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もの・こと  |    2024.09.23

醤油屋さんでコンサート!?地元民から愛され続けて78年「マルト醤油醸造元」とギャラリー「旬花」に訪れた【後編】|福岡県宇美町

福岡県の宇美町という自然豊かな町に、一つだけあるJRの駅、宇美駅。

その宇美駅の真隣には老舗醤油店「マルト醤油醸造元」と、併設しているギャラリー「旬花」があります。

前編】ではマルト醤油で店先に立つ、山元洋一代表取締役の奥様山元路子様の醤油とお客様への想いをつづりました。

【後編】では、醤油屋さんでコンサートや展示会などを開催するきっかけになった、ギャラリー「旬花」を紹介します。

前編はこちら

醤油屋さんでコンサート!?地元民から愛され続けて78年「マルト醤油醸造元」とギャラリー「旬花」に訪れた【前編】|福岡県宇美町

ギャラリー「旬花」誕生と新たにできた夢

マルト醤油醸造元で作られている食品がズラリと並ぶエリアのすぐ横に、陶器やお洒落なアパレルグッズが並ぶ落ち着いた空間があります。

ギャラリー「旬花」です。

昔から陶器や手作りのものが大好きな路子さんの意向もあり、工場の建て替えに合わせて、ギャラリー旬花をオープンしました。

当初は好きな陶器や、お姉さんが経営する会社のアパレルを置く予定のみでしたが、完成した店内を見た瞬間、ある夢ができたそうです。

「ここでコンサートがしたい!!」

清々しく高い天井を見て直感したそうです。

しかしどう動いていいかは、もちろんわかりません。

そんなある日、コンサートの夢を友人にポツリと話したところ、たまたま友人の知り合いにプロのソプラノ歌手がおられ、1年後、ギャラリー旬花でのコンサートイベントが実現しました。

「第一回目は感極まって涙が出てしまったことを、昨日のことのように覚えています」

コンサート開催時は「旬花」の商品や棚を全て片付け、演奏者とお客様が楽しめるスペースを確保

現在も定期的に演奏会は開かれており、演奏会だけでなく、手作りのアクセサリーや陶芸の展示会、ワークショップを随時開催し、地元の方々にとっての社交の場にもなっています。

特に10年以上続く絵封筒のワークショップは、たくさんの方々と交流が生まれる場で、展示会は地元で人気のイベントです。

ギャラリー旬花への想い

「値段は高くなくても、ちょっと手に取りたくなる、大切な人にプレゼントしたくなる商品を提供し続けたい」

そう話す路子さんの視線の先には、落ち着いた和の雰囲気にピッタリで、かつ個性的な器の数々。

「お気に入りの器って、少々傷ついたって使えるなら使い続けたいでしょ?ここにある商品も買った人にとって、お気に入りになれば、本当に嬉しいね」

路子さんのそんなふとした言葉に、日々使い捨て商品に溺れている筆者はなんとなく恥ずかしい思いになりました。

環境破壊だとかエコだとか、もったいない精神だとか、いろんな謳い文句がありますが、使い続けたいと思える大切なものを純粋に見つけることが、新しい出会いや価値観が広がり、自身の豊かな人生へと繋がるのかもしれません。

ギャラリー旬花で定期的に開催しているイベントについては、

「年齢関係なく、一生懸命な人や、生き生きしている人の様子は何よりも素敵なものだと思います。

旬の花を咲かせているアーティストや、その場を楽しむスタッフ、お客様、皆さんが本当に魅力的で、そういった場所を提供できて幸せです」

始終笑顔だった路子さんの笑顔が、より一層輝く時間でもありました。

宇美町への想い

宇美町には安産の神として有名な宇美八幡宮があり、福岡県では有名な神社です。

ただ隣町に、全国天満宮の総本宮である、あの太宰府天満宮があり、その影に隠れてしまっています。

筆者は、品格ある素敵な神社なのに惜しいなぁと感じたのですが、路子さんは派手さがなく、自然体であることが宇美の魅力だと話します。

確かに自然が多く、筆者の友人も子どもを連れてよく宇美町を訪れています。

「自然があって、住み心地が良くて、文化の香りがするんです、宇美町って」

素敵な場所でしょ?と子どもの様に照れ笑う路子さん。

「こんな魅力的な場所で、皆さんに寄り添うことができる醤油作りができる環境は、本当にありがたいです」

と、人や環境への感謝と幸せという言葉を、取材の最初から最後まで伝えてくれた路子さん。

「ここがいい」と訪れるたくさんの常連様が離れない理由が、この路子さんの人柄から手に取るようにわかります。

これからの目標

「『これ(マルト醤油)がないとダメ』と言ってくれるお客様の言葉が活力です。そういった方々のためにできる限り続けていきたいですね!」と、まだまだ現役宣言をしてくれた、元気印の路子さん。

故郷の味を守りたいという信念は、地元の方々の食を守り、生活を守り、心の拠り所を作っているということだと感想を言う筆者に「そんな大したことしてないよ!」と元気に笑う路子さんですが、商売が厳しい時代に「ここじゃないと」と言ってくれるお客様の声を聞き、「いい仕事だなとつくづく想うね」と今度は柔らかく笑っています。

何気ない日常にも・・・

最後に、ギャラリー旬花にある、カウンターテーブルに置かれていた言葉を紹介します。

これはマルト醤油がお世話になっている包装資材屋さんの段ボールに印字されていた言葉で、とても感動した路子さんが、丸く切り取り、お店に飾っているとのこと。

路子さんは、丸く切り取った段ボールを手に取って眺めながら、優しく言います。

「このお醤油の仕事にも、今運搬してきたトラックの運転手さんにも、こうやって取材に足を運んでくれたのぞみちゃんにも、どんな仕事の人にも、みんなに当てはまることなんよね」

「たくさんの人に、気づいて欲しかね〜」

マルト醤油醸造元・ギャラリー旬花

福岡県糟屋郡宇美町宇美5丁目12-7

【営業時間】10:00〜18:00 【定休日】毎週日曜日 ※2階で開催されるイベントは、日曜日も営業

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この記事を書いた人

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福岡在住、Webライターのnonです。 メインの執筆はマリンスポーツ関係。海遊びの楽しみ方やコツなどを、初心者の方々に向けてわかりやすく説明しています。 海とお酒と九州をこよなく愛する博多女。 離島も含め、これまで数多く出会ってきた九州のヒト・モノ・コト・ショクを、たくさんの方々に知ってもらえるよう発信していきます!

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