Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

もの・こと  |    2024.09.19

醤油屋さんでコンサート!?地元民から愛され続けて78年「マルト醤油醸造元」とギャラリー「旬花」に訪れた【前編】|福岡県宇美町

今回ご紹介する「マルト醤油醸造元」と併設するギャラリー「旬花」は、福岡県の東に位置する宇美町という場所にあります。

ん??どこ??

という方がほとんどだと思いますが、そこがMediallの良さ。

自然と文化に恵まれた宇美町にある、78年間地元の味を守り続ける醸造元「マルト醤油」と、併設するギャラリー「旬花」を、九州大好きnonが紹介します。

今回もディープなローカル情報をたっぷり堪能してください。

宇美町のこと

福岡県の副都心として栄える香椎に、JR九州が運行する香椎線というローカル列車が走っています。

その香椎線の最終駅が、宇美駅。今回舞台となる町の、唯一の駅です。

宇美駅は1905年(明治38年)に開業された大変歴史ある駅ですが、1989年(平成元年)に駅舎を改築しているため比較的綺麗な駅です。

「うみ」という名前ですが「海」とは全く関係なく、神功皇后が応神天皇をご出産された聖地であることから「産み(宇美)」と名付けられたと言われています。

応神天皇の生誕の地として創建された宇美八幡宮は、安産祈願のため毎年多くの方々が訪れる場所です。

宇美駅に降り立つと、周りには個人で経営する青果店や鮮魚店、焼き鳥店、靴店、クリーニング店といった、ふと故郷を思い出す景色が広がります。

そんなたくさんの専門店がある中、宇美駅の真隣に、老舗の雰囲気が漂うお醤油屋さんと、併設するおしゃれなギャラリーがありました。

マルト醤油醸造元

地元民なら知らない人はいない「マルト醤油醸造元」は、創業昭和21年。

移転することなくこの場にあり続け、宇美町のシンボルといっても過言ではない場所でしょう。

店内には昔からあり続ける一升瓶サイズの薄口・濃口醤油から、近年人気のTKG(卵かけご飯)用の醤油、オリジナルドレッシングやふりかけ、お菓子まで、多種多様な商品が揃っています。

昔懐かしいけど素材の組み合わせが斬新なお菓子
ここにしかないパイナップルのお醤油

時代とともに食のあり方が変わり、その変化に合わせた新しいサイズや商品が見受けられますが、

「お醤油の味だけは絶対に変えません」

優しい笑顔の奥にこだわりの芯を見せてくれたのは、創業者である藤正義さんの次女、山元路子(みちこ)さんです。

路子さんの夫であり、マルト醤油の現代表取締役である山元洋一さんと、二人三脚で歩まれて約50年。

たくさんの苦楽の中、「この醤油でなくては」と伝えてくれるお客様が一番の活力であり、これからも”味を変えない”というこだわりを貫いていきますと、力強く話していただきました。

時代に合わせ変化する商品と、変えない故郷の味

醤油は日本人にとって欠かせない調味料。

「お袋の味」は、使用している醤油で決まるとも言われています。

コンビニはもちろん、惣菜といった既にできている料理がなかった時代、各家庭には醤油の一升瓶が6本ほど入った木箱が必ずありました。

お醤油屋さんは契約している各家庭に定期的に訪れ、その木箱から減った本数を補充していくというスタイルです。

それから時代は大きく変わり、夫婦共働き、時短(時間短縮)が当たり前の世の中になりました。

自宅に醤油がなくても、スーパーやコンビニに行けば食に困ることはありません。

そういった時代に合わせて、マルト醤油の商品のサイズも一升サイズだけでなく、1リットル、500ミリリットル、商品によっては280ミリリットルという超小型サイズまで幅を広げています。

また一から出汁を取らなくていいように、だしパックや煮付け醤油など、時短でも簡単で美味しく作れるよう、日々時代と商品に向き合っています。

ただ、上述にもあるように「マルト醤油」の味だけは変えないということ。

今後どうなるか先のことはわからないけれど、それだけは断言できると、迷いなくはっきりと路子さんは言います。

そのこだわりの先には、マルト醤油の味に魅了され続けている、お客様の存在があります。

『実は他の醤油に1度浮気しちゃったけど、夫と子どもに味が違うって料理否定されちゃってびっくりした(苦笑)』

『転勤後、ここのだし醤油の存在は本当に大きかった。懐かしい味でいつもほっとした』

『がめ煮がどんなに試行錯誤しても、大好きなおばあちゃんの味にならなくて大変だった。最終的に分かったことは作る工程とか分量じゃなく”醤油の種類”だった』

『これじゃないとダメ。もう、他の醤油に戻れんよ』

路子さんから聞くだけでも幾多とある、愛あるお客様の声。

中でも筆者が驚いたのは、福岡から北海道に移住したマルト醤油ファンのお客様の話で、廃盤した昔のマルト醤油のロゴが入った一升瓶が、お家の居間に飾ってあるとのこと。

お客様から頂くお声を話すたびに、「ありがたいことやね」「この仕事ができて幸せよ」と何度も頷く路子さん。

取材中、時折接客に入っている路子さんの姿も拝見しました。

常連様と談笑する路子さん

業者さんや、シニア女性の友だちグループや、若い親子連れ等、常連様でも一限様でも分け隔てなく、柔らかい接客をされています。

そんな路子さんを見ていると、マルト醤油のファンは、単に味が好きなだけではないんだろうなと感じました。

併設するギャラリー旬花について、【後編】をぜひお楽しみください。

後編はこちら

醤油屋さんでコンサート!?地元民から愛され続けて78年「マルト醤油醸造元」とギャラリー「旬花」に訪れた【後編】|福岡県宇美町

マルト醤油醸造元・ギャラリー旬花

福岡県糟屋郡宇美町宇美5丁目12-7

【営業時間】10:00〜18:00 【定休日】毎週日曜日 ※2階で開催されるイベントは、日曜日も営業

ホームページ https://www.maruto-syunka.com/

Instagram https://www.instagram.com/maruto.shoyu/

Facebook https://www.facebook.com/maruto.shunka/?ref=embed_page

記事をシェアする

この記事を書いた人

non

福岡在住、Webライターのnonです。 メインの執筆はマリンスポーツ関係。海遊びの楽しみ方やコツなどを、初心者の方々に向けてわかりやすく説明しています。 海とお酒と九州をこよなく愛する博多女。 離島も含め、これまで数多く出会ってきた九州のヒト・モノ・コト・ショクを、たくさんの方々に知ってもらえるよう発信していきます!

関連記事