アマビエは、江戸時代に今の熊本県に現れた、疫病退散のご利益があるとされた半人半魚の妖怪。 コロナ禍に覆われた2020年、長野県東御市は疫病退散を祈願し、当時市の地域おこし協力隊員であった堀田光彦さん(東京藝大大学院卒)が、砂の彫刻「サンドアート」によってデザインの異なる27体のアマビエを作りました。
令和5年5月のコロナの「5類感染症」移行で、東御市のアマビエは姿を消してしまったのか?アマビエたちのその後を追いました。
そもそも長野県東御市はどこにある?
東御市は、戦国武将・真田幸村の一族・真田氏の発祥の地で名高い長野県上田市の東隣にあり、名産のくるみと、近年ワイナリーが多いことで有名な人口3万人の都市です。
アマビエは昨年5月でお役御免?
東御市を中心に、2020年7月から27体の異なる姿で作られたアマビエたち。でも、昨年5月のコロナウィルスの5類移行と政府感染症対策本部が廃止されたのと同じように「お役御免」で撤去されたとばかり思っていました。
特に、東御のアマビエは「サンドアート」。砂では3年はもつまいと思っていましたが...
別の取材で使っていたグーグルストリートビュー(2023年11月撮影)でその姿を見つけたのです。正面の建物に、画面右下の「+」ボタンを2回クリックしてズームすると入り口の右隅に見つけられますよ。
うまくいかなかった方への答えがこちら。今年4月に現地撮影したもの。本体は綺麗ですが、土台の方はかなり風化が進んでいました。
東御市役所にアマビエの無事を聞いてみた
ーーすみません、東御市役所の企画で作られた「とうみ砂のアマビエ」は現在どうなっていますか?
(東御市役所文化・スポーツ振興課)当時市役所の地域おこし協力隊にいた作家の堀田さんが退任されたので、今は市としてはアマビエは管理していません。補修などの要望があれば、直接作家さんと連絡をとるようにお願いしています。
ーー取り壊す指示はなかったんですね。わかりました。ありがとうございます。
しなの鉄道田中駅から徒歩圏のアマビエ生存調査へ
撤去の指示がないのなら、まだ無事なアマビエはいるかもしれない!!
27体のうち、東御市役所の最寄り駅しなの鉄道田中駅から徒歩10分以内の10体を選んで現地調査をした結果、先に触れた「御菓子処 花岡」さんの他2体の無事が確認されました。では、駅に近い方から順にご紹介。
(株)エフエムとうみ(デザイン=防災ラジオ) 田中駅より徒歩2分
「御菓子処 花岡」さんのところのアマビエと同じ、こちらも土台の風化が目立ちます。
東御市中央公民館(デザイン=本) 田中駅より徒歩9分
こちらは第1号の記念作品で、土台の風化もなく綺麗な姿です。
その他のアマビエはどうしたの?
その他のアマビエたちは、
- 撤去されて無くなったもの
- 姿を留めないほど崩れたもの
- 姿はあるが、部分的に欠けているもの(下の写真のもの)
など、その状況は様々でした。
撤去されていたところの人に話を聞くと、
「設置場所の天井から雨漏りがして崩れてしまった」
とアクシデントに見舞われ置く場所が確保できない事情だったり、別の場所の人は
「今は当時の姿を留めないが、あった時の姿が思い浮かぶので、自分達からは壊せない」
と情の深さが壊すのを押しとどめていたり。
でも、みなさんそれぞれのアマビエに愛情を持っていて、コロナの災厄から街を守った東御市のアマビエたちの「お役御免」はまだまだ先のようです。
- 上写真左=上田信用金庫とうみ支店(デザイン=看板と東信エリア模型) 東御市常田580-6
- 上写真右=八十二銀行 田中支店(デザイン=はちにの8ちゃん) 東御市田中98-7
- 下写真=東御市役所(デザイン=特産品) 東御市県281-2
最後に気になったアマビエの今を確認する
この記事を読んで「アマビエに会いに行ってみよう」と思ってもらうことを期待しながら、調査対象を
しなの鉄道田中駅から徒歩10分以内の10体
としましたが、徒歩22分でちょっと遠かった1体がどうしても気になって、車で見にいってみました。
株式会社アヅマ(デザイン=ノギスと製品) 東御市和8655
※ストリートビュー(2023年11月撮影)画面右下の「+」ボタンを3回クリックしてズーム
いましたよ。土台は風化が進んでいましたが、本体はまだ綺麗。会社の入り口に置かれて屋根までつけてもらい、さながら
東御のアマビエは、市民にとって 現代の「お地蔵様」 なのだ
と、改めて感じさせられました。
【オマケ】アマビエができるまでも YouTube で
そもそもサンドアートって、どうやって作るの?
そんな方は、作家である堀田さんのメイキング動画で確認してみましょう。
東御市「とうみ砂のアマビエ」(2020年10月時点)
・写真一覧 https://www.city.tomi.nagano.jp/file/128131.pdf
・設置場所一覧 https://www.city.tomi.nagano.jp/file/128129.pdf
・「とうみ砂のアマビエマップ」 https://www.city.tomi.nagano.jp/file/128130.pdf
注意:アマビエを見にいく際、撤去されているかもしれないことを念頭に置いてお出かけ下さい。