〒916-0025 福井県鯖江市旭町1丁目6-6

プログラミングで論理的思考を身につける

プログラミングで論理的思考を身につける子供たち

2020年に小学校ではプログラミング教育がカリキュラムに取り入れられ、必修となりました。また、2024年度からは大学入試の共通テストで情報の教科が追加されることも決まっています。

プログラミングはIT企業に就職するためだけではありません。最も大きなメリットは論理的思考が身につくことです。論理的思考は勉強や仕事に活かせます。しかしながら、小学校では指導者が足りない状況となっており、思うように進められない状況です。

今後はHana道場のような教室が全国にでき、誰もが気軽にプログラミングに取り組めることを期待しています。

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この記事を書いた人

のがわ

滋賀県担当のアラフィフライター「のがわ」です。地元の滋賀県や隣県の福井県に関する情報をお届けします。趣味の剣道は練士七段ですが、試合は中学生にも負けるレベルです。色々な地域に出稽古に行き、出会った方々の物語や観光情報などを記事にします。

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