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もの・こと  |    2024.05.04

沖縄の“ものづくり”の魅力を伝える「島の装い。プロジェクト」

やちむん、紅型、染織物、琉球ガラス、漆器、木工。沖縄にはたくさんの“ものづくり”があり、その数だけつくり手がいます。国指定の伝統工芸品は16品目にものぼり、昔から“ものづくり”が暮らしに根付いてきた土地です。その沖縄で、“ものづくり”の魅力を伝える「島の装い。プロジェクト」。活動の内容や、“ものづくり”の魅力、伝えたい思いを伺いました。

つくり手とつかい手を繋ぐ「島の装い。プロジェクト」

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」

「島の装い。プロジェクト」は、沖縄のつくり手とつかい手を繋ぎ、“ものづくり”の魅力を伝えるプロジェクトチーム。2021年5月に、沖縄県中部のサンエー浦添西海岸PARCO CITYで開催したイベント「島の装い。展」をきっかけにプロジェクトが発足し、現在はイベントの開催と豊見城市にある実店舗「島の装い。STORE」の運営を行っています。

「沖縄には素晴らしい“ものづくり”がたくさんあるんですけど、沖縄で暮らしていたり生まれ育った人でも、その良さに気づいていない人はわりと多いんです」

そう話してくれたのは「島の装い。STORE」の店長を務める小嶺萌々子さん。そばにあるからこそ気づきにくい価値を伝えたい、という思いで「島の装い。プロジェクト」は運営されています。

つくり手と作品に直接出会えるイベント「島の装い。展」

島の装い。プロジェクト「島の装い。展」

2021年から毎年開催されている「島の装い。展」は2024年3月に第4回を迎え、「島と島、つくるとつかうを繋ぐ場所」というテーマのもと、沖縄本島・離島から10日間で延べ90のつくり手が集う大規模なイベントになりました。

島の装い。プロジェクト「島の装い。展」

会場には、やちむん(沖縄のことばで焼き物のこと)や琉球ガラスはもちろん、クバや月桃といった県内に自生する植物から作られたカゴや帽子などの民芸品、伝統工芸「金細工(かんぜーく)」の技法を用いたアクセサリー、沖縄の気候にぴったりなワンピース、ユニークな表情をみせる糸満ハリコの玩具、人気店のホットドッグなど、沖縄という土地だからこそ生まれた個性豊かな“ものづくり”が所狭しと並んでいました。

島の装い。プロジェクト「島の装い。展」の様子

普段なかなか出会うことのないつくり手とお客さんが直接言葉を交わし、つくり手同士があいさつを交わす。離島や遠方のつくり手の中には、毎年この会場で他のつくり手に会えることを楽しみにしている人もいるのだそう。

島の装い。プロジェクト「島の装い。展」の様子

会場全体の一体感と賑わいから“ものづくり”が持つエネルギーを感じ、4回目にして既に地元の人やつくり手に愛されるイベントになっていることが伝わってきました。

日常的に“ものづくり”に触れられる「島の装い。STORE」

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」の外観

那覇空港から車で南に15分ほど、住宅街の一角にある「島の装い。STORE」は、「島の装い。展」で関わりが生まれたつくり手の作品をはじめ、食品や雑貨など沖縄で生まれた“ものづくり”全般を扱うセレクトショップです。

沖縄に住んでいても遠方や離島など、知らないことは多いもの。だからこそ「日常的に沖縄の“ものづくり”に出会えたり、手で触れることができる場所」として「島の装い。STORE」はスタートしました。

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」に並ぶ作品

店内には所々につくり手を紹介するPOPが置かれ、つくり手の“ひととなり”までも感じることができます。「つくり手とちゃんと繋がりたいという思いがあるので、時間が許す限り会いに行って直接話を聞くようにしています」と小嶺さん。つくり手から聞いた思いをつかい手に繋ぐ役割りを「島の装い。STORE」は担っているのです。

店舗では商品の販売のほか、つくり手によるPOPUPイベントやワークショップなども定期的に開催され、「島の装い。STORE」をきっかけにつくり手を知ったお客さんから「工房まで行ってきました!」と報告をもらうこともあるそうです。

暮らしの中から生まれる沖縄の“ものづくり”とその魅力

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」に並ぶ沖縄の伝統工芸品

琉球王朝時代から外国との交流を通して独自の文化を築いてきた沖縄には、国指定の伝統工芸品が16品目あり、それは全国で3番目の多さ。昔から“ものづくり”が暮らしに根付いてきた土地です。また、海に囲まれ物資を手に入れることが容易ではないからこそ、限られた資源の中で知恵や工夫を凝らした“ものづくり”が行われてきました。

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」に並ぶ沖縄の伝統工芸品

「島の装い。プロジェクト」では、“ものづくり”を伝統工芸品や産業としての製品だけでなく「自然やひと、未来を思い、豊かにくらすための“なにか”を生み出す行為」と幅広く捉えています。

それは、身近にいる大切な人が必要としていたり、つくり手自身が何かを伝えようと表現することで生まれる“ものづくり”のこと。相手を思いやり寄り添うことで形を変える、暮らしを豊かにしようと知恵や思いを込める。試行錯誤を重ねた軌跡にひとつとして同じものはありません。

「その完全ではない“揺らぎ”が試行錯誤や寄り添おうとした証で、他にはない個性や魅力だと思うんです」と小嶺さんは話してくれました。

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」で販売している作品

「2斤のパンを入れたい」という声から生まれた籠バック、宿で使うためにつくり始めた器、形が不揃いで素朴な玩具。“ものづくり”がもつひとつひとつの物語が見えると、より一層魅力的になり愛着が湧いてくるから不思議です。

沖縄の“ものづくり”を通して「みんなでしあわせになる」

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」

「島の装い。プロジェクト」の公式サイトには「みんなでしあわせになる」という言葉が書かれています。それは、沖縄の“ものづくり”が、つくり手とつかい手のお互いを思いやる気持ちから生まれるものだから。そして「お互いを思い、喜びを分かち合える力」を持っているから。

「お互いを思いやる気持ちが広がっていけば、みんなが幸せになれると信じているんです」

島の装い。プロジェクト「島の装い。STORE」店長の小嶺さん

「島の装い。プロジェクト」は、水滴が落ちて水面に波紋が広がるようにささやかに、でも確かに広がって“ものづくり”のある暮らしの豊かさを私たちに伝えてくれるのです。

取材・撮影・文章/上村明菜
編集/みやねえ(OKINAWA GRIT)

島の装い。プロジェクト

島の装い。STORE

沖縄県豊見城市豊崎1-329
098-987-1593
10:30〜18:30/火曜・水曜定休
駐車場:あり(6台)
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この記事を書いた人

OKINAWAGRIT

小回りが効くプロ集団、沖縄の編集プロダクション OKINAWA GRIT(略して、オキグリ)です。「熱量高く、妥協せずに。そして、仕事を楽しむ」をモットーに、外部のクリエイターと協働しながら活動中。オリジナルの企画力を強みにコンテンツマーケティングを手掛け、地方企業の広報支援+SNS運用のほか、#ライター交流会 in 沖縄の開催、ライター育成講座の企画・運営を行っています。

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